先週からの流れで現場的な(と言ってもあくまでも僕の使い方ですが)、Native Instruments / Kontaktの使い方を紹介してみます。
今でもプロジェクト毎にサンプリングした素材をライブラリー化していますが、スキンやノブのデザインまでオリジナルで作ることは最近あまり興味がないのでやっていません。割と実用主義な使い方しかしていません。でも興味があればKSPの理解へつながるのでスキンやノブの組み込みを試してみるのは良いと思いますよ!
大まかな流れは以下の通りです。
1つめのアドバイス!最初からマルチマイクで録音した生楽器のライブラリーを作ろうとしない方がいいと思います。ライブラリー作る楽しさを実感する前に挫折する可能性が高いですから。マルチマイクで録音した二つの素材の片方のトラックだけRXを使ってノイズ処理をするとアンビエンスマイク側との兼ね合いで位相が気になったり、まあとにかく作業が増えるので、ループの必要のないパーカッションのライブラリーを作るとか、ハードウエアシンセをライブラリーにしてみるとか、その辺から始めて一連のワークフローを体験してからより高度なライブラリーにトライする方がいいと思います。
それでは早速素材の準備の話から!
と、その前に一般的なチュートリアルならば素材を録音するためのマイキングやゲイン設定の話から入ると思いますが、僕はあえてKontaktへインポートする時に重要なサンプリングファイルの、特にファイル名の管理の話から始めたいと思います。実はこれを理解してから素材作りを始めないと、Kontaktでマッピングや編集作業する時にかなり無駄な時間を費やす事になってしまいます。
まずはまたApple Script!
サンプリングライブラリを作る過程で必要なフォルダは毎回同じなので、毎度毎度5〜6つのフォルダを作るのは効率悪すぎるのでスクリプトで書いて過去記事で紹介したApple Scriptの使い方を参考にしていつでも使えるようにしておいてください。
ちなみにこのスクリプトは劇伴の仕事をスタートする時にも使っています。デモmp3を入れておくフォルダ、Nuendoのセッションを入れておくフォルダ、ProToolsのセッションを入れておくフォルダ等々、その辺は毎回同じことの繰り返しですからね。
スクリプトのダウンロードはこちらから (Sampling Project Folder Wiz)
※利用方法は下記の過去記事をご参照くださいませ
瀬川商店 第29回:音楽用ファイルとGoogle Sheetsのためのスクリプト
さて次に優先して覚えた方がいいのが実は、サンプルした素材をKontaktでどのようにマッピングしていくかを把握することなんです。特にサンプルをマッピングする際に素材のファイル名がきちんとしているかどうかでその後の効率に大きい差が出ます。
まずマッピングの練習用にどんなWAVでも良いので以下の4つを用意してください。
ここでも大事なポイントがあります。音楽用語の「♭」はアルファベット内に存在しないので、ピッチの表記には必ず「#」を使います。つまりB♭と表記したいようなトランペットのサンプルでもファイル名的にはA#になるってことです。
Glass_GRP01_0_64_C4.WAV
Glass_GRP01_65_127_C4.WAV
Glass_GRP02_0_64_C3.WAV
Glass_GRP02_65_127_C3.WAV
そしてKontaktを起動して。以下のウィンドウの中央の黒いエリアをダブルクリックしてください。
新規Instrumentが作成されるので左上のスパナボタンをクリック。以下のような画面が出てきますから、真ん中辺りにある「Mapping Editor」をクリックすると次の画面が出てきます。
ここに先ほど用意したWAVファイルをドラッグ&ドロップします。その時にマウスをドラッグしたまま上下させると音域の幅が変化しますよね(Zoneと呼びます)?できるだけ下の方にマウスをドラッグすると1サンプルに鍵盤1つが割り当てられるようになります。
そしてその4つを選び右クリックするとこういうウィンドウが出てきます。Auto-map setupを選択してください。下の画面が出てきますよね?
これが今週一番重要なポイント!ファイル名の中からGroup名、ベロシティの最低値、最高値、それからサンプルのルートになる音程を自動的に見つけてくれます。もし、以下のようにアサインされてなかったら、プルダウンメニューから該当する項目を選んでください。この辺の項目に関してはマニュアルを読むべし。皆んな既に知ってると思うけど、Google NotebookLMを使えば英語のマニュアルだって、知りたいポイントにひとっ飛びできるようになったからね。そういう場面でもAIをどんどん使いましょう。
それでApplyのボタンを押すと、自動的に下記の画面になります。
さっきのAuto-Map SetupでMake group nameにアサインされていたので、ちゃんとGroupが生成されているか確認しましょう。はい、ファイル名からGRP01とGRP02を引用して二つのグループが生成されています。
ここまできたら初期からある「Group 1」は必要ないので名前のところを右クリックしてDeleteしてください。
多分初期状態でEdit All Groupsが上のスナップショットのように赤く光ってると思いますが、一度クリックして、そのモードから出ます。次にMapping Editorの左にGroup Editorのボタンをクリック。
Mapping Editor(このスナップショットでは下の部分ね)のSelected Groups Onlyをクリックするとボタンがイエローになります。この状態で、上のGroup Editor内のGroupをそれぞれクリックするとWAVファイルが二つの別々のグループにアサインされているのが把握できるはずです。
今週はここまでにします。とにかくデータの整理整頓、それとファイルネームの記入でしくじると振り出しに戻されるのでこの辺はちゃんと準備しましょう~