ドラムマイクロフォンのバスドラをピックアップするマイクを数回に渡り書きましたが、” 未だにB.Dかよ!” って思っている方がいましたら申し訳ございません、まだまだ続きます。僕はバスドラに対する執着心がかなり深いです。第6回でも書いたフレーズを再び。
今まではバスドラの外に立てるマイクを中心に解説しましたが、今回はバスドラの中に置くマイクについて解説をします。バスドラの外にあるマイクは、客席からも見る事は可能だと思います。最近はサービスの大画面LEDがありますので、僕がコンサートを勉強で観に行く時にはマイクチェックをしております。
バスドラの外のマイク写真はこちら

今回のテーマであるマイクは、客席からは絶対に見る事は出来ないバスドラキットの中にあります。

このマイクロフォンは、バウンダリーマイクロフォンというカテゴリーになります。まずバウンダリーマイクロフォンの定義についてご説明します。

この様なハーフカーディオイド(半指向性)を利用してバスドラキットの中の音をピックアップする狙いになっています。僕は下の写真のSHURE BETA91A-Xというマイクロフォンを良く使っていますので、このマイクロフォンで説明をします。
まず、バスドラキットに入れるバウンダリーマイクロフォンは、大きな音圧に耐える必要があります。(歪まない事です!!)最大音圧レベル:155dB SPL(1kHz、THD1%)という数字ですので、まず歪む事は無いです。ほとんどのバウンダリーマイクロフォンは、コンデンサーマイクロフォンですので、ファンタム電源+48Vを入れてください。
周波数特性はこちら

コンデンサーマイクロフォンならではのフラットな特性で、5KHzから8KHzに増幅があるので明るいアタック音になります。点線の400Hzのディップ(へこみ)は、マイクロフォンの背面にあるEQスイッチを入れた特性です。400HzのディップスイッチのOn/Offは好みだと思います。コンソールチャンネルEQで400Hz周辺をカットしている状況であった場合、マイクロフォンでEQを入れれば、そのポイントは別の周波数に使えるので利点でもあります。
マイクロフォン背面のEQスイッチ

指向性における周波数特性

SHURE BETA91A-Xは、小、中、大のライブハウスには常備されているスタンダードなバウンダリーマイクロフォンです。他のメーカーのバウンダリーマイクロフォンも紹介します。
周波数特性はこちら

500Hzを中心にディップ(へこみ)を作っていますので、タイトなアタック感と低音域も伸びています。

125Hzから1KHzまではとてもきれいな指向周波数特性であります。
FOH(客席に対して)ミックスの場合、バウンダリーマイクロフォンだけですと低音域の厚みが足らないので、バスドラの外に置くマイクロフォンと混ぜています。
では、どちらを中心に考えて音作りをするか。それはFOHサウンドエンジニアの考えによります。僕の場合は、まずバスドラの外の音で低音域を作り、その音に対してバスドラ中のバウンダリーマイクロフォンを足して行きます。
この音作りに関しての詳細は次回の第12回で書きたいと思います。少し難しい話になってきますがなるべく分かりやすくを心がけて書いてみます。
最後に、バウンダリーマイクロフォン設置の注意点を書きますね。とても細かい話ですが、、

とても些細な事ですが、ドラマーの楽器の鳴りに関わる事ですので、とてもセンシティブに考えたい所でもありますね!!
では、次回もお楽しみにしてください!
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