DJヘッドホンって制作用やリスニング用のヘッドホンと違って独特の個性がありますよね。まず現場での遮音性と最大許容入力の高さ、そしてビートマッチングのし易さ、低域の再生能力、そして可搬性&耐久性など求められる項目が多く、メーカーがそれぞれの個性を発揮したプロダクトを生み出しています。
ちなみに筆者のDJヘッドホン遍歴はというと、ジェフミルズに憧れて買ったSONY MDR-Z700DJ、頂き物のPioneer HDJ-1000、ベルリンのミニマル勢に憧れて買ったSENNHEISER HD25(大昔は5万円くらいしましたよね!?)、華やかなV-MODA Crossfade、Phononなどそれぞれ何度か買い直したりすぐ乗り換えたりしてきました。
長年DJをやっていると、自分のやり易いモニターの仕方も定まってきて、その要件を満たすものを使い続けていくことになります。モニターというのは簡単に言うと次に再生するトラックを片耳で聴いて、頭出し〜ビートマッチングを行うことなんですが、いろいろなスタイルがあります。代表的なのは①普通にヘッドホンを両耳にした状態から片方だけ耳の後ろにずらすパターン、②ヘッドホンを首に掛けて片方だけを耳に押し当て肩で挟むパターンなどです。①②をやり易くするためにヘッドバンドとスピーカーユニットの付け根が可動するタイプのヘッドホンがあります。このタイプは位置を固定し易かったり、パーツの捻れを回避してヘッドホン本体への負担が軽減されたります。しかしこの可動部分が弱点となり壊れやすかったりと一長一短です。やはりタフさは大事!
色々使ってきましたが私が辿り着いたDJヘッドホンの要件はこれでした。
まず①軽いこと。これは持ち運びの楽さと頭に固定した時のフィット感の二つの面から求められたことでした。持ち運びの楽さはそのまんまですが、フィット感の方は、私の場合は重くてゴツいヘッドホンだど下を向いた時に髪の毛で滑ってしまい、よくずれてしまいました。逆に軽くて側圧がしっかりしたタイプなら下を向いた時でもずれないのでそう言うものを選ぶようになっていました。
そして②シンプルなこと。上でも書きましたが可動箇所が多いタイプのヘッドホンは大体その場所が折れたり割れたりしてしまいました。シンプルな構造の方が故障も少なく結果的に長く使うことができました。シンプルなものでも①のタイプならフィット感も問題なしです。
最後に③パーツ交換可能なこと。ヘッドホンはズバリ消耗品です!イヤーパッドは汗に晒され時間が経つと必ずボロボロになりますし、ヘッドバンド部分も同じく頭に擦れてボロボロになります。あとはケーブルが断線したり。またクラブやライブハウスにはナイトライフの独特の香りがありますので、ヘッドホンにもそれが染み付いてきます。パーツだけ交換できる機種であれば、問題有りのパーツだけ自分で交換しながら長く快適に使い続けることができて、サステナビリティ的にもGood。
そして今回取り上げるのが、そんな3条件を満たしたAIAIAI TMA-2 DJ。今のヘッドホンがくたびれてきたので新しい季節に向けて買ってみたのでレビューをお届けします。前置きが長過ぎましたね。そして本文は短いです。
まず箱を手に取った瞬間に①軽いをクリアしました。めっちゃ軽い!そして箱を開けて中身を出した瞬間に②シンプル③パーツ交換可能を一気にクリアしました。
箱の中には5個の袋が入っており、それぞれにパーツが入っています。そのうち1つはポーチなのでヘッドホン自体はたった4つのパーツで出来ています。なんというシンプルさ!イヤーパッド、ヘッドバンド、ケーブルはもちろん、スピーカーユニットまでもが交換可能なんです。
組み立ても一瞬でした。特にイヤーパッドの取り付けは結構面倒な場合が多いですが、AIAIAIの場合は4箇所の凹凸を押し込むだけで、今までで一番シンプルで簡単でした。
そして音はというと、中低域に厚みがあるマイルドなサウンドという印象。これはAIAIAIのスピーカーユニットの個性に加え、イヤーパッドが小口径の耳載せタイプなので物理的に中低域にフォーカスされている影響が大きいと感じました。DJヘッドホンは高域までガッシガッシに鳴るものと、大音量でも耳に刺さらないマイルド系のものがありますが、後者だなと感じました。特にモニタリング環境がうるさくて大音量でモニタリングしないといけない場合には高域が元気すぎると耳がだいぶ疲れます。
ただ私は高域がもう少し聞こえた方が全体像が掴み易く、またハイハットのズレが気になるタイプなので、チューニングすることにしました。ヘッドホンでレコードを聴きながら気に入った箇所をサンプリングしてそのまま曲作りに移行したりするので、DJヘッドホンを制作である程度使用することがあるのもサウンドの好みの理由の一つです。
イヤーパッドをより大型のE04に交換してみると、狙いどおり高域が聴こえ易くなり全体的にスッキリした好みの音になりました。AIAIAI TMA-2 DJを制作にもある程度使いたいと言う方は大型イヤーパッドへの交換がオススメです。
パーツ交換が自分で簡単にできるAIAIAIのヘッドホンは、相棒として長く付き合えることでしょう!