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AUDIOMODERN LOOPMIXレビュー!無限のリミックスが手に入る、クリエイター必携プラグイン

2022.12.22

ランダムなコード進行を生成するCHORDJAM、スケールに則ったランダムなリフを生み出すRIFFER、ランダムにビートとパターンを生成するPLAYBEATなど、フレーズ生成ツールでおなじみのAUDIOMODERNから、ループを手軽に加工できるビートメイカー必携ソフトLOOPMIXが発売されました!

LOOPMIX

LOOPMIXは既存のループを無限に新たなサウンドへ変化させるビートメイカー必携ソフトです。ループをリミックスするデバイスやプロセッサーが豊富に用意されており、革新的な方法で新たなリミックスパターンを生み出します。

リミックスの様子を見ると非常に複雑な印象を受けますが、処理を行うアルゴリズムを1つずつ見て行くと仕組みはシンプルです。今回はLOOPMIXに搭載された革新的な6つのアルゴリズムをチェックして、どのようにリミックスが構築されて行くのか解読し、オリジナリティの高いリミックス作成方法をご紹介します!

LOOPMIXの基礎知識

LOOPMIXはループを読み込むと、8分音符や16分音符などの長さにループをスライスして、スライスされた波形を個別に処理します。6つのアルゴリズムが搭載され、最大6種類のループを同時に処理して複雑なパターンを生成します。

リミックスを行う6つのアルゴリズム

・SEQUENCER (シーケンサー):再生するスライスを選択。

・RE-ARRANGE (リアレンジ):スライスした波形を複製したり並べ替える。
・REVERSE (リバース):スライスした形を逆再生する。
・DENSITY (デンシティ):スライスした波形にスタッター効果(短い繰り返し)を与える。
・VOLUME (ボリューム):スライスした波形のボリュームを変える。
・PITCH (ピッチ):スライスした波形のピッチやフォルマントを変える。

これらのアルゴリズムが具体的にどんな効果を生み出すのか、
デモ動画をご用意しました!

アルゴリズム1:SEQUENCER (シーケンサー)

2mix素材(2小節のループ波形)をLOOPMIXに読み込み、スライスされた16個の波形を選択/解除している様子です。はじめに手動で選択/解除して、後半はランダマイザーを使用してランダムにスライスが選ばれています。これはリミックスの「抜き差し」技に相当するテクニックとして活用できます。このSEQUENCERは、複数トラックにループを読み込むと更に効果的になるアルゴリズムです。

アルゴリズム2:RE-ARRANGE (リアレンジ)

スライスを別のステップにコピーしたり、順番を入れ替えることができます。このアルゴリズムはリミックスに大きな効果を発揮します。動画のように簡単にエディットできて、その効果は絶大!トラックにちょっとしたアクセントを加えたり、全く別のパターンを生み出すことも可能です。ランダマイズ機能を使えば、予想もしないフレーズを得ることができるでしょう!

アルゴリズム3:REVERSE (リバース)

ループのスライスをリバース(逆再生) します。リバース技は使いすぎると悪目立ちするので、さりげなく使うのがポイントです。ランダマイズ機能を使う時は、ランダマイズ対象となるスライス数を1個から2個に設定しておくと良いでしょう。全てのアルゴリズムには、それぞれランダマイズを行う際のパラメーターが存在します。ランダマイズ対象となるスライス数のほか、変化させる値の最小値や最大値なども設定できるので、ランダム性をコントロールすることが可能です。

アルゴリズム4:DENSITY (デンシティ)

DENSITYアルゴリズムは、いわゆるスタッター効果です。値を2に設定すると、1スライスの中でサウンドを2回繰り返し、3に設定すると3回繰り返します。こちらもアクセント的に使うのがお勧めです。ランダマイズする際のパラメーターはランダマイズ対象スライス数を1〜2個程度、スタッターは2か3の設定がほどよいでしょう。テンポのゆったりした曲では、4回くらいのガッツリかかるスタッターも良いかもしれません。

アルゴリズム5:VOLUME (ボリューム)

スライスごとにボリュームを0〜100の範囲に設定できます。DAWのオートメーションなどを使わずに、簡単にボリュームをエディットできるので、表拍だけを強調したボリュームや、裏拍を強調したボリューム変化をうっすら付けて、トラックにグルーヴを与える技も使えます。

アルゴリズム6:PITCH (ピッチ)

各スライスに異なるピッチやフォルマントを適用します。ボーカル音源や楽器個別の音源に活用できるアルゴリズムで、ランダマイズ範囲を ±12 までの範囲で指定でき、ピッチのランダマイズに様々なスケールを使用できるのも便利です。今回は2mix素材を使用しましたので、フォルマントを選択してフィルター効果を得ました。

実践!6つのアルゴリズムを活用したリミックス

シングルトラック編
6つのアルゴリズムが理解できた所で、それらを活用したリミックストラックを作成してみましょう! まずは1つの2mix素材だけで、どのくらいリミックスできるのか実践してみました。

複数のアルゴリズムを同時にランダマイズする際には、プラグイン画面中央、上にある大きな赤いボタンをクリックします。
RE-ARRAGE、REVERSE、DENSITY、PITCH をランダマイズして、リミックスが自動生成されています。1つの2mix素材だけでも無限に近いバリエーションが生まれるのには驚きです!

ダブルトラック編

同じ2mix素材を2つのトラックに読み込み、片方の再生速度を半分(x.5)に設定しました。SEQUENCERで再生するスライスを手動で選んだりランダマイズすると、1つの2mix素材からさらに多くのバリエーションが生まれ、リミックス感がさらに強まりました。

トリプルトラック編

ダブルトラック編の音源にLOOPMIX付属のボーカル素材を追加して、新しいリミックスが生まれました! これまでは1小節ごとに赤いランダマイズボタンを押していましたが、ここでは途中から「インフィニティ・ボタン」をONにして、ループするたびにランダマイズを発動して新しいパターンが生成されています。また、ANCHOR(アンカー)トラック設定も試しました。トラック1をANCHORに設定すると、トラック1に基づいてバリエーションを生成してくれます。リズムの中心となるトラック1をアンカーに設定することで、カオス感が減ってリズムの流れを感じやすくなりました。

気に入ったリミックスを鍵盤に登録!

ランダマイズを試していると、会心の一撃ともいえるリミックスに出会うことがあります。そんな時には忘れずに、画面下部にある「REMIXESキーボード」にリミックスを登録します。最大24個のリミックスを登録できるので、ランダマイズを試してお気に入りを登録しているうちに、1曲分のリミックスが集まっていることでしょう。REMIXESキーボードはDAWからMIDIノートで演奏可能です。

そのほか、リミックスをオーディオデータとして書き出せる機能が秀逸! ドラッグ&ドロップで、リミックスが一瞬にしてオーディオデータとして書き出せます。例えばAbleton Liveにドラッグすると、リミックスがオーディオクリップとしてマッピングされます。作業の時短だけでなく、トラックの素材作りにも重宝してくれます。

1.6GBを超える、ファクトリー・プリセットを搭載!

LOOPMIXにはプリセットが豊富に揃っていますので、そちらを活用するのもお勧めです。
SONICWIRE BLOG / Audiomodern『LOOPMIX』を使って、自分だけのループを作ろう!に掲載されていた試聴動画をご紹介します。

6つのアルゴリズムを使って、無限のリミックスが手に入るLOOPMIX。トラックメイカーやリミキサーだけでなく、アレンジャー、コンポーザーにも活用して頂きたい、革新的なリミックスプラグインの登場です。リズム生成にも役立つので、LOOPMIXが新ジャンルを生み出してしまうかも知れません。クリエイターの皆さんはぜひチェックして下さい!Writer:SCFED IBE

SCFED IBE
300を超えるプラグインを試したレビュー記事は150以上。ソフトシンセもアナログシンセも大好きです。
記事内に掲載されている価格は 2022年12月22日 時点での価格となります
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