パラダイス

瀬川商店 第49回:アトモスミックスの準備その②

2025.10.20

前回の続きです。アトモスミックスの準備として次に必要なモニター環境ですが、やっぱりヘッドフォンでも作業したいわけですよね。以前からロックオンカンパニー(ロックオンプロ)で販売しているProceed Magazineで何度も紹介されているSONYの360 Virtual Mixing Enviroment、並びにMIL (Media Integration Lab)Studioでの測定に興味はあったんですが、なかなかよし試そう!というタイミングがなかったんです。

しかし、今回アトモスミックス案件が控えてるという大義名分ができましたから、肩で風切ってMIL Stduioで測定して自分のプロファイルを作ってもらいました。

360VME測定サービスで利用できるMILスタジオ。4π再生環境を擁し、あらゆる立体音響フォーマットに理想的な再生環境を提供する。

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まずMIL Studioで色んなアトモスミックスの音源を聞かせてもらって、その部屋の鳴り方に少し慣れます。そして自分の耳に測定用のマイクを装着します。


これがちょっとムズムズするのかなと思ったんだけど、マイクは耳の中で浮いている状態になるので、テープで止めてしまうとそれほど気になりませんでした。このシステムは自分の耳の聞こえ方を再現するものなので取得したデータも人それぞれで違うし、その後の微調整の度合いもこれまた人によるんですね。各方向のスピーカーからスイープノイズを聴いていきますがこの時当然自分の頭(まあ正確には耳だけど)を動かしてはいけないので、これが一番緊張します。

ここで僕からアドバイスがあります。普段どういう姿勢で作業しているのか測定の前に意識して確認した方がいいですよ(笑)。「はい、それでは測定して行きま〜す、頭動かさないで下さいね〜」と言われて「あれ、そういう言えばあまり姿勢正しくするのも普段の僕らしくないし(すごい猫背なんで)、普段どんな姿勢なんだっけな、、、」とちょっと考えちゃいました(笑)



測定自体は多分10分もかからずに終わります(もっと短いかな?)。そのあとスピーカーからスイープ音を聞いたり、僕の測定データを使った状態のヘッドフォンから聞いたり、、、を繰り返して方向や高さに違和感があるポイントをスタッフに伝えてデータを補正してもらいます。

僕の場合は左上方向にスピーカーとヘッドフォンで聞いた時に違和感があったのでそこを詰める作業を何回かしました。

そこの修正が終わって、最初に視聴していたアトモスミックスをもう一度スピーカーとヘッドフォンで聴き比べて細かい調整をします。ただこれはアトモスミックスの経験が全くない僕が細部のどこを気にすれば良いのかよく分かってないので、調整し切れてるのかどうかは正直自信がありません(笑)

この写真のデータの見方は説明受けたんだけど、即全部理解できるほどの知識が僕にはないし、使いながら気づく点も多いんだろうなあ〜というのが正直なところです。

そもそも、このSONYのヘッドフォン自体も初めて使うわけ(僕が選択したヘッドフォンはMDR-MV1です)だし、慣れが必要だよね。ただ上下左右に関してのモニターができるので、楽曲制作時のアトモスのパンニングの仕込みというポイントではもうこれでかなりいけるかなという時間はありました。MDR−MV1メーカー紹介ページ

とりあえず、これでNuendoのアトモス用のテンプレートを組み上げるところから今後初めて行きたいと思う所存であります!

瀬川英史(瀬川商店)
劇伴の作曲家やってます。Netflix「シティーハンター」アニメ「烏は主を選ばない」等。シンセは危険物取扱者の甲種レベルの知識あり(多分)。
記事内に掲載されている価格は 2025年10月20日 時点での価格となります
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