ACID渋谷とアーノ澤田が、自分たちの気になった製品を世界中から仕入れて皆様にお届けしている渋澤楽器。2人がそれぞれ特に推したい製品を紹介していく企画もいよいよ第8弾!
今回はこれまで2製品を紹介しているRODECから、ACID渋谷が新たにSide Stepperを取り上げます!



ACID渋谷:今回で第3弾となるRODEC製品は、ZESTと同じタイミングで発売されたSide Stepperです。今年登場したばかりの製品ですね。
アーノ澤田:RODECは今年大豊作ですね。
ACID渋谷:そうなんですよ。ほかにも紹介したい製品があるなか、あえてRODECを取り上げています。では概要から説明していきましょう。まずSide Stepperの製品コンセプトは「Stereo Gater/Ducker(ステレオ・ゲーター/ダッカー)」です。
アーノ澤田:Gater/Ducker! なるほど。ゲートとダッキングの両方ができるということですね。
ACID渋谷:そうです。ダッキングはいわゆるサイドチェーンですね。トリガーが入ったタイミングで音量を下げる処理です。一方、ゲートはその逆でトリガーが入った瞬間にゲートが開き、音が出るようになります。つまり対照的なダイナミクス処理を1台で実現できる、珍しい製品なんです。
特徴は大きく2つありまして、1つはゲートとダッキングの両方に対応していること。そしてもう1つの特徴はトリガー・ソースとしてオーディオ信号と内蔵のステップ・シーケンサーを選べることです。つまり外部からオーディオ信号が入ってこなくても、内蔵のステップ・シーケンサーをトリガーにしてゲーティングやダッキングができるのがこのSide Stepperです。

アーノ澤田:これ、外部機器と同期させることもできるんですよね?
ACID渋谷:そうですね。背面にはMIDIやシンクの入力、CV端子などがあり、独立したサイドチェーン・インプットも備えています。ステップシーケンサーはBPM設定ができるので外部MIDI機器と同期することができます。

ACID渋谷:では、まず通常のダッキングからいきましょう。今回はDigitakt(Elektron)からキックだけをこちらに送り、Syntakt(Elektron)からはシンセ・パッドだけを出している状態です。このシンセ・パッドに対して、Digitaktのキックをトリガーとしてダッキングをかけると、こうなります。
アーノ澤田:(音を聴きながら)なるほど、こういう感じですね。
ACID渋谷:はい、Depthなど一般的なエフェクトと同じような操作ノブも一通り用意されています。面白いのはトリガーとして使っている信号をメイン・インプット側にブレンドできることです。つまりトリガー信号そのものも生かしたまま出力できます。
アーノ澤田:なるほど。トリガーに使った音が消えてしまうわけではないんですね。
ACID渋谷:そうなんです。MIXパラメータで両者を好みの塩梅でブレンドすることができます。ではゲートに切り替えるとどうなるか。今の状態からゲートにすると、こんな感じになります。
アーノ澤田:(音を聴きながら)おぉ〜。スタッターっぽい効果ですね。ここまで原音を切り刻むようなリズミカルなゲートって通常のアウトボードではやらないので面白い。
ACID渋谷:そうですね。切り替えは専用のボタンで行います。
アーノ澤田:ボタンの切り替えノイズもないので、パフォーマンス中に曲の展開に合わせて切り替えると良い感じのブレイクになりますね。

ACID渋谷:ここまでは外部のオーディオ信号をトリガーにしていましたが、トリガー・ソースは本体のスイッチで、オーディオと内蔵ステップ・シーケンサーに切り替えられます。
アーノ澤田:おお、パパパッとリズムが出てきましたね。
ACID渋谷:そうなんです。今は内蔵のステップ・シーケンサーを使っています。シーケンサーにはいくつかプリセットが入っていて、切り替えて使えます。
アーノ澤田:こうしたリズム系の機材にプリセットが用意されているのは、面白いですね。
ACID渋谷:このシーケンサーは、ステップ数を増やしたり、各ステップのON/OFFを切り替えたりできます。また面白いのがON/OFFは左右のチャンネルを個別に扱うこともできるんです。
アーノ澤田:左右で違う動きにできるんですね。
ACID渋谷:はい。例えば、左右を順番にダッキングすると、パンを高速で振ったような面白い空間演出ができます。
アーノ澤田:空間を操るサイドチェーンですね。こういうことができる機材は、なかなかないんじゃないですか?
ACID渋谷:面白いですよね。もちろん、ダッキングだけでなく、ゲートに切り替えることもできます。
アーノ澤田:これを使ったパフォーマンスや、ライブ・アレンジのアイデアを考える人も出てきそうですね。
ACID渋谷:そう思います。

ACID渋谷:内蔵ステップ・シーケンサーの信号は、内部でパルスとして生成されています。そして、この信号自体をオーディオにブレンドすることもできます。RODECの面白いところは、「この信号も音楽的な素材として使ってほしい」という発想があることです。
アーノ澤田:なるほど。
ACID渋谷:このパルス音にはフィルターをかけられますし、さらにパルス音には、クロマチックに音程を変えることもできます。
アーノ澤田:へえ! 音程まで変えられるんですね。
ACID渋谷:そうなんです。トリガー信号を発生させるだけでなく、それを音に混ぜてしまおうという少しDJ的な発想もある、非常に面白い機能です。
アーノ澤田:トリガー信号にフィルターがかけられるというのも、かっこいいですね。

ACID渋谷:ただこのフィルターには、もう1つ重要な使い方があります。このフィルターはバンドパスフィルターなんです。例えば、今はキック(の帯域)をトリガーにしてサイドチェーンをかけていますが、フィルターをオンにしてカットオフをスウィープさせて行くと、16部で打っているハイハットだけが聞こえるようになり、そうするとサイドチェーンが16分で掛かるようになるんです。
アーノ澤田:トリガー信号から特定の周波数帯域だけを取り出して、そのタイミングで処理するわけですね。
ACID渋谷:そうです。オーディオをトリガー・ソースにした場合、あえてキックだけでなくリズム丸ごとをソースにしてしまってバンドパス・フィルターを使って特定の帯域を抽出すれば、面白いタイミングを狙うことができるんです。これは特にゲートの時に有効だと思います。
アーノ澤田:リズムの中から狙った音を拾って、そのタイミングで加工できるんですね。
ACID渋谷:そうなんです。先ほども言及した通り、トリガーソースを出力にもブレンドできるのでフィルタリングされた音そのものも楽しめるという。
アーノ澤田:なかなか変態的な機能ですね(笑)。よくこれだけの機能を詰め込みましたね。
ACID渋谷:本当にすごいですよね。ちなみにこのバンドパス・フィルターですが、カットオフしかパラメータがありませんが、なぜか若干レゾナンスがかかっているような感触もあります。通すだけで音に独特のキャラクターが加わるんです。
アーノ澤田:レコーディングでどう使うかは、まだすべてが見えているわけではありませんが、この手のハードウェアは、実際に触って面白い使い方を見つけて、それを使うかどうか考えるものですよね。
実際に操作すると、これだけ音が変わる。スピーカーから出てくる音だけでなく、空間そのものが動いているように感じますね。音の変化も、かなり切れ味がいいですね。
ACID渋谷:そうなんですよ。

アーノ澤田:価格はいくらくらいなんでしょう?
ACID渋谷:Side Stepperは、RODEC Oneのシャーシを使用する構成です。シャーシと組み合わせた場合は149,800円(税込)。すでにシャーシを持っている方は、モジュール単体で99,800円(税込)です。
アーノ澤田:シャーシ自体は、そこまで高くないんですね。
ACID渋谷:そうですね。シャーシ単体は59,000円(税込)なので、導入しやすいと思います。バラで購入するよりも、バンドルのほうが1万円ほど安くなります。
アーノ澤田:これとこの間紹介したZESTを入れて、あと1スロットに何を入れましょうかね。

ACID渋谷:それで言えばRODECの製品のなかでも人気の高い、M108というステレオ・プリアンプがおすすめです。ディスクリート回路を採用していて、+30dBのゲインを得られるボタンも備えています。かなり大きなゲインを稼げますし、音の質感も非常にいいんですよ。
アーノ澤田:ではプリアンプを通して、Side Stepperのフィルターで音を加工し、最後にZESTで仕上げる。そんな組み合わせも面白そうですね。そのセットでバンドルを作ってしまえばいいんじゃないですか?
ACID渋谷:作りましょう! おすすめセットですね。
アーノ澤田:明らかに音が変わりますよね。飛び道具的なエフェクトだけでなく、入口となるプリアンプと、最後に音を仕上げるプロセッサーを組み合わせるのがいいですね。
ACID渋谷:さらにJellymixもあれば、かなり充実したセットになりそうです。
アーノ澤田:完璧です!






