パラダイス

Vienna Ensemble Proを使って悩みの種のCPU負荷から解放されよう

2026.03.12

VSL(Vienna Symphonic Library)からVienna Ensemble Proの最新版、『Vienna Ensemble Pro 8/8V』がリリースされました!
『Vienna Ensemble Pro 8/8V』(以下 VEP8/8V) は、VSLが長年アップデートを重ねてきたネットワークホスティング&ミキシングツールです。複数のプラグインやサンプルライブラリを複数のPCなどで分散処理する事ができ、高トラック数・大規模ライブラリでもPC全体としての処理能力を底上げすることができます。
(1台のPCで使用する場合でも、VEPはDAWとは独立した別プロセスとして動作するため、DAW側のCPU負荷を切り離して軽減する効果があります。)

製品ラインナップはノーマルバージョンの「8」と、高度なビデオエンジンが統合された拡張バージョンの「8V」の2種類。
8VではAbleton Liveなどの映像出力があまり得意ではないDAWなど含め、DAWと映像再生で負荷分散を行いつつポストプロダクションなどを行う事ができます。

Macを買い換えるたびに「このマシンでもスペックが足りないのか・・」と度々鳴るノイズに絶望してきた私ですが、
今回はAbleton Live 11 使用、シングルPCでの運用をベースに、一緒に製品を確認し、理解も深めていければと思います!

接続について

VEP8/8Vの動作として、
DAWとは別のソフトウェアとして起動しているVienna Ensemble Pro Server(以下 VEPS)に、DAW上の専用プラグインで接続するという構造になっています。
(実際に使用する本体とも呼べるのはDAW外で起動されているVEPSです)

そのため最初に、本体となるVEPSをスタンドアロンで起動します。
その後DAW上でVEPプラグインを起動し”Connect”を押すと、下記のような接続先の選択画面に移りますので、
VEPS側で起動されているインスタンス名(ミキサー画面のようなもの)を選択すると接続が完了します。
(なお1つのDAWプロジェクト上で同一インスタンスは一度しか紐付けできません)

↓作成した”Test1″という名称のインスタンス

また、フェーダー下部箇所でそれぞれのアウトプットチャンネルの選択ができます。
今回では各チャンネルをDAW側へパラアウトしますので、下記のようにそれぞれ異なるチャンネルにアウトプットするよう設定します。

あとはDAW側で同じ数のMIDIトラックを作成し、それぞれアウトプットされているチャンネルを接続すれば完了です。

備考:Ableton Live 11での接続について
今回使用するAbleton Live 11では上記のような設定ができないため、別途プリインストールされている「External Instrument」というインストゥルメント・プラグインを使用します。
作成したMIDIトラックにインサートし、このプラグイン内でVEPSからそれぞれアウトされているチャンネルを選択します。

これで、Ableton Live 側にVEPSの各MIDIチャンネルがパラアウトされるようになりました。
なお、VEPS側で出力されているチャンネルをインプットとしたトラックを作成する事で、
オーディオを取り込む事も可能です。

また「Vienna Ensemble Pro Audio Input」というプラグインを使用すると、
オーディオトラックの音声をVEPSに送り、VEPS上でFXなどを適用したものをDAWにまた戻す、といった事も可能になります!
こちらを使えばエフェクトのかけ録りなんかも負荷分散状態で行えるようになりますので、今までI/OのDSPしか使っていなかった方でも好きなプラグインを使用してかけ録り出来るようになります!革命的です。

↓「Vienna Ensemble Pro Audio Input」はDAWプロジェクト内で紐付けされているVEPSインスタンスに対して、接続を行うことができます。

実際に使用してみて

慣れてくるとサクサクと音源を立ち上げていけます。
予めよく使う音源を立ち上げておいて、DAWプロジェクトとセットでテンプレート化しておくとより快適に使えそうです。
(ちなみにファクトリープリセットとして、Big Bang Orchestraシリーズなど他VSL製品のプリセットは予め用意されています。)

そして今回のアップデートの大きなポイントの一つでもありますが、
VSLの最上位エフェクトプラグイン集である「VIENNA SUITE PRO」の全プラグインと、ウィーンの伝説的なレコーディングステージのサウンドを再現する「Synchron Stage Reverb SO」が付属するようになりました。
特に「VIENNA SUITE PRO」は良い値段で販売されているものなので、こちらが付属するのは大変太っ腹。
サードパーティプラグインとは異なり、VIENNA SUITE PROのプラグインはEQやコンプレッサーなど、ミキサー内でも視認性が良い形で表示がされるので、大いに役立ってくれそうです。

またVEPシリーズの魅力としてテンプレートの扱いやすさがあり、大規模なオーケストラテンプレートや大量のサンプルライブラリを読み込むプロジェクトでは、ロード時間やCPU負荷がどうしても問題になりがちですが、VEPは一度立ち上げたインスタンスを維持したままDAW側のプロジェクトを切り替えることもできるので、重いライブラリを何度も読み込み直す必要がなくなります。

今回単一PCでの使用という事で、DAWとアプリケーションを分ける事によるCPU負荷の分散も主な狙いになります。
処理能力の差として、VEPを使用したプロジェクトと、そうでないプロジェクトを用意し比較をしてみたところ、やはり少し動作が軽くなっており、負荷分散による効果を感じる事ができました!
ちなみに、10トラック以下などトラック数が少ない状況では、VEPを使用しない方がトータルでのCPU負荷は軽い状態でした。

当然ではありますが負荷分散を狙う場合は別途処理用のPCを用意する方が効果が得られやすいので、私もゲーム用で買ったものの使わなくなっているWindows PCを使用していこうと思います!
Macは購入後からの増設や仕様変更は基本的に出来ないのでこういったツールがあると非常に助かりますね。

他のプラグインホストツールとの違い

プラグインホスト系のツールとして「MainStage」(macOS限定)なども挙げられますが、「MainStage」はライブパフォーマンスに特化している事もあり、VEPとはポジションが異なります。
特にネットワーク分散処理の部分は代替製品がほぼなく、複数PCを連携させて大規模な制作環境を構築する事も出来るため、プロの映像・音楽作家が長年使い続けているのも、こうした唯一無二の立場があるためでしょう。
単体PC運用でも、DAWとは独立したミキサーとしてプラグインを整理できる点は便利で、制作環境をより柔軟にしたい人にも十分おすすめできます。

まとめ

今回紹介した機能以外にも、制作に役立つ機能が盛り沢山で含まれており、内容を考えるとコストパフォーマンスにも優れていると感じます。
小規模なプロジェクトしか使わない方以外には、ほぼ誰にでもおすすめ出来るプラグインかとは思いますが、

・DAWの負荷やロード時間を減らして制作効率を上げたい方
・大規模なサンプルライブラリを使ったオーケストラ・映画音楽制作をしている方
・Ableton LiveやFL Studioなど映像を扱う事が得意ではないDAWでも映像を扱いたい方

などの方には抜群にはまるかと思います!

個人的に特に推したいのは、テンプレートの常駐運用によるロード時間短縮/クラッシュ保護の快適さと、VEP上でのビデオ再生機能です。一度この環境に慣れると、もう元には戻れないと感じるほどのクオリティ・オブ・ライフ改善が待っています!

Rock oN ソフトウェア研
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