DJ機器の最大手、Pioneer DJブランドを擁するAlphaThetaが2024年に行ったクラウドファンディングで目標金額の7122%(!?)を達成したコードレコメンド機能搭載グルーヴボックス「Chordcat」が、この度ついに一般発売決定!!
祝!一般発売決定!!ということで今回は発売開始前に「Chordcat」とは一体ナニモノなのか…という解説から、普段PCで作業をする方々にとってはどうなのかという部分も含め、実際に触れてみたレビューもご紹介していきます!
ChordcatはAlphaThetaがPioneer DJ時代から展開している音楽制作機器「TORAIZブランド」に位置する新感覚のグルーヴボックスです。
コードレコメンド機能により音楽理論の知識や演奏スキルがなくてもイメージに合ったコード進行が提案されるので、気に入ったコードをパッドに追加し、押すだけで簡単にコード進行と演奏が可能になります。
また、8トラックのシーケンサー、145種類のサウンドプリセット、16種類のドラムキットも搭載。本体もコンパクトで外出先でも寝室でも、いつでもどこでもアイデアを簡単に形にして残しておくことができます!
製品の主な特徴について、可能な限り噛み砕いて説明してみようと思います!
※より詳細な機能に興味を持たれた方は是非商品ページの製品概要もご覧下さい!
Chordcatの大きな特徴である「Chord Cruiserモード」は、様々なコード進行をデータベース化し、スムーズに繋がる次のコードを複数おすすめしてくれる機能となります。搭載されているコードは約1万種類。Chord Cruiserモードを使えば11万通りのコード進行に出会えます。
また、音楽ジャンルをイメージしたコード進行のプリセット「Chordset」も13種類搭載しており、House、R&B、Pops、Future BassからRock、Drum’n’Bass、OldSchool Raveまで、好みのジャンルのコード進行プリセットをそのまま使ったり、それをもとに「Chord Cruiserモード」で自分だけのコード進行を新たに生み出すことも可能です。
1つコードを鳴らすと、それにスムーズにつながる次のコードが複数おすすめされ、パッドを押すだけでコードの響きを確認できるので、実際に聴きながらイメージに合うコードを選ぶだけで、音楽理論に詳しくなくてもオリジナルのコード進行を感覚的に作れます!
Chordcatにはアルペジエーター、ディレイ、ダッカーの3種類のエフェクトが搭載されており、各エフェクトの効果をXYパッドで直感的にコントロールできます。とてもざっくりとですが、各エフェクトの機能もご紹介します。
自分で組んだシーケンスパターンの再生方向(一般的には左上から右下へ向かって順に進んでいく)を下方向、時計回り、反時計回りなどに変える機能です。
1つのシーケンスパターンから自分の思ってもみなかったコード進行やリズムをボタンひとつで生み出せるのが特徴です!
キー/スケールを設定することで、好みのスケール(音階)の音だけを鍵盤に並べて演奏することができます。例えば日本っぽい音階やブルース、ジャズっぽいイメージのメロディーを簡単に演奏できるようになります。
8トラック、16パターン、8小節(128ステップ)の設定が可能なグルーヴボックス機能が搭載されています。コード、メロディー、ドラム、ベースなど、基本的な構成もChordcat内で作成し保存しておくことが可能です!
本体には以下の端子
が搭載されており、外部MIDI機器との接続、PCに繋いでDAWソフトとあわせて使うことも可能です。
専用ソフトウェアの「Chordcat Manager」を使うことで、Chordcat内で作ったコードをMIDIとして書き出すこともできるので、気に入った進行を普段使うDAWに簡単に読み込ませることもできちゃいます!
Chordcatは単三電池6本もしくはUSB Type-C給電で駆動するため、カバンに入れて外出先でサッと使ったり、枕元のスマートフォン等の充電ケーブル(USB Type-Cであれば!)に接続してゴロゴロしながら気軽に制作をすることも可能です!
本体を持ってまず思うことは、めちゃくちゃ軽い!ということでした。大きさも大体Nintendo Switchよりやや厚いくらいでサイズ感、重さはほぼ同じくらいの感覚で持ち運びもしやすいコンパクトなサイズです。リュックやカバンに入れても全然荷物にならないので気軽に持ち運びもできそうです。
また、Chordcatにはつまみ(ノブ)がなく、すべてボタンかパッドで統一されているため、出っ張らないデザインとなっているのも特徴です。
まずはマニュアル無しで感覚的に触ってみたところ、トップパネルにはボタンに書かれているものと違う機能の文字が書かれていて一瞬戸惑いましたが、各ボタンには複数機能があり、左上にある⇧(SHIFT)ボタンを押しながら各ボタンを押すとその機能が呼び出せるため、苦労せずChord Cruiserモードを使ってみることもできました。またLEDが光ってくれるので、今何の機能を使っているか、どのトラックにいるか等も思ったよりもわかりやすいインターフェースになっていました。
前述の通り、Chordcatにはつまみ(ノブ)がないデザインとなっているため、基本的にはボタン+パッドで操作〜選択で進んでいく!と考えると慣れていい感じに操作が進められるようになるかと思いますが、ユーザーマニュアルのほうもかなり分かりやすく作られているので、軽く触ってみて「?」となったらマニュアルを読んでみるのがやっぱりおすすめです!
実際にChord Cruiserモードを使ってみましたが、これは新感覚!指一本で複雑なコードも簡単に鳴らせて、かつ、次に進みたいコードもXYパッドに何種類も提案してくれるので、探りながらいい感じのコードを見つけて鍵盤に読み込ませて、また次のいい感じのコードを探す…というのがかなり直感的にできました。
コード進行のプリセット「Chordset」も、気に入ったジャンルを選択して鳴らすだけでそれっぽい進行がすぐにでき、ちょっと変えたいな…という場合もChord Cruiserですぐ変更できるので、本当にコードがわからなくても好きな響きを選んでいくだけでコード進行がすぐ作れてしまいます!
鳴らしているコードは本体の画面に構成音も表示してくれるので、気に入った響きがどういうコードネームなのかも確認ができます。コードの勉強がしたい方や、直接DAWに打ち込んでしまいたい!という方にも便利でこちらもいいなと思った機能でした。
ChordcatにはBass、Key、Synth Lead、Pad、Guitar & Pluck、Mallet & Bell Brass & Strings、Stab / SFX、Drum Kitと大きく9種類のインストゥルメント、その中にさらに複数の音源が入っているのですが、収録された音源はどれも「これこれ〜!」というちょうど良い具合のものが多く、特にクラブミュージックとの相性が良さそうな印象でした。
グランドピアノからハウス定番のオルガン、Rhodesのあの音からレイブ感のあるオケヒ、うねるシンセベース、808、909系のドラムキットなどなど…本当にちょうどいい音源が多数収録されていて鳴らしているだけでも楽しめちゃいます!
専用ソフトウェアの「Chordcat Manager」を使うことでシーケンス・パターンをインポート / エクスポートが可能で、コードのMIDIも書き出せるため、直接DAWに入れるもよし、面倒であれば直接コードの構成音を見て打ち込むもよし!サイズもコンパクトでUSB Type-Cで給電(もしくは単三電池)できるので、普段の制作スペースにポンと置いておき、手癖のコード進行からちょっと新しいアイデアが欲しい時の補佐的な役割や、休憩がてら遊びながらインスピレーションを得る使い方、寝る前に寝室ですこしずつ触って1曲作ってみる等、気軽にどんなシチュエーションでも楽しめるというのがChordcatの良さだと思いました。
Chordcatは、既存のグルーヴボックスにはない、その名の通り「コード」に着目した個性的な音楽制作ツールでした。(「キャット」の部分も知りたいです!おしえてAlphaThetaさん!)
コード理論や演奏スキルがなくても簡単に演奏できるとっつきやすさと、コンパクトなサイズ感や電池駆動でどこでも使える気軽さ、プリセット音源の充実ぶりなど、細かな部分も抜かりなく作られていると感じました。
普段PCでDAWを中心に制作している方にとっても、Chordcatはアイデアスケッチやインスピレーションを得るためのツールとしても活躍してくれると思います!あと、個人的にはこの手のグルーヴボックスの中だとかなり導入しやすい価格というのも大きな魅力だと思います!
最後に、作成したプロジェクトは必ず!絶対に!!保存するようにしましょう!!!!私はChordcatでトラックを作ってみていたのですがうっかり保存を忘れて電源を落としてしまい作業が無かったことになりました…(涙)