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KONTROL S61 MK3 レビュー

2024.09.23

今回取り上げる商品はNative InstrumentsのKONTROL S61 MK3です。

KONTROL Sシリーズは他にも1オクターブ音域が狭い49鍵のS49と88鍵ピアノタッチのS88がありますが、今回取り上げるS61はシンセ鍵盤のSシリーズの中でも最も音域の広いモデルで、両手でシンセ鍵盤を演奏する場合はこのモデルがおすすめです。

まずは各部を見てみましょう。

電源

電源はUSB-Cからの給電となります。USB-Cポートは二つありますが、通常はHOSTをコンピューターに繋げばOKです。これで一本でコンピューターとのMIDI接続され、USBバスパワーでKONTROL Sにもコンピューターから給電されます。

大画面の液晶ディスプレイ

MK2は左右に2画面の構成でしたが、MK3では1枚の大きな画面に変わりました。

本製品はKONTAKTのようなNI純正のソフトやサードパーティーのNKS対応のプラグインをMIDIキーボード側からブラウジングやエディットが可能で、画面が大きくなったことでより多くの情報を視認することができるようになりました。

画面右にある大きなノブは回すだけでなく、ボタンのように押し込んだり、ジョイスティックのように上下左右に押し込みが可能で音色のブラウジングもこの大きなノブで選択します。

NKS対応プラグインならはじめから画面下のノブにエディット可能なパラメーターがマッピングされておりますので、すぐにKONTROL S側から音色エディットが簡単にできます。

鍵盤

Sシリーズは伊FATAR製のキーベッドを採用しています。

FATARの鍵盤はKONTROL Sシリーズ以外にも世界中の様々なメーカーのシンセやMIDIキーボードなどに使われてます。

鍵盤の上には鍵盤ごとにLEDが搭載しており、色も変えることができます。音色のスプリット時の色分けに使用しますが、キースイッチでアーティキュレーションを変えるストリングスやホーンなどの音色の場合、演奏用の音域とキースイッチの音域の色分けができるのは便利ですね。

さらにMK3からポリフォニックアフタータッチに対応、押し込んだ鍵盤ごとに独立してアフタータッチのモジュレーションをかけることができます。このアフタータッチ機構があることによるものかもしれませんが、鍵盤のストロークは少し浅く感じます。

DAWトランスポート

DAWの再生やレコーディング、クリックなどをコントロールできます。

また、Undo、RedoやクオンタイズもKONTROL S側から操作が可能です。

DAWのボタンを押すことで画面上にミキサー画面も立ち上げることができるのでパートごとの簡単なボリュームやPANの調整はKONTROL S側から調整が可能です。

プラグインのエディット画面

では実際にKONTAKTの音源を立ち上げでみてKONTROL S上での操作を見てみましょう。

今回立ち上げた音色はNOIRE。単純にピアノ音源としても使用ができますが、この音源の特徴はなんと言ってもParticles Engine。自分の演奏を元にリズムやハーモニーを勝手に追加してくれるのですが、このあたりのパラメーターもKONTROL Sで簡単にコントロールできます。

Edit画面に切り替えると各パラメータにアクセスできますが、その中でParticlesを選択するとParticles内のパラメーターにアクセスできます。例えばMAINのMixの下のノブを回すと自分の演奏しているピアノとParticlesによって自動的に演奏されているピアノの音量の割合を調整でます。DensityでParticlesの基本リズムを4分音符にするか8分音符にするかなどの設定など、これらをノブの操作でリアルタイムに変化をさせることができます。

操作できるパラメーターが1画面に収まらない場合もあるので、その場合は矢印ボタンを押すと次のページのパラメータにアクセスできます。

これらの操作はコンピューター側でも同じことはできますが、事前に仕込みなしでMIDIキーボード側で一通りのパラメータをハードウェアのシンセのように手元からアクセスし、演奏を止めることなく音色の変化を楽しめてとても便利に感じました。

KONTROL SシリーズはすでにKOMPLETEなどNIソフトをお使いのユーザーにおすすめですが、KOMPLETE Selectが付属するので、NIソフトウェアをまだお持ち出ない新規のユーザーにもおすすめです。またKOMPLETE StandardやUltimateへのアップグレードの足掛かりとしても良いかと思います。

以上がKONTROL S61 MK3 レビューでした。

村上
ピアノ、エレピ、オルガン、シンセなどキーボードが得意です。ピアノタッチのMIDI鍵盤についてもご相談ください。
記事内に掲載されている価格は 2024年9月23日 時点での価格となります
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