Shureといえば、プロフェッショナル用マイクやイヤモニターで知られる、信頼と実績のオーディオブランド。そんなShureが送り出すプレミアム密閉型ヘッドホン「SRH1540」は、スタジオ用途はもちろん、上質なリスニング体験を求める方からも高く評価されているモデルです。
今回は、実際の使用感とともに、その魅力と実力をじっくりとレビューしていきます。
■ 外観・付属品──“プロ仕様”を感じさせる丁寧なつくり
開封してまず目を引くのが、付属品の充実ぶり。Shureロゴ入りの専用ハードケースに加え、着脱式ケーブルが2本、交換用イヤーパッドまで同梱されており、現場や移動の多い制作環境にも安心して持ち出せる構成になっています。
本体は航空機グレードのアルミニウムとカーボンファイバーを採用した堅牢かつ軽量な設計。美しいカーボンパターンにShureのロゴが浮かぶハウジングは、無骨さと高級感が同居する、質実剛健な美しさを感じさせます。
■ 装着感──長時間の作業も快適に
SRH1540は耳をすっぽりと覆うオーバーイヤー型で、装着した瞬間にその快適さが伝わってきます。
イヤーパッドには、スエード調の人工皮革「アルカンターラ」を採用。これは高級車の内装にも使われる素材で、柔らかな手触りと通気性の良さが特徴です。蒸れにくく、長時間の使用でも不快感を感じにくいのは大きなメリット。
ヘッドバンドも軽量かつ柔軟性があり、全体の重さはわずか286g。側圧も適度で、長時間の装着でも頭や耳が疲れにくく、モニター作業にも集中できます。
■ 音質──フラット志向ながら、音楽的な“豊かさ”も兼備
最初の印象は、「自然でニュートラル、そしてとても聴きやすい音」。高域は伸びやかでありながら耳に刺さるような鋭さはなく、中域はボーカルや楽器の輪郭を丁寧に描き出します。そして低域は過度に強調されることなく、音楽全体を支える“安定した重さ”を感じさせます。
シンセサイザーのピアノ音色で試したところ、アタックや余韻の表現が自然で、長時間の演奏でも耳が疲れにくい印象。ドライバーユニットが耳にぴったりと張り付くような感覚ではなく、少し距離を感じさせるような音場表現も印象的で、密閉型でありながら開放感のある聴き心地を実現しています。
個人的に試してみたかったのがトーンホイールオルガンとの組み合わせ。SRH1540をNord C2Dや外部のロータリースピーカーのエフェクターに接続して聴いてみたところ、左手と足鍵盤でのウォーキングベースの低域は力強く、ロータリーのエフェクトも立体的に広がります。本物のロータリースピーカーは夜間に鳴らすのが難しいですが、このヘッドホンなら“あの雰囲気”をしっかり感じられる。オルガンの練習用モニターとしても、想像以上に相性が良かったです。
全体としてはモニターライクなフラット傾向ながらも、ほんの少し低域寄りのバランス。これがリスニングでも心地よさにつながっており、ミックス時にもローエンドの判断がしやすく、制作用途にも十分な性能を感じさせます。
■ 密閉型の利点──遮音性と汎用性を兼ね備える万能型
SRH1540は、Shureの開放型フラッグシップ「SRH1840」の兄弟機とも言えるモデルですが、本機は密閉型であるため遮音性に優れています。
クリックやガイドトラックの音漏れが少なく、ボーカル録音時のモニターにも最適。加えて、静かな夜の作業や、音を外に漏らせない環境でのチェック、移動中のリファレンス用途など、多様なシーンで“頼れる一本”として活躍します。
■ 総評──プロもリスナーも納得の“静かな本気”
SRH1540は、派手なチューニングや過剰な演出とは一線を画し、音の正確さ、快適な装着感、堅牢な作りという「本質的なクオリティ」を追求したモデルです。
ミュージシャンやエンジニアはもちろん、音楽を深く楽しみたいオーディオファンにもおすすめできる一本。プロ仕様の信頼性と、日常使いできる快適さを高いレベルで両立しています。
Rock oN Companyでは、このSRH1540を実際にご試聴いただけます。高品質な密閉型ヘッドホンをお探しの方は、ぜひ一度この“静かなる実力”を体験してみてください。