みなさま、バンドリハではどんなマイクを使っていますか?おそらく多くの方が、スタジオに常備してある定番の Shure SM58 を手にしているのではないでしょうか。もちろんSM58は名機ですが、今回はその“上の世界” Shure が誇るプレミアムマイク KSM11 のレビューをお届けします。
KSM11は、もともと2022年に Shure のワイヤレスシステム向けとして誕生したモデルです。そして 2025年3月、ついに待望の XLR 接続の有線版「KSM11B/C-A」がリリースされました。「ライブ現場で話題のあの音を、有線で気軽に使えるようになった」…ということで、個人的にも非常に楽しみにしていた1本です。

KSM11は、手持ちで使う“ボーカル向けコンデンサーマイクです。コンデンサーマイクというと、スタジオ録音用で繊細なイメージもありますが、KSM11は ライブやリハーサルでも使える耐久性と実用性を前提に作られています。
コンデンサーマイクなのでミキサーやオーディオインターフェースからの +48V ファンタム電源が必須。リハスタでも最近はコンデンサーマイクを置いているところも増えてきましたが、接続時にはファンタムのオン/オフに一応注意しておきたいところです。
メーカーが語る KSM11 の特徴
公式ページの説明を読み解くと、KSM11 が“プレミアム”と呼ばれる理由がはっきりします。
・3/4インチ ゴールドダイアフラムのコンデンサー・カートリッジ
高品位なパーツと Shure 独自の設計により、ダイナミックマイクでは出しにくい繊細さとレンジの広さを両立。

・深いカーディオイド特性で軸外の位相歪みを抑制
ステージのドラムやギターアンプなど、周りの音が多い環境でも必要な声だけを正確に、濁りなく拾うよう最適化。

・高度なショックマウントでハンドリングノイズを低減
手持ちで歌っても、カタカタ音や振動がほとんど気にならない 安定感。
・硬化スチール製グリル+3段階ポップフィルター
破裂音が抑えられ、生声に近く・自然で・安定したボーカルサウンド を実現。
文章だけ読むと「全部入りのすごいマイク」という印象ですが、実際の使用感もかなり近いものでした。
今回 KSM11を実際のバンドリハに持ち込み、生ドラム・ギターアンプが鳴る普通のスタジオ環境でテストしました。

① 繋いだ瞬間“そのままで使える音”が出る
第一印象はこれでした。コンデンサーマイクですが、過度に繊細すぎたり、クセが強すぎたりしないので、
という扱いやすさ。SM58 と比べると「情報量が多いのにまとまりは良い」感じで、ボーカルが自然にスッと前に出てきます。
② ファルセットが消えないのが気持ちいい
特に感動したのがこれ。バンド演奏に埋もれがちなファルセットや弱い声でも、輪郭を保ったままスッと抜けてくる ため、歌いながらのストレスがありません。歌ってる本人が気持ちよくなるマイクだと感じました。
③ スイートスポットから外れてもバランスが乱れにくい。
多少マイクポジションがズレても急に細くなったりボフっとするようなバランスの崩れが少ないです。
声の質感が安定しているので、歌いながら無意識に「楽」になります。コンデンサーマイクでこの“許容範囲の広さ”は、かなりポイント高いと感じました。
Shure KSM11は、
・コンデンサーならではの繊細さ
・ライブ現場向けのタフさ
・EQ無しでも成立する自然さ
・軸外ノイズの少なさ
・ファルセットまで綺麗に拾うニュアンス再現
これらが全部そろった、ステージ&リハ向けの非常に完成度の高いボーカルマイクでした。
特に、
には強くおすすめできます。
「普段のリハ環境でも、ちょっといいマイクを使うとここまで歌いやすくなるのか」と、個人的にも驚きのある 1本でした。

最後に、KSM11は本体も軽量で扱いやすく、ステージユースを前提にした頑丈なつくりになっています。さらに、持ち運びに便利な専用セミハードケースが付属しているため、リハスタへの持ち出しもまったく苦になりません。
「普段のリハから自分専用の1本を使う」と、それだけでボーカルのクオリティと安定感は大きく変わります。
ぜひこのKSM11を導入して、リハーサルから本番同様の“良い音”を体験してみてください。