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渋澤楽器:ZON AUDIO 今蘇る90年代ベッドルームサウンドの魅力

2026.09.18

ACID渋谷とアーノ澤田が自分たちの気になったものを世界中から仕入れて皆様にお届けしている渋澤楽器。
二人がそれぞれ特に推したいものをご紹介していく企画も早くも第3弾!今回はACID渋谷が、要注目製品としてZON AUDIOの2製品をご紹介!


●ZON AUDIOについて

ACID渋谷:今回ご紹介するのは、ZON AUDIOというアジア初上陸となる新興アウトボードメーカーです。
このデザインの可愛らしさや、独特のコンセプトに気づいた方もいるかもしれませんが、イギリス・ロンドンのALM Busy Circuits、通称ALMと呼ばれるモジュラーシンセメーカーのサイドプロジェクトとして展開されています。

もともとALMではBOSSのBXシリーズをモチーフにしたミキサー「BXx2(現在は生産完了)」や、TASCAMのPortastudioのEQをベースにした2バンドEQ「PE1」などを展開していました。

それらが500シリーズのモジュールとしてさらに進化して登場したのが今回の製品で、アジアの販売店ではRock oNが初上陸の販売店となります!どちらも1990年代の宅録で使われていたような質感を求める人には、かなり興味深い製品だと思います。

●CREQについて

ACID渋谷:では製品について詳しく説明します。今回は2種類あって、まずはCREQから紹介します。
CREQは、MackieのCRシリーズミキサーの回路からインスピレーションを受けて再現を試みたEQで、おそらくCR1604をモチーフにしたものですね。

Mackie CR1604といえば、1990年代のプロデューサーたちが自宅スタジオなどでこぞって使用していたミキサーです。3バンド固定EQとゲインコントロールを駆使しながら音を作っていた、あの時代のサウンドを思い起こさせます。

当時のベッドルームスタイルのテクノなどでは、頻繁に使われていたサウンドなので、耳馴染みのある方も多いのではないでしょうか。CREQの固定EQは、80Hz、2.5kHz、12kHzという設定になっており、各バンドを±15dBで調整できます。
実際に音を聴いてもらいましたが、どうでしたか?

アーノ澤田:CREQは、もう本当にMackieそのものですね。できれば試すときにはもう1台あった方がいいと思いました。ステレオで使うというより、モノラルをたくさん並べて使いたい感じです。
当時の世代の人たちは今のようにプラグインがありませんでしたから、キックのこの帯域を上げてその分ベースを少し下げる、といった具合にEQの上げ下げを使いながら一生懸命バランスを取っていたんですよね。
だからピンポイントで狙った周波数だけではなく、その周辺の存在感ごと上がったり下がったりする。すごくアナログミキサー的なEQだと思います。
それに大雑把さがあるんですよね。細かく音を削っていくというよりお互いの棲み分けを作るためのEQという感じで、切れ方もざっくりしている。

ACID渋谷:なるほど。

アーノ澤田:世代的に実機を使っていたわけではないんですが、これも「最高に雑なEQ」だと思います。もちろん良い意味でね。昔の音がかっこよくて荒々しいのは、機材そのものが荒かったというのも絶対にあると思うんですよ。ただその荒々しさって今の機材ではなかなか再現できない。どうしても部品や回路の品質が良くなってしまうからです。

海外のデモなどを聴いていると、どうしてもTB-303系のベースラインのような荒々しい音を思い出します。デジタル系のプラグインで似たような音を作ろうとしても、結局はデジタルの歪みになってしまう。でもこのEQを使うと、あえて破綻したような音を作れるんですよね。この機材を触ることで、破綻していること自体がかっこいいという状態になる。だからCREQを使わないと出てこない、雑っぽさのかっこよさがあると思います。そういう意味でもステレオで1台使うよりも、全部モノラルで何台も欲しいですね。

ACID渋谷:たしかにリンクスイッチもないんですよね。

アーノ澤田:そう。だからやっぱりミキサー的にモノラルのチャンネルをたくさん並べるイメージなんでしょうね。

ACID渋谷:たしかにそうですね。

●PEBXについて

ACID渋谷:もう一つのPEBXについて説明します。
このPEBXという名前は、TASCAMのPortastudioと、BOSSのBXミキサーに由来していて、PortastudioのEQ部分と、BXのゲインコントロール部分を組み合わせた製品です。

アーノ澤田:なるほど。BXはEQではなくゲインコントロールの部分なんですね。このゲインコントロールがかなり荒々しい。

ACID渋谷:そうなんです。メーカーの説明では、クランチやディストーションによって馴染みのあるスクイッシュ感やリングサウンドを生み出し、1990年代的なキャラクターと存在感を付与できるとされています。もうとにかく突っ込んで使ってほしいという製品ですね。

アーノ澤田:こういうこと、最近はあまりやらなくなりましたよね。インターフェースに直接入れてプラグインで処理するようになってからはこういう極端なことをする機会が減ったと思います。
でもこれを触っていると極端なことをやりたくなってくるんだよね。例えば思い切って低域をカットして、高域を持ち上げるだけでもとんでもない音になったりする。ほんの少し設定を変えただけで、クリップしたような音になったりするんです。プラグインを探している人も多いと思うんですが、実はものすごく思い切った設定によって生まれている音もたくさんある。それをやろうと思えること自体が、この機材の面白さだと思います。最近のミックス系プラグインやハードウェアのマイクプリアンプは、音を整える方向に進化していますから。

ACID渋谷:破綻させようとは、普通は思わないですからね。

●このシリーズの魅力とは

アーノ澤田:ミックスをやっていると、どうしても音を整えることが目的になります。でもこの機材は、音を整える前の音作りとして使いたい。これで遊んでかっこいいと思った瞬間の音を、そのまま録ってほしいですね。
同じ設定をしてもアナログ機材なので、たぶん二度とまったく同じ音は出ない。そういう意味でもアナログの悪ふざけなんですよ。このシリーズのコンセプトが触るだけでしっかり伝わってきます。

ACID渋谷:本当にあの頃の感じが出ますか。

アーノ澤田:「まあ、こうやっていたよね」という感覚が戻ってくる。今は細かく調整できるようになったけれど、昔はこれくらいの大雑把さで作っていた。でもその音が決して悪いわけではないんですよね。むしろそこにしかない良さがある。クリエイターの方や少し破壊的なことをしたいエンジニアの方には、かなり面白い機材だと思います。

ACID渋谷:90年代の、特にダンスミュージックの荒々しいサウンド。初期のドラムンベースやハウスなどのゴリッとした低音の塊感や中域のパンチがまさに手に入る感じです。あぁこうやってたんだ、こうやるしかなかったんだという感じがして本当に面白い。90年代のサウンドや当時の音作りの感覚を取り入れたい方には、ぜひ試していただきたいですね。

アーノ澤田:逆に今の若い世代にとっては、新しいんじゃないですか。90年代の音と言われても、今の世代からすると、むしろフューチャーなものに感じるかもしれない。レトロフューチャーやサイバーパンクのように未来のはずなのに過去っぽい、あるいは過去のものなのに未来的に見える、という感覚がありますよね。
海外の図太いベースサウンドなんかを聴いてると「これはハードウェアじゃないと出せない音なのか」と思っちゃうんだけど、実はソフトウェア音源を古いMackieのミキサーに通して質感を出しているだけの場合もあるから。

ACID渋谷:たしかに実験したくなるというのは、このシリーズの魅力かもしれませんね。

アーノ澤田:昔は何でもMackieにまとめて録る、みたいなことをやっていましたよね。あの頃の感覚を思い出して、だいぶ面白かったです。

ACID渋谷:ありがとうございます!ZON AUDIOのPEBXとCREQ、ぜひチェックしてみてください。

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記事内に掲載されている価格は 2026年9月18日 時点での価格となります
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