スタッフレビュー

Astell&Kern PD10 レビュー!

2026.05.15

多数のハイエンドオーディオプレーヤーをリリースするAstell&Kernから、従来のラインナップの制約を超えた、新たな試みとなる最初の製品「PD10」が発売されました。

今回、PD10をレビューする機会をいただきましたので、実機を見ながらご紹介します!

AKM AK4498EXを世界で初めて搭載

Astell&KernのDACには以前からAKM(旭化成エレクトロニクス)のものが採用されていました。以前、AKMの工場が火災が発生しチップの供給が不安定になったニュースも記憶に新しいかと思います。今回PD10に搭載されたDACもAKMのものなのですが、世界で初めてAK4498EXというチップが採用されたようです。

AK4498EXについて調べてみると、AKMが制作するチップの中でも現時点でハイエンドな位置付けにあり、前フラグシップモデルAK4497よりもS/N比が向上しスペック値は高い位置にあります(ちなみに、AK4497はFiiOのK15に搭載されていますね)。

また、同じくハイエンドチップであるAK4499EXもありますが、こちらは据え置きDACへの搭載が殆ど。ポータブルプレイヤーに新世代ハイエンドDACを搭載したPD10に期待が高まります。

PD10にはそんなAK4498EXを4基。AK4191EQを2基搭載。なぜ異なるチップをそれぞれ搭載するかというと、どのような出力であってもオーディオ性能を最大限に引き出すためにアンバランス出力とバランス出力を独立した構成にしているようです。なんとも豪華な仕様ですね。

実機にはバランス出力とアンバランス出力がそれぞれ二系統搭載されています。この出力がそれぞれ異なるチップで処理されているとは…大変豪華な仕様ですね。

アップサンプリングにより、よりハイビットなサウンドを

Astell&Kernのアップスケーリング機能、Digital Audio Remaster(DAR)が次世代である第二世代が搭載。過去のハイエンドモデルであるAstell&Kern 「SP3000」やポータブルDAC「AK HC4」にも搭載されていました。

そんなDARも第二世代に進化、Astell&Kernが言うにはより高精度なアップサンプリングを実現したようです。アップサンプリングされる数値としては以下の通り。我々に馴染みのある44.1KHzは8倍相当にアップされ、PCMもDSDに変換されます。これは期待ができる。

【PCM変換DAR】
・44.1/88.2/176.4KHzのPCMは352.8KHzに変換して再生されます。
・48/96/192KHzのPCMは384KHzに変換して再生されます。
※PCMアップサンプリングのDARを選択している場合、DSD再生時のPCM変換は行われません。
※量子化ビット数16/24/32bitは全て32bitに変換されます。

【DSD変換DAR】
・96KHz以下のPCMファイルは、DSD128に変換して再生されます。
・176.4KHz以上のPCMファイルは、DSD256に変換して再生されます。
※DSD変換のDARを選択している場合、DSD64/128のDSDファイルは、DSD256に変換して再生されます。

Astell&Kernの最新ハイエンドモデルに相応しいスペックを搭載しています。それでは実物を見てみましょう。

PD10には本体以外に、専用ドック、フェイクレザーケース、画面保護シートが付属しています。専用ドックの背面にはUSB-C端子以外にXLR出力部が搭載。ドックに搭載することにより、充電はもちろんスピーカー・ミキサーへの接続も可能にします。


本体は片手で持つにはややデカいかな…と最初は思いましたが、専用ケースをつけることにより違和感は減ってくると思います。

何より、このドックのフロントにあるAマークの灯が、非常にイケていますね。

実際にPD10を聞いてみました。印象としては、ハイレンジな音源でも帯域の詰まりが感じられず、各帯域を無理なく再生してくれている印象があります。またアップサンプリングすることによって印象が大きく変わることはなく、再生されていない箇所が細かい再現されている印象に感じます。とはいえ、可聴帯域外ではありますが失われている帯域の再現度は非常に高く感じられます。ここまで来たかといった印象。

操作性もAndroid OSがベースにあるためか違和感もなく、とにかくサクサク動きます。

専用レザーケースもキチンと手に収まってくれており、ずっと持っていても疲れない印象があります(むしろずっと触っていたい感触です)。

店頭スタッフを代表して、Vツイン多田にもサウンドを聞いてもらいました。

Vツイン多田談>>非常にディテールが細かいにも関わらず音の厚みを損なっていないのがA&Kの特徴ですが、色々なところで”有るのに無い”を感じました。

普段DAPを利用しない私は、DAPやポータブルDACのレビューをする度に「スタジオで聞いている様なクオリティのコンバーターをスタジオの外に持ち出せるのは、便利な世の中になったものだな〜」と感心するのですが、その中でも、PD10のQUAD DACとインピーダンス適用型HPAの恩恵は特筆すべき機能で、その効果は計り知れません。

PD10はヘッドホンのスペックやインピーダンスを選ぶ事が無いため、如何なるヘッドホンでもフルスペックで駆動させられます。DAPが有るのにDAPの存在を無い事に出来るのは、サウンドチェックの際に不要な懸念を抱かずに済むのが良いですね。
ヘッドホンの聴き比べなどに際しても、PD10をリファレンスとする事でストイックな評価を行うことができそうです。

また、PD10はクレードルも用意されていてXLR出力が可能なため、スタジオで回線をスプリットして貰い据え置き型DACを置いてサブモニターを・・という運用のエンジニアさんには荷物が大幅に減るメリットも伝えておきます。

ファンキー松本
アコースティック楽器の収集・RECが中心です。最近カメラと映像編集始めました。
記事内に掲載されている価格は 2026年5月15日 時点での価格となります
スタッフレビューの新着記事