EDMからシネマティック、ポップスまで現代の音楽制作シーンを席巻してきたモンスターワークステーション・シンセサイザー、Vengeance Sound VPS Avengerのメジャーアップデート版である「Avenger 2」。すでに多方面でレビュー記事や動画が公開されていますが、今回のRock oN Paradise「Next Levelツール店」では、制作ワークフローを劇的に変化させる注目の機能にギュッとスポットを当ててご紹介します。
Avenger 2以降、多くの機能が追加されていますが、今回フィーチャーするのは以下の機能です。
Ratchet
ランダマイザー
Ruta Verb
BITBITE
まずは、今回取り上げるAvenger2の機能を活用して制作したデモ楽曲をお聴きください。
・新搭載のラチェット/ランダマイザーによる複雑なリズムアプローチ、そして新エフェクトによる空間・歪み処理を一曲の中に詰め込んでみました。
・シーケンス的にずっと鳴っているパートにリズムを生むためにラチェットとランダマイザーを使っています。
・PfとLeadに新エフェクトを入れています! Pluck系のLeadの太さを出すのにBITBITE PfにRutaVerbを入れて広がり+表に出過ぎないように処理しています。
デモ曲の各パートで、これらの新機能をどのように活用したのか具体的に解説します。
Avenger2のアルペジエーターは単なる音符の自動演奏にとどまらず、シーケンサーやリズムマシン同等の柔軟性を手に入れました。
1つのステップ(音符)を細かく分割して連打(ロール)させる機能。
デモ曲での活用ポイント:楽曲中の使用位置は7秒あたりから鳴り始めるArp系のシーケンスです。Arpだけだと単純すぎるなと思ったのでRatchetでリズムを複雑にしています。

トラップ風の高速ハイハットロールや、メインリードのバッキングでアタック感を細かく連打させるアクセントとして使用しました。従来のMIDI打ち込みでは何個も細かくノートを配置する必要があったトリッキーなリズム展開が、アルペジエーター内のRatchet設定一つで瞬時に作成可能になります。リズム楽器に使っても普通にいい感じなんですが、音階のあるトラックに使うと面白いシーケンス組めるのでよかったです。
ノートのピッチ、ベロシティ、オクターブ、タイミングなどにランダム要素を加える機能。
デモ曲での活用ポイント:楽曲中の使用位置は0:07からのVoiceSeq、0:15あたりからのLeadの音色に使用しています。

サブシーケンスフレーズにランダマイザーをうっすら適用。展開が繰り返される中で毎回微妙にニュアンスやピッチが変化するメカニカルかつ有機的なシーケンスを生み出すことができ、楽曲の「聴き飽き」を防ぐ演出として非常に有効でした。
ExpansionのVocalDreamに入っているボーカルサンプルをシーケンス化するのに使用しました。リズムやピッチをランダムに生成してくれるので、動きのあるシーケンス生成に役だってます。
Leadの音色もフレーズをあえて単調にしており、音階の変化が微細な変化を生み出しています。
Avenger2ではエフェクトセクションも大幅に強化され、サードパーティ製プラグインに匹敵する品質の新規モジュールが追加されました。
非常に高品位で濃密なアルゴリズム・リバーブです。冒頭から入っているPfの音色に使っています。

スペクトラルグラニュラルで作ったパッド音色やブレイクのリード音色に深くアサイン。濁りのない滑らかなディケイが得られ、広がりのあるクリアな広大な空間を作り出すことができました。そのままだと前に出過ぎてしまうPfを深く広がるリバーブをInstertすることにより存在感を調節できています。
ビットクラッシャーおよびローファイ・ディストーション系モジュールです。0:15からのLeadの音色に使っています。

ベース音色やリズムトラックのワンショットに微量追加。デジタル特有のエッジ感や高域の荒々しさを付加し、ミックスの中で埋もれない存在感のあるローファイ/モダンサウンドに仕立て上げました。
Lead音色に追加。太く前に出したいLead音色に入れることによりエッジ感を強調。前に出すだけだと安くなりがちな音色もこれで太くなりました
Avenger2へのバージョンアップは、単なる機能追加を超えて、「音作りの発想そのものを進化させる」出来栄えです。特に、Ratchetやランダマイザーによるリズム表現の高速化、スペクトラルグラニュラルによる未知の音響テクスチャ生成、そしてミックスまで自己完結できる高品質な新エフェクト群の追加により、インスピレーションを止めることなく一気に楽曲を形にできるパワーを備えています。
これからAvenger2を導入される方、あるいは旧Avengerからのアップデートをご検討中の方は、ぜひ今回ご紹介した新機能を活用して、ワンランク上のサウンドメイキングに挑戦してみてください!