Shure最新のUSBマイク MV7i は、2025年3月にリリースされ、多くのクリエイターに注目されたモデルです。
MV7iはShureの配信・ポッドキャスト・ナレーション・モバイルレコーディングなどの現代的な用途に最適化されたMVシリーズの新製品で、同シリーズのMV6やMV7+は既にストリーマー・ポッドキャスト向けの人気製品となっています。
そんなMVシリーズのニューカマーである本製品、最大のポイントはマイク+外部入力の2ch INPUT仕様になっている点です!
MV7iはマイク自体が2chインターフェースの役割を持っており、
PCやスマートフォン等でオーディオインターフェースを使用せず、マイクだけ接続すれば弾き語り配信などが実現できるというところは非常に嬉しいポイント。
その点を実際に使用し確認しつつ、全体をレビューしていきます。
外観はMVシリーズと同様の形で、剛性がありそうなメタルボディ。
マイクは他のMV7シリーズにも見られるダイナミック形式であり、防音など十分に行われていない空間でもルームノイズなどを拾いにくい、といったメリットがあります。
しっかり目のウィンドスクリーンがついており、試しに息を吹きかけてみましたが吹かれ音はかなり軽減されますね。
めちゃくちゃ近づいて咳でもしない限り気にならないと思います!
ちなみに初めてマイクを購入される方には、コンデンサーマイク=いい音 というイメージを持っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、音質よりも音の拾い方や感度が異なる形になるので、配信などに気軽に使えるマイクとしては断然ダイナミックマイクが使いやすくオススメです。
そして背面はXLR/TS/TRS 入力に対応したコネクタとUSB-C出力、ミニフォンアウト端子がついています。
こちらがMV7iの大きな特徴とも言える部分で、MVシリーズの便利さはそのままに、ギターなどの楽器を繋いで弾き語りの配信をしたり、またはマイクをもう1本接続してのポットキャストを収録したりなどが可能となる訳ですね!
あと蛇足ですがシルバーのMV7iプレートがカッコいいです。
接続はUSB-C接続です。動作安定性のためPCとの直接接続が推奨です。最初に横着してハブ経由でMacに接続しましたが、うまく認識されませんでした・・・
ボディ側面にはカラーLED付きのタッチパネルが搭載されており、各種操作が可能な他、レベルインジケータなどの役割も果たしています。
現在は中央で緑色に点灯しており、正常に接続されている事を示している形です。
例えばマイクのミュートはここをポンと1回触るだけでミュート/解除ができるので、ボタンをわざわざ押す必要がなく便利です!
製品のもう1つの大きな特徴となっているのがMOTIV Mix™ アプリケーションです。
このアプリケーションはMV7iの性能を最大限に引き出すためのコントロールセンターのような役割を担っています。
「ナチュラル」「ダーク」「ブライト」など音質を変更したり、適切な録音レベルにマイクゲインを自動調整する機能/ノイズフィルター機能のオンオフ、コンプレッサーやリバーブなどの設定などかなり多機能なアプリケーションとなっています。
またミキサー画面では各種入出力先の変更や設定変更が可能。
正直ここまで高機能だと思っていなかったのですごく驚きました・・
下記はMac版のMOTIV Mix™ アプリケーションを起動した画面です。
大きな機能としてはDSPモードの切り替えが可能で、
・スピーチモード
・歌唱モード
・楽器モード
の3つのモードが用意されています。
それぞれ名前の通りの音声に最適化されるような設定になっており、スピーチモードではデフォルトでオートゲインが有効になりノイズフィルターが強めにかかったり、歌声モードではコンプレッサー/リミッターなどのダイナミクスをONにできたりします。
逆に楽器モードではノイズフィルターが意図しない動作をする事があるので、デフォルトではオフになっていますね。
もちろん、各種設定はデフォルトから変更が可能で、用途に応じて柔軟な設定が可能です!
またiOS / Androidで動作するスマートフォン版のShure Plus MOTIV™がありますので、
スマートフォン等でMV7iを使用する場合はこちらを使用します。
※マイクとの接続のためUSB-C端子搭載のデバイスである必要あり
モバイルデバイスを接続した場合は下記のように、とってもシンプルな接続になります。
配線が複雑にならないのが最高です!
なお、MV7iにINPUTされた信号は下記のいずれかの方法で出力ができますが、その設定の選択もこのアプリ内で行います。
・ミックスダウンモード(デフォルト設定)
MV7iのマイク音声 + 背面のライン入力(TSやXLR)を1つのモノラル信号にミックスして出力
・マルチトラックモード
MV7iのマイク音声 → 左チャンネル、外部ライン入力 → 右チャンネルのステレオ信号で出力
・ステレオモード
TRS接続時に有効で、TRS接続音声をステレオ出力
Shureと言えばな定番マイク、SM58を所持していますのでそのマイクと音質を比較してみたところ、
SM58がミッドレンジにフォーカスされたパンチのある音である事に対して、MV7iはより明瞭でモダンな印象を受けました。
高域が滑らかではありつつも耳に痛くない自然なバランスですし、配信向けマイクとは言いつつも音質が劣っているとは全く感じないです。
もちろんSM58とは用途が異なるので一概には言えませんが、伸びのある広域は声のニュアンスを捉える事に有利に働きますし、今時のチューニングで非常に好印象でした。
声の音質いいなぁと思いつつ側面のタッチパネルをタップしミュートしたあと、エレキベースを接続してみました。
USBマイクに楽器を接続するのが初めての経験だったので全く予想出来ていなかったのですが、
これが随分良い音で鳴っているので驚きです!
オーディオインターフェースに楽器を入力すると、いかにも「LINE直で接続してます!」みたいな露骨な音になる事があると思うのですが、
こちらはいい感じにナチュラルに色付けされていて、コンプレッサーをかけたりするともう大分楽しいサウンドになります。
先に説明した通り音質を「ナチュラル」「ダーク」「ブライト」など選べることなどから、プリアンプが入っているような状態になってると思うので、そう考えると納得です。
絶妙なチューニングで素晴らしいですね。あくまでもナチュラルなので、嫌いな方はあまりいなさそうな色付けです。
利便性が高く音も良く、配信向けに最適化された機能を十分に備えており、高い性能を持ったマイクです。
現時点では類似製品がかなり少ないので、PC/モバイル端末問わずUSBマイク1台でマイク音声 + 楽器配信を同時に済ませたいなら、MV7iは特に有力な候補になるでしょう。
楽器入力の音が良かったのがすごく印象的だったので、個人的一押しポイントは音質の良さですね!
モバイルレコーディングを視野にいれた設計な事もあり、全く問題なく録音できるクオリティです。
弾き語り配信/収録を考えている方へのファーストチョイスとして十分にオススメできますし、
既にオーディオインターフェース併用で配信を行われている方にも是非一度使ってみてほしい製品です!