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音響良技録店 第16回:SN スネアマニアック編~マイクロフォンのチョイスを具体的に説明~

2026.10.04

スネアのマイクロフォンチョイスのラストは少しマニアックな話しになります。
正直、Shure SM57を、スネアTop,Bottomに立てればほとんど問題は無く良い音でピックアップ出来てると思いますが、それ以上の音をピックアップしたいのとアーティストの求めている音に近づけるには、もっと沢山のマイクロフォンやマイクアレンジを知る事も大切かと思います。
今回はそんな、マニアックな話しをしたいと思います。

スネアのサイドにコンデンサーマイクロフォンを立てる

この図の様に、スネアのサイドにコンデンサーマイクロフォンを立てます。
Sn Topと同じ様に、スネアのサイドに下に向けて立てると位相はSn Topに対して正相で良いです。
このアレンジの大きな理由はドラマーの方の聴いている音をイメージしています。
スネアの裏に張ってあるスナッピー位置の音でチューニングしているのでは無くドラム椅子に座った耳でチューニングをしているので、床に反射して聴こえる音をピックアップするイメージです。
コンデンサーマイクロフォンなので、細かいニュアンスのリムショットやゴーストもピックアップが出来ます。
( なぜコンデンサーマイクロフォンが細かいニュアンスをピックアップ出来るかは第10回のコンデンサーマイクロフォンの解説を参考にしてください)

スネアのSn TopとSn Sideのマイク配置図

Sn Top / Sn Side のマイク配置

このSn Sideに立てるマイクロフォンは、JOSEPHSON C42です。
C42の心臓部であるアンプは選別されたFETによるフルバランスディスクリートのA級作動回路でOTL仕様になっています。

JOSEPHSON C42の周波数特性を見てみましょう!

JOSEPHSON C42の周波数特性

JOSEPHSON C42 周波数特性

コンデンサーマイクロフォンらしい、フラット(平坦な)周波数特性です。
①の5KHzから12KHzのブーストがスネアの抜けと、スナッピーの響をピックアップしています。

指向性カーディオイド(単一指向性)
最大音圧135dB(ファンタム電源48V)

最大音圧135dB(ファンタム電源48V)ですので、そう簡単には歪みません。
JOSEPHSON C42は、僕のお気に入りのコンデンサーマイクロフォンです。

スネアTopにはゼンハイザーMD409

次にスネアTopに立てているマニアックなダイナミックマイクロフォンについて書きます。
第8回でゼンハイザーマイクロフォンについて書いたように、ゼンハイザーマイクロフォンのユニットはとても優秀だと思います。
僕のお気に入りのダイヤフラムマグネットユニットが入っているマイクロフォンは、MD409です。

ゼンハイザーMD409のダイヤフラムマグネットユニット

次の写真がゼンハイザーMD409の写真なんですが最初は、とてもレトロなデザインで興味本位で購入しましたがギター・アンプに立てた所、とても素晴らしいサウンドがピックアップ出来ました。
1960年代のPink Floyd、Queenの映像を観ますと各所にこのマイクが使われています。
多分、当時はダイナミックマイクロフォンの選択数が限られていたのでその年代で多く使われていたのだと思います。
第9回で解説したように、1960年代のマグネットがアルニコであるので現代のマイクロフォンとは音色が違うと思います。

ギターで素晴らしい音がピックアップ出来たので、もしかしたらスネアに良いのでは!?と思い使った所、これまた素晴らしいサウンドがピックアップ出来ました!!
長い年月を経たマイクロフォンは、性能を発揮させるためにメンテナンスが重要です。

ギターアンプに立てたゼンハイザーMD409

ゼンハイザー MD409

中古のMD409をメンテナンスする

STEP 1

中古市場で購入したマイクロフォンを解体すると中は下の写真のような状態です。
この様な状況ではまともな音がピックアップ出来ないので全て、解体してウレタンやホコリを除去しています。
※適切な知識がない状態での作業は、故障の原因になるためご注意ください。あくまで自己責任での作業となります。

解体したMD409の内部(清掃前)
STEP 2

全てのパーツを分解して清掃します。
古いウインドスクリーンを取り外して、新しく張り替えます。
内部配線も新しいケーブルに付け替えをしています。

分解して清掃するMD409のパーツ
STEP 3

配線間違いが無かったか位相のチェックを行って完成です。

メンテナンス後に組み上げたMD409

とても音にシビアなドラマーの方が、スネアのTopマイクに悩んでいましてリハーサルを重ねても納得をして頂けなく、このゼンハイザーMD409を使ったところとても気に入ってもらい、そのTourをこのゼンハイザーMD409で完遂しました。
結局そのドラマーの方も1本欲しいとの事で、フルメンテナンスをして受け渡しました。

ゼンハイザーMDシリーズを深堀りしたいと思います。

SENNHEISER社は、1945年にDr. Fritz Sennheiser(フリッツ・ゼンハイザー博士)により設立された会社です。
1946年にDM1の生産が始まりました、形を見る限りスピーチ専用のようです。その後にDMからMDに変更になったようです。
MDの意味は、ドイツ語の「Mikrophon dynamisch」に由来するとされています。つまり、ダイナミックマイクを示す名称です。

その後に、放送用、楽器集音とボーカル用に枝分かれして行きます。楽器集音の代表としては、1960年に発売されたMD421です。
第8回で説明していますが、最初のMD421のボディカラーは白色でした。1970年以降からは黒色になりました。
2002年MD421-Ⅱが発売され、2024年にMD 421 Kompaktが発売されました。
MD409の様な、サイドアドレスピックアップマイクは、1950年代から製造され1962年にMD407そしてMD409になったようです。
MD409は、ギター・アンプのピックアップマイクロフォンとして温かい音から鋭い音まで対応しやすい点が高く評価されました。
その当時のバンドの映像では、DrumのTomのピックアップにも使われていました。
1990年代になるとBlackfireシリーズBF509が登場して、より使いやすい大きさとXLR コネクターになり1990年代後半になると、evolution wiredシリーズでE609、e906などが、後継機になります。

1960年代の音楽産業が急成長する中に製作されたマイクロフォンを現代に蘇らせ素晴らしいドラムサウンドを作れたのはとても嬉しい事です。
最近、自分のサウンドメイキングについて考える事があるのですが少しずつ明確になって来ましたので、その辺りも今後書いてみたいと思います。

小松久明(音響良技録店)
サウンドエンジニア/サウンドデザイナー。2021年 (株)K.M.D Sound Designを設立。毎年100本以上のコンサートミキシング、企業講演、授業等を通じてサウンドエンジニアの技術を教えている。
記事内に掲載されている価格は 2026年10月04日 時点での価格となります
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