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日本のストリングスの”あの音”を再現したソロストリングス音源!『Tokyo Scoring Solo Strings』レビュー!

2025.12.02

Impact Soundworks社が日本のユニークなストリングスサウンドに着目し、ゲーム・アニメ・映像音楽などで活躍するトップクラスのストリングス・セクション“室屋光一郎ストリングス”の演奏をキャプチャーし作成された『Tokyo Scoring Strings 』は、”日本のストリングスサウンドが持つ独特の繊細なニュアンスやダイナミックな表現をもっと知って欲しい”というImpact Soundworks社の想いから始まり制作された製品です。

相澤 光紀氏など日本のエンジニア/演奏者/スタジオ、またクリプトンフューチャーメディア社との共同開発によって“日本的なストリングスの質感”を再現しており、そのサウンドはJPOPを始めとした楽曲への親和性が高く、リリース以降から根強い人気がある音源となっています。

今回新しくリリースされた製品『Tokyo Scoring Solo Strings』は、オリジナル同様に室屋 光一郎氏を含む奏者によって演奏され、高品質なレガートや柔軟なワークフローをそのままに『Tokyo Scoring Strings 』を完璧に補完するソロストリングス音源として開発されたとの事で、
『Tokyo Scoring Strings 』を所持されている方にはもちろん、使いやすいソロストリングス音源を探している方にも注目の製品となりそうです!

今回はそんな『Tokyo Scoring Solo Strings』を実際に触りながら、シリーズをご存知でない方にも内容が伝わるようレビューいたします!

日本的なストリングスの質感とは

日本で音楽をよく聴いている方には慣れてしまってピンと来ないかも知れませんが、ここを掘り下げてみましょう。
日本的なストリングスの特徴として、

  • 小〜中規模編成
  • スタジオ録音
  • 機敏で正確さを持ったサウンド

である事が挙げられ、これらを再現する事で映画/アニメ/ゲームなど日本発のサウンドトラックでもよく聞かれる“日本的なストリングスの質感”が得られるとの事です。
この製品がその他のストリングス音源とは異なるアプローチで作られている事がより分かりますね!

UI画面

では早速起動しましょう!
こちらがメインのUI画面です。

中央に位置するのはダイナミクスとビブラートのコントロール、モノフォニック/ポリフォニック 切り替え、アルコ奏法時に有効なビブラートの量のコントロールなどがあります。
また上部にはメイン画面から画面を切り替えるタブメニューが見えますね!
下部はサウンドエンジン部のオプショナル的な機能となっており、

-ZERO LATENCY
レガート機能が無効化されます。レイテンシーが殆ど発生しなくなる為、ライブ演奏やリアルタイム演奏での打ち込みに適しています。

-STANDARD
通常のモードで、レガートサンプルはレガートモードと速度に応じて再生されます。

-LOOKAHEAD
MIDIノート作成時にデータを微調整することなく、アーティキュレーションの自動選択、レガートタイミングの調整、アーティキュレーションオフセットを自動化することで、弦楽器パートの作曲プロセスを簡素化できるモードで、ピアノロールでのMIDI作曲、クオンタイズされた演奏の再生、楽譜表記プログラムの使用に最適です。

上記の様な内容になっています。
LOOKAHEAD機能はオリジナルのTokyo Scoring Stringsにも備わっています。
ユニークな機能ですね!

上部の”LONGS”, “LEGATOS” ,”SHORTS” タブではキースイッチに割り当てられた各奏法の調整や、マッピングの変更が可能。こちらは後述するTotal Articulation Control Technologyの機能が含まれています。
特定の奏法のサウンドを確認する場合にも便利ですね。

プリセットについて

プリセットは楽器/マイクポジション毎に分かれています。
収録楽器はバイオリン ( 1 / 2 ) 、ビオラ、チェロ、コントラバスで、
マイクポジションは下記の中から選択可能。

-Anima Mix
Impact Sound Works社独自のクインテットスタイル・ミックス。
録音された4つのマイク信号(クローズ、サラウンド、サイド、バック)から生成。クリアで明るく、細部まで鮮明に再現。

-Close Pair
ドライなアップフロントサウンドを実現する、クローズマイクのステレオペア。

-Mic Mixer
4 つの個別のマイクポジションをブレンドして独自のサウンドを作成可能。
各マイクポジションの種類は以下になります。

  • Close: 鮮明なディテールを追加するために使用できるクローズマイクのステレオペア。
  • Surround: フルサラウンドサウンドを拾うために、ステージの前に後ろ向きに配置されたマイク。
  • Side: 左右の端に設置されたマイクで、サラウンドよりも広いステレオイメージを追加する
  • Back:ステージの後方、左右端に配置されたマイク。

まずはAnima MixかClose Pairで使用して、必要に応じてMic Mixerを使用するのが良さそうですね。

サウンド

メーカーのサウンドデモを聴いて頂くと分かりやすいと思いますが、
総じてタイトなサウンドで、日本人としては馴染みはあるんですがこの質感の音源は他に無いんですよね!
このサウンドが個人的にはイチオシのポイントで、
ゲーム・アニメ・映像音楽などにはもちろん、JPOPを始めとした歌物の楽曲にも相性が良いですし、タイトなサウンドが求められるビート系の音楽にも親和性がありそうです。

日本の奏者の演奏を収録しているので当然ではあるのですが、
細かなニュアンスなどにも繊細さを感じたり、非常に”日本っぽい”です。
音源でここまで再現出来るのってすごいですよね。

ちなみにちょっと気になったので、各マイクポジションの音を単独で確認してみました。

SurroundやSideでも質感が変わるような変化は無いので、特に気にせず音像のコントロールは出来そうです。
リリースの短さなどの要素があるサウンドは、収録スタジオであるSound City Studioの特徴でもあり、よりタイトなサウンドを得る点にも寄与しているとの事。

Spectral Fusion SystemとTotal Articulation Control Technologyについて

製品の大きな特徴であるSpectral Fusion System と Total Articulation Control Technologyは、Impact Soundworks社独自のシステムです。

Spectral Fusion Systemは音の継ぎ目(2つのサンプルの間)をスペクトル分析し滑らかに融合するSpectral Fusionという技術を使用しており、6万以上のレガートサンプルから適した物を自動的に選択し、音色の変化やアタック感の差異含め補正して繋げます。
これにより手で打ち込んだMIDIノートでも、実際に人間が弾いたかのような自然な旋律として再生する事ができます。

Total Articulation Controlはアーティキュレーション(奏法)を自由に管理・切り替えるための仕組みで、キースイッチを 押してる間だけ/押したら固定 の動作設定を変更したり、ベロシティが切り替わる値の設定を変更したりと、ワークフローに合わせて組み換えられるシステムです。
キースイッチ位置も変えられるため、例えば他社製の音源と同じ位置に合わせて整合性を持たせるといった使い方も出来ますね。

Tokyo Scoring Solo Stringsはその質感が大きな特徴ですが、使用感やサウンドを強く下支えしているこれらのシステムもポイントです。

まとめ

『Tokyo Scoring Solo Strings』の魅力をご理解頂けましたでしょうか。
ストリングス音源自体のご相談は多く、各社様々な音源がリリースされている為迷ってしまう事があるかと思いますが、

・音源のサウンドが好みな方(ドライなソロストリングス音源を探している方)
・Tokyo Scoring Stringsを所持されている方
・歌物/ゲーム/アニメ/映画音楽にソロストリングスをプラスしたい方
・リアルなソロストリングス音源を探している方
・他社製音源と使い分けてソロストリングス音源を導入したい方

にオススメできます!
個人的にはやはりサウンド感が特に取り上げたいポイントです。

現状同様の製品は見当たらないため、音が気に入った方には是非使って頂きたい音源です!
アンサンブルでの音源『Tokyo Scoring Strings』は弊社記事も出ておりますのでご興味あれば是非ご確認ください。
https://www.miroc.co.jp/rock-on/tss/

Rock oN ソフトウェア研
ソフトウェア愛に溢れたRock oNスタッフ達
記事内に掲載されている価格は 2025年12月02日 時点での価格となります
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