さて前回の続きです。Kontaktにインポートするサンプルが揃ったところで、実際に以下の手順でパッチとして保存するところまでを解説します。
1)サンプル素材をインポートする
2)マッピングエディター上で調整
3)RR(ラウンドロビン)の確認
4)スクリプトの読み込みと仕上げ(これは次週)
まずはKontaktを起動して⌘+Nで新規のInstrumentsを用意します。34回の記事で紹介したんだけど、今回は別のやり方を解説します。
Kontaktを起動すると何もない黒い空間がありますよね?ここに用意したサンプルをドラッグ&ドロップしてしまいます。
そうすると、以下のようにパッチネームも自動的にサンプルネームから引用されて、おまけに今インポートしたサンプル数も確認できるんですよ。この場合は最初のサンプル+71なので合計72のサンプルがインポートされた事が確認できますね。サンプル数がもっと多いと、ドラッグし忘れていて、それをZoneの編集してる途中で気がついたりするので、僕はここでサンプル数が確認できるこの方法でサンプルをインポートしています。
この後は34回で説明した事を思い出して、左上のスパナマークをクリックしてMapping Editorに入ります。
自動的に配置されているサンプルを全て選択して(選択されたサンプルは色が青から黄色に変わる)同じく34回と同様に右クリックしてAuto-map Setupを選択します。
アンダースコア(日本語のアンダバー)で区切られたそれぞれのワードを以下のように当てはめていきます。大体自動的にハマってくれるはずだけどね!
してApplyボタンをクリック。
Group Editorをクリックしてみると、RRごとに新規でグループが作られて(今回は3つ)いる事を確認できます。
右下の方にSelected Group Onlyのボタンがあるのでクリック。各グループをクリックするとそれぞれのGroupにサンプルが自動的に割り振られているのが確認できるはずです。
続いて、1つのグループのサンプルを全て選択して、マウスをサンプルがないところから、サンプルに近づけると左右の矢印←→が見えるはずです(ごめん、スナップショットには矢印映らないの)。それでとりあえず、左に半音2つぶんズリズリっと広げてみてください。それができれば以下の様になるはずです。
これを3つのグループに対して行います。一旦Mapping Editorは閉じましょう。サンプルをインポートした時に自動生成された「72 samples」というグループはもう必要ありません(実際Auto-map Setupを実行した後はこのGroupは空になっているはずです)。
右クリックしてDeleteしちゃいましょう。
下のスナップショットの様にEdit All Groupsをクリックして真っ赤に光らせ、下の方に(ちょっと見にくいけど)Group Start Optionsがあるので、デフォルトでAlwaysになっているところの下の方にCycle Round Robinがあるので、それを選択。
Edit All Groupsを選択しているので、これで3つ全てのGroupがRRモードになりました。
Edit All Groupsのボタンをもう一度クリックして解除。中央のPosition in round robin chainの枠の中に数字が見えるはずなので、各Groupにそれぞれ、1、2、3と当てはめていきます。
さあ、鍵盤を弾いてみましょう。3つのGroupが順番に再生されていくのが確認できるはずです。
追加の説明になりますが、RRの順番を変えたい時はこのchainの数字を変更すればRRするGroupの順番を変更できます。それから、Group Start Optionsの中にCycle Rondomが見えますよね?これ使っても良くね?と思う人もいると思いますけど、選択肢が3つの場合確率的に同じGroupが連打される確率は1/3ですから、割と高確率で同じ音が連打されるってわけです。ですから、最低でもGroupが6つくらいないと聴感上Randomには聞こえません。
というわけでチョップしたサンプルが綺麗に並びました!
さてここからこのエディターモード内に見えるインサートやメインエフェクトにフィルターやEQ等を挟んでいけばカッコイイ~サンプリングライブラリーになるわけですが、実際の劇伴の現場的な意見としましては、EQするにしても歪ませるにしてもリバーブかけるにしても、DAW側で普段使い慣れているプラグインを使った方がオートメーションの書き込み、詳細なEQの設定、歪みの選択肢の多さとクオリティー、とどの要素を考慮してもKontakt内のプラグインを優先して使う必要はほとんど感じていません。そういう理由で、Kontaktのパッチの準備というのは個人的にはここでほぼ終わりです。もうちょっと詳しく書くと、劇伴だと「奥に居て欲しい音」ってのがよくあるんです。そういう時は逆にKontakt内の歪み系のエフェクト使うことはあります。
次週いよいよスクリプトを読み込んで仕上げの作業です!