これまでの【Spottingシリーズ記事】 → 初回|第2回
自分だけでSpottingセッションする場合はNuendoでスポッティングする場合もあります。
劇伴の作曲家やゲームの作曲家、それから音響効果の仕事をしている人でNuendoを使ってるユーザーが多いのはCubaseと違って複数のムービーをインポートできるので、前のバージョンのムービーと見比べるのに便利なんですよね。ただ数週間前にVienna Instruments社からVienna Ensemble Pro 8V(この最後にVideoの”V”がつくやつね!)がリリースされて早速次の映画の仕事で使ってますが、これがかなりいいのでそのうちムービーはVEPに載せるやり方がスタメンになるかも、、、ちなみに日本でVEPは略して「別府、べっぷ」と呼ばれてますねw LAだと「ヴィーエーピー」でした。
さて、Nuendoでもムービーにたいして空のオーディオリージョン(オーディオリージョンじゃないとダメなの)やテンポ感のリファレンス曲をあててみてスポッティングしていくやり方は基本的には同じです。
というわけで書き出し方の説明いきます。
File/Export/Cue Sheet…
から以下のようにチェックボックスにチェックを入れてテキストファイルを書き出します。

この後の作業はProToolsの時と一緒で、MacのAppleScriptを使います。Nuendo用の上記ZIPファイルをダウンロードして解凍、中のアップルスクリプトファイルをダブルクリックしてください。スクリプトエディターの右上にある横三角▶️をクリックして実行すれば、Google Sheetsに必要なテキストのみを抽出してバッファーに出力するので、あとはSheetにペーストすれば、それ以降の作業は前回と同じです。

一応スクリプト実行直後にこういうウィンドウが出るので、NuendoからCue Sheet書き出す時どれとどれチェックするんだっけなあ〜って時は参照してください。僕自身も忘れちゃうことあります(笑)
昨年からGoogle Sheetsの関数もGeminiが手伝ってくれるようになったし、かなり便利な時代になりましたが、一旦テンプレート作ったらあとは毎回それを使えばいいだけなので、自分のGoogle Sheetsにプロジェクト毎に磨きをかけてブラッシュアップしてください。
どのDAWでも共通したことですけど、オーディオリージョン&ムービーを1フレーム、10フレームずつナッジするショートカットは必須です。映画の仕事だとこのショートカットをマジで数百回叩くことになります。
それから僕は現在はFrame IOというサービスを使ってますが、改訂した箇所を映像サイドに展開して確認してもらうワークフローの確立も必須です。撮影が終わってポストプロダクションに入っても映像スタッフはあちこち移動し続けてるのが常なので、1GBの映像を送って「ダウンロードして確認してください」式のやり方だと、結果的に改訂した音楽に対してのフィードバックが遅延するだけなので非現実的です。
余談ですが海外の映画のエンドロールに
といったクレジットを見かけることがあります。撮影が終わって編集のテンポ感をみるために既存のトラックを映像に合わせて編集して監督や映像の編集スタッフとやり取りする専門職です。実際に音楽がついた時にアクションシーン(だけじゃないけど)のテンポ感がこの編集でいいかどうかを判断するための音楽をつけていく仕事、ですね。
海外でも常に問題になりがちですが、最初は「仮の(Temporary)」音楽でも何度も何度も聴いて、それに合わせて映像を編集していくと、その音楽から監督の頭から離れなくなって、よっぽど作曲家がその「仮の音楽」のクオリティを超えないと、監督からオッケーもらえないという問題ですね。
昔CMの音楽を書いてる頃はそういう場面に僕も度々遭遇しました。これほんとにやっかりな問題なんですよね。その仮の音楽のイメージからは逃げないといけないけど、監督の要望とクオリティは越えなきゃいけないという、、、僕にとっての結論は、そういう監督とは二度と仕事をしない、、、でしたけど(笑)
日本の映画業界では僕の知っている範囲ではTemp Musicだけで生計を立てている人はいないと思います。ただ、選曲さんがテンプトラックを選んで映像に合わせて監督とテンポ感や音楽の温度感の確認する場面は多々あるようですから、その場合は作曲家がそのテンプ曲をフォローしなければいけない場合があるようです。
僕の場合は、そういうテンプミュージックにまつわるトラブルを避けるためにできるだけポスプロに入る前から監督や選曲さんと連携してデモトラックを聴かせたりするようにしています。実際に来年公開の映画の部分的なデモを昨年の12月に書いたりもしてますから「撮影のかなり前から関わることも積極的にする」ということですね。撮影が終わって編集に入ってからも「アクションシーンや編集が難しいシーンは先に書くよ〜」という空気はいつも出してるつもりだし、実際そうしてます。
これは作曲家それぞれのスタイルがあるでしょうから、あくまでも僕はそうしてますということですけどね。でもいずれにしても早い段階からCue Sheetを使って管理していかないとどのバージョンをどの編集にあてたのかとか分からなくなりますから(だって撮影してる間は別件書いたりしてますからね)。やっぱりCue Sheetは劇伴とは切っても切り離せないってわけです。