今日紹介するTipsはStringsの刻み、特にアクション系のトラックで使う小技なんだけど、劇伴やってる作曲家、特にSpitfire Audioのストリングスライブラリーを使っている人は大体皆んな知ってるし、特に目新しい小技でもないんです。ただ個人的な聞き取りによると(?)、劇伴作曲家志望の若い子があまり知らないようなので紹介します。
アクション系のアレンジで必ず使うストリングスの奏法と言えば、SpiccatoとStaccato。ただどこのライブラリー音源もストリングスを生録音したSpiccatoに比べると、アタックとエッジの立ちがイマイチ、、、って事が多いんですよね。闇雲にSpicattoのパッチをレイヤーしていっても最近はどのストリングスライブラリーもラウンドロビンさせてるせいで、アタック感が足されたとしても、その代わりにリズムのバラツキが目立ったり、、、と何かと難しい。
そ・こ・で、ピッチを上げて(つまり再生速度を上げると同意義)、その変わりパッチ内のトランスポーズで下げるという手段を使うわけです。実際上げるだ下げるだ言っても+2、+3、+4のいずれかになると思います(まあ好みだけどね)。+5だともう音質がかなり変わってしまうし、かと言って+1だとオリジナルの設定とまだあまり違いがないし、、、
具体的にはこのGUIの上のTUNE PAN VOLの中のTUNEを+4にして、右下のTRANSPOSEを-4にするだけです。
もちろん、このトラックだけを鳴らすんじゃなくてTUNE UPもTRANSPOSEもしてない同じパッチも同時に鳴らすんですよ!そしてこのピッチを上げたトラックはマルチバンドのコンプを使ってさらにキュッと締めたり、歪系のプラグインでエッジを足したりもします。皆んな大好きな(でしょ?)OTT使ってもいいしね(笑)。
エッジをどんどん足す以外にも、マイキングポジションでTree系を減らしてCloseの割合を増やして音像を手前に持ってくるとか、またその逆で少し遠目にポジショニングすることでエッジを控えめに足す、、、というやり方もあります。これもやはり曲の目指す方向次第ってわけですね。
別の案として、僕はこのストリングス音源もちょいちょい使ってます。なんと無料!Heavyocityありがとう〜!
Heavyocityのライブラリーは割とタイトだけど、これは特にタイトなスタッカート(というかこの短さはSpiccatoだけどな)音源です。
どの音源をどう使い分けるかは曲の方向性によるよね。打ち込みのリズムが入るようなアクションシーンならばストリングスはかなりタイトで良いけど、例えばジョン・ウイリアムズ系の規模の大きいアンサンブルの場合はマルチバンドコンプ使うようなSpiccatoのサウンドは全然フィットしないですからね。そういう場合は今回紹介したやり方よりも以前紹介したようなラウンドロビンの回数を減らして発音タイミングのムラを減らすというやり方の方が良いと思います。 瀬川商店 第十回:ラウンドロビン所謂RR
是非試してみてください!