みなさんこんにちは、PD安田です。2026年も暑い夏がやってきました。この時期になると毎年自身の勉強がてら比較機種を集めて、実際の差を感じつつ、それを記事にして参りました。
これまではマイクやアウトボードや、AD/DAなど音の比較をメインに試して参りましたが、そういえば…「最近の88鍵盤のラインナップ比較」やってないな…と思いましたので、今回は代表的なブランドから出ているハンマーアクションが搭載された鍵盤タイプの比較に挑戦をしていきます。
なお、この記事を見ている方はわかるかと思いますが、88鍵盤のタッチの感触は実際に触って弾いていただくのがベストでございます。しかしながら各メーカーが揃って、気軽に比較できる環境も難しいかと思いますので、私なりの独断と偏見を織り交ぜつつ、文章で各々の鍵盤に対する情熱を記していきたいと思います。それではいざぁ!

さてさて、88鍵盤って実際必要なの?というところですが、ご存知の通りこのサイズになると「大きくて重い」です。設置場所がどうしても限られてしまう場合は、61鍵盤が候補になってくるのが現実的なお話かなと思います。ましてやピアノがメイン楽器ではない方からすれば、少ない鍵盤数でも片手で演奏するなり、基本的なコード演奏は十分に行えるので、無理に導入しなくても大丈夫な面があります。
さらに88鍵盤は前述の通り大きくて重いという部分があります。重くなっている原因としては、実際のピアノと同じ仕組みで発音できるように、似たようなアクションになるよう設計されてますが、このおかげでリアルさが出るものの、内部では複雑な仕組みとなってしまうため、シンセの鍵盤と比べて重くなっております。なお88鍵盤未満の鍵盤は大体シンセタッチと呼ばれて、比較的軽めな弾き心地となっております。割とキーボーディストでも片手で弾かれる方も多く、片手向きなのかもしれません。
ですが、88鍵盤でなければできないこととして「音楽的な帯域を視覚化した上で表現力を最大に活かした作曲」が挙げられるかなと思いますが、実際ピアノで奏でられる帯域こそ理にかなった音楽的な音域で、ほとんどの楽器演奏を網羅できるのもピアノと言う楽器の強みかと思います。詰まるところ、88鍵盤を主体で作曲に挑む、また演奏に挑戦するというのは演奏技術も高めつつ、オリジナル楽曲へアプローチできるアイデアが広がるので、設置含め、腕に自身がある方は積極的に88鍵盤導入を検討して欲しいと思います。
前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、ピアノの音楽的なアプローチを目指すべく、実際に各ブランドが繰り出す88鍵盤を比較していきたいと思います!

まず初めに紹介するのがKORGが出しているDigital PianoカテゴリのB2+です。安価でありながらも、軽くないタッチ感の88鍵盤となっております。本来の製品コンセプトは自宅の電子アップライトピアノなのですが、USB MIDIがついているため、今回ピックアップいたしました。
接続、ドライバー関連はとても簡単でWIndowsの方は「B2+ Driver」検索すれば、KORGのメーカーサイトより、MIDI Diverのダウンロードページに辿り着きます。Macの方は接続するだけですぐに使用可能です。

続いて、実際のタッチ感の具合ですが、よく楽器店さんで電子ピアノを触る方は、わかるかと思いますが、アップライトピアノみたいだけどスタンドがない、いわゆるスタイリッシュな鍵盤だけタイプの電子ピアノと感触が近いです。加えて本体自体の重さもスピーカー内蔵という割には、今企画の中で比較的軽くできており、ちょっと部屋の模様替えなどでも気軽に移動も可能です。しかし、それでもタッチ感は軽すぎず、重すぎずという作りになっております。
弾いた打感は弾き始めにボコっとした感触はないのですが、最後まで押し込むところまで平均的に程良い重さになっているので、手応えある感じもおすすめポイントではあります。これはエスケープメント機能が特にないので、この様な叩いている感触はないものの、普段ポップス系の気軽な楽曲を演奏される方でピアノをやっていましたというような方におすすめです。

そしてMIDI鍵盤カテゴリーで見ても比較的安価ではありますが、KORG B2+にはスピーカーが内蔵されているので、電源を入れたらそのままピアノの音が出せるのは個人的に高評価です。「なんか次の曲のアイデアでいいのないかな…でもパソコン立ち上げるのめんどくさいかも」という方や「元々練習目的で気軽に始めるけど、どこかで作曲用途にも使いたい!」方にはバッチリなピアノとなっております。さらにメトロノームもありますので、フレーズ練習にも気軽にできま。(音色も数種類入っており、結構アイデア出しにはぴったりな製品ではないかと思います)
なお、後ほど述べますが、この手のMIDI鍵盤のお値段による影響は、鍵盤へのコストがどれぐらいかかっているかが重要になっております。B2+は安価で、且つ今回の取り揃える鍵盤の中ではコンセプトが違うものの、音源機能も多彩であり、ピアノがあるという環境が同時に備わるので、普段ピアノ楽器がメインでない方でこれからご検討されたい方にはぴったりかと思います。

続きまして、タイトルの通り、鍵盤のタッチにコストを振った「SL88 GT MKII」登場です。
こちらは鍵盤専門メーカー「Fatar」社の最高TP400という鍵盤が搭載されており、素晴らしいタッチだけどこの価格!という比較的価格も考えられた製品となっております。早速、今回弾いてみた感触としては、他機種と比べて全体的にやや軽めなタッチが印象的でしたが、しっかりとした打感が再現されており、ガコっていう感触がとても気持ちいいです。なので、実際にソフト音源を鳴らしてみると、ちゃんと意図した強さで表現ができるので、手元にちゃんとしたMIDI鍵盤が欲しい方は、SL88 GT MKIIが有力候補になるのではないかなと思います。
なお、このSL88GTみたいに良い鍵盤になると、どうもハンマーがスムーズな動きになる傾向にあるので、普段アップライトピアノをよく弾いている方はベロシティカーブを維持ってやや重くするか、若干慣れが必要かもしれません。(でも触れば触るほど馴染んでいきますので、デフォルトのままで演奏するのがおすすめです。)

また鍵盤自体のしっかりとした感じは非常に高く、横へのガタ付きな感じもなく、トータル的にみて安定した質感となっております。かなり信頼できるMIDI鍵盤であるかなと思います。

逆にシンセ弾きからするとピッチベンド関連は割と小さく、ガッツリと操作するつまみにはなっておりませんので(88鍵盤には不要かな…)シンセ演奏としてはこのモデルじゃない気軽な61鍵盤もあるとベストかもしれません。加えて操作ボタンは上部にあるので、その分全体の幅のサイズは比較的最小限に収められているのもSL88ならではの特徴です。

先ほどのSL88 GT MKIIを置くのが難しいという方にはこの73鍵盤のSL73MKIIです。加えてSL88 GTと同様に、Studiologicの鍵盤は左側にピッチベンドなどのつまみ関連がないので、両サイドはとてもスッキリしており、サイズも本企画で最小サイズとなっております。

なおSL73MKIIはSL88GT MKIIと比べて鍵盤のグレードが一つ下がっており、その分価格もだいぶお手頃になっております。では実際のタッチ感はどうなのかと言いますと、思ったよりも浅くない!という印象です。大体安価な鍵盤となると、押し込んだ感触がやや浅め人流印象で、強くガンと弾いた時と弱く弾く時の表現力がうまく再現しにくいのですが、SL73はそんなこともないくらいに、しっかりとしております。でも自宅のアップライトピアノの深さと比べると、全体的にはやや浅めな感触です。
もう少し違う表現をするならば、やや昔のワークステーションシンセの88鍵盤タイプがやたらに押し込みの感じが絶妙な深さとなっておりますが、この感じに加えてちょっと浅い方かも?という感じです。でも、ソフト音源の反応はしっかりついて来てくれますので、そこまで大きな違和感はないかと思います。

ちなみにSL88GT MKIIでも同じ機能が搭載されていますが、SL73MKIIにもUSBで繋げばそのままPC/Macまたはタブレットからなどで、オーディオの出力が可能です。これも先ほどのKORG B2+と近い使い方が可能で、とりあえずタブレットなどの端末があれば、そこからホームピアノのように演奏が可能です。

続きまして、ソフト音源として有名なKOMPLETEを中心に設計されたKOMLPETE KONTROL S88 MK3の登場です。本機の良さはなんと言っても鍵盤が光るところです。本当はKOMPLETE KONTROLという専用のソフトエンジン、またはKONTAKTを使用すれば、割り当てられたキーの配分で色も変わりますので「どこかキースイッチ?」とか、ギターやその他の楽器の音域外に配置された装飾音、とか効果音なども色が分かれるので、ソフトの画面を見ずにして、鍵盤見れば判別できるようになっております。(ピアノの場合は88鍵盤フルで使用しているので、今回の様に青一色ですけどね!)
案外こう光るのは制作意欲が高まるので、お部屋自体の映えを意識したい方はおすすめです。

さて、肝心な鍵盤のタッチ感ですが、これまでの感触から比較すると、押した後の戻りが少し緩い感じがあります。押し込んでボコって戻ってくというよりも、もわっと戻ってくる感じです。正直これまではピアノタッチを意識した感じがありましたが、ややワークステーション系シンセ寄りなタッチ感でした。
ある意味、オルガン系、グリッサンドもよく使われる方はこのKONTROL S88が使い勝手が良さそうです。

続いてコントロール部分ですが、これまでは左手の上部にあったのがKONTROLでは左端になっております。シンセ目線で言えばこの位置にあるのが割と定番ではあり、そしてホイール方式が採用されておりますので、シンセプレイヤーから見ても演奏に特化しているな!というのも感じ取れるかと思います。そして「FIXED VEL(ベロシティ)」を押せば127固定になるので、シンセのベースラインとか均一なサウンドを奏でたい時にも有効活用可能です。なんだか制作ベースかと思いきや、結構パフォーマンスに向けても考えられているな…!?と改めて思いました。なので、リアルなピアノの感じというよりは、ワークステーションシンセのようにこのマスター鍵盤を主体にした制作環境を整えるというコンセプトではないかなと思います。

初代のA-88はカテゴリー内で比較的人気な機種でしたが、そこからさらに進化し、A-88MKIIとなり、MIDI2.0への対応は勿論、鍵盤界でも早くにUSB-Cの導入がされ、新しいMacやWindowsへの対応もとても早いです。
さてA -88MKIIの鍵盤の特徴ですが、他社メーカーと大きく違うのが「手触り」で、象牙調の少しざらっとした感じと、弾きごたえのあるハンマーアクションはピカイチです。普通に88鍵盤を自宅に構えて長く活用したい方はA-88の選択肢はアリかなと思います。

なお私自身、ホームピアノ系のイベントに出向いて、割と古くから鍵盤の感触を確かめているつもりではあるのですが、今回SL88 MKII GTと比較して、A-88MK2は重めかもという感触でした。もう少し詳しくかくと、鍵盤そのもののタッチ感がほんの少し重めで、そして発音も若干重めという感じです。
なお発音が重い部分においては「ベロシティカーブ」を調整することで、スムーズな発音が可能ではあるので、個人的には、一つ前のLIGHTで設定するのがいいのではないかなと思っております。ただ、鍵盤を押し込んだ入りの感触は最も深く感じ、どっしりとした発音タイミングになるので、クラシックでピアノのダイナミクスを生かした楽曲を作りたい方には結構合うのではないかなと思っております。(デフォルトではMEDIUMが設定されております)
ちなみにこのベロシティカーブについて調べて知ったのですが、昔に比べてベロシティカーブの調整がすごく簡単になっており、「SHIFT」ボタンを押しながら「OCTAVE」を上さげするだけタッチ感を変えられるようになってました。

最後にRolandのピッチベンド操作といえばこれです。加えてUPPER 1,2とあり、LOWERもあるので、MIDIのチャンネルをスプリットしながら、左手にベース音、右手にピアノといった一人パフォーマンスができるのも特徴的かなと思います。
幅的には少し大きいものの、奥行きがコンパクトにできているので、パソコンとの距離もそこまで広げずに環境が整えられるのもポイントです。
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さてさていかがでしたでしょうか?案外ブランドが違うと、鍵盤のタッチ感についてそれぞれキャラクターがあり、どれが優れているなどはないのですが、とりあえず簡単にポイントを押さえると以下の通りになるかなと思います。
KORG B2+:いつでもピアノが奏でられる環境が欲しい方
Studiologic SL88GT MKII:タッチに拘りたい方
Studiologic SL73MKII:サイズ的にどうしても…という方
Native Instruments KONTROL S88:制作とパフォーマンス両立的な面が欲しい方
Roland A-88 MKII:以上を踏まえた結果バランス良いのを求める方