スタッフレビュー

REVIVAL 4000とSUPER 9000の特徴をSSLのジムに聞いてみた!

2025.11.18

往年の名コンソールを1CHのチャンネルストリップの形に構成し、個人ユーザーも導入がしやすくなった1UアウトボードのREVIVAL 4000とSUPER 9000!

サウンドキャラクターや細かい機能の違いなど、自分にはどっちが向いているんだろう!という方にむけておすすめの記事となっております!

マニュアルには記載のないポイントを、SSL本国のJames Motley (通称:ジム)に徹底インタビューを行いレポートでまとめました!

まずは、オルタネイト福山独断による結論から!

※あくまでも判断材料の目安として参考くださいませ。

REVIVEL 4000は、サウンドキャラクターの変化を求める方向け。ジャンルでは、ロックやポップス向きで、サウンドに一体感やパンチが欲しい方におすすめです。
SUPER 9000は、フラットでクリーンなキャラクターを求める方向け。ジャンルでは、 ヒップホップやEDMなど、クリーンでタイトな低音が不可欠なジャンル。また、録音した音の繊細なニュアンスを、ありのまま忠実に再現したい方におすすめ。

選択のポイントとなる両機種の違いを徹底解説!

1、音の「味付け」— 温かみのある4000 vs 透明な9000

REVIVAL 4000
4000シリーズは、音に積極的なキャラクターを与える設計になっているとのこと。特に、入力部分に「トランス」が使われていることにより、音に自然な倍音(ハーモニックディストーション)が付加され、これがいわゆる「アナログの温かみ」や「一体感」を生み出し、サウンド全体がまとまり、深みと一体感を与えるとのこと。

SUPER  9000
意図的な歪みを徹底的に排除し、録音された音を限りなくフラットかつ「クリーン」に再現することを目指して設計されているとのことで、素材そのものの良さを100%引き出すことに集中し、余計な味付けは一切しない構成となっているようです。

この音のキャラクターの違いを、表で簡潔にまとめると下記です。

特徴SSL 4000SSL 9000
基本特性温かく、倍音(歪み)が付加されるクリーンで、極めてフラット
サウンドの印象アグレッシブ、ロック的正確、モダン
主な要因入力トランスの存在歪みを排除した設計

【豆知識】なぜトランスは「温かい」音になるの?
4000シリーズで重要な役割を果たす「入力トランス」は、電気信号を物理的に変換する部品です。この過程で、元の音にはない「倍音」と呼ばれる成分がわずかに加わります。これが楽器の音を豊かにし、人間が心地よく感じる「アナログの温かみ」や「音楽的な歪み」の正体です。完璧なクリーンさとは違う、この「美味しい付加価値」こそが4000シリーズの魅力の核心です。


2、音の広がり方の違い:ワイドな4000 vs センターに集まる9000

「音の味付け」の違いは、そのまま「音の広がり方(音像)」の違いに直結します。

4000シリーズの豊かな倍音はサウンド全体を接着剤のようにまとめ、ワイドな印象を生み出します。一方、9000シリーズのクリーンさは、各楽器の輪郭を際立たせ、正確な定位感に繋がります。

• REVIVAL 4000
4000シリーズを通したサウンドは、音が左右に広がり、「ワイドに聞こえる」傾向があります。ボーカルやギターが中央にカチッと定位するというよりは、少しラフで、空間全体を包み込むようなサウンドステージを作り出します。ソースの言葉を借りれば「センターにいるように聞こえない」独特の広がりが魅力です。

• SUPER 9000
対照的に9000シリーズは、音が中央に集まり、非常にタイトでフォーカスされた音像を作り出します。特にキックドラムのような楽曲の中心を支えるべき音が、「本当にどセンターにいる状態に聞こえる」のです。すべてが「ピシッとしてる」印象で、ブレのない正確な定位感が得られます。

そのため、どちらがいいということでなく、作り上げるサウンドイメージによって、4000と9000の使い分けが理想的です。

3. 得意技の違い:職人技のEQを持つ4000 vs. 高性能なダイナミクスを持つ9000

ジムによると、現場のエンジニア同士でよく話題になるのですが、面白いことにある専門家はこう語っているとのことでした。

「I like the 9000 dynamics. But the 4000 EQ(9000のダイナミクスは好きだ。でもEQは4000の方が好きだ)」。

この言葉は、両者の得意技を的確に表しています。

4000の強み (EQ)
4000シリーズのEQ(イコライザー)は、その音楽的な効き方で、今なお多くのエンジニアから絶大な支持を得ています。単に周波数を調整するだけでなく、音にキャラクターとパンチを与えるための「攻めのEQ」として非常に優れており、サウンドを積極的に作り込みたい場面でその真価を発揮します。

9000の強み (ダイナミクス)
9000シリーズのダイナミクス・セクション(音の大小の差を整えるコンプレッサーなど)は、現代的な高性能VCA(音量を制御する心臓部)を搭載しており、非常にクリーンで高速な反応が可能です。特にキックドラムやベースのようなパワフルな低音楽器のコントロールに優れており、サウンドの土台をしっかりと固めたい現代的な音楽制作において、強力な武器となります。

その他いろいろ質問してみました!

Q:搭載されている機能的に、この価格帯でリリースされるのには正直驚きなのですが、一体どのようにコストパフォーマンスを上げているのでしょうか?

A:今回の製品で、最も製造時にコストがかかる部分は筐体なんですが、複数のモデルで同じ筐体とパワーユニットを用いることによって、全体的なコストを下げ製品プライスに反映することができました。

※同じ筐体を使用している製品は、SSL18、REVIVAL 4000、SUPER 9000、加えて、32classic MS ( ; Mix Strip)も。

Q:ステレオ収録など、2台で使用する時にサイドチェインマッチがあると思うんですが、マッチさせる項目はどこになりますか?

A:マッチングは、コンプ部分のVoltageのみになります。

Q:SUPER 900に搭載されているルートFLIPについて、どのような機能なのでしょうか?

A:MIC/LINE入力の接続を入れ替えます。これにより、LINE入力がマイクプリアンプに供給され、MIC入力がLINE入力パスにルーティングされます。用途としては、LINE入力時に、VHDを使いたい場合に使用します。VHDはマイクプリの回路上にしかないためです。

ご注意:FLIP スイッチを押す前に必ず 48V スイッチを OFF にしてください。

補足:Hi-Zスイッチはマイクプリ回路のインピーダンスを11kΩに変更します。
(ギターやベースを直接接続する用途としては設計していません)

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オルタネイト福山
アウトボード、マイク、ソフトウェア音源全般が得意ジャンル。おすすめの音源などご相談ください。
記事内に掲載されている価格は 2025年11月18日 時点での価格となります
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