現在、譜面用のアプリケーションとしてSteinberg社のDoricoと、Avid社のSibeliusを使ってます。Sibeliusはかなり長い事使っていたんですが、新しいアプリケーションを覚える事はいつも楽しいのでDoricoも使い始めたわけです。ただSibeliusとDoricoでは考えた方がかなり違うので最初は戸惑う事多々ありましたね、、、
劇伴の仕事で使う譜面アプリ、という点に於いて大事なのはレイアウトの綺麗さ(初見での読譜という意味での読みやすさ)、作業のスピード、安定性、、、このあたりはやっぱり譲れません。レイアウトの考え方もSibeliusとDoricoではちょっと違うのですが、Sibeliusと比べると浄書作業中にレイアウトが大きく崩れる事がないのはDoricoの強みだと言えると思います。
劇伴のレコーディングで使う譜面は基本的にはレコーディングで一回使ったらそれで役目が終わるものではあるのですが、レイアウトが悪いとミュージシャンにストレスがかかるし、特に海外のレコーディングではプロジェクトのクオリティが譜面で判断される場合もあるので、1日しか使わないからと言ってレイアウトをテキトーにすることはできません。ちなみに海外ではそれなりのプロジェクトの場合、オーケストレーターとライブラリアン(浄書屋さんですね)がチームになっている事が多いので、レイアウトに関してはとにかくクオリティが高いです。一度テンプレートをきちんと作成してしまえば毎度レイアウトで悩む必要もないわけですから、ネットで検索するなどして日々使う譜面用アプリのテンプレートには磨きをかけましょう!
さてDoricoについてですが、ショートカットの機能がついてはいるものの、「ん?なんでこれがない?」という場面が少なくないです。まずはDAWから書き出したMIDIファイルを読み込むためのショートカットがないんですね(スナップショット参照)
オーケストラ曲をじっくりと年に4曲書きますみたいなペースであればあまり問題ないと思いますが、劇伴だと録音の数日前はMIDIのインポートは頻繁にする作業なのでショートカットは是非欲しいところ。これに関しては僕の場合は以下の方法でショートカットを組んでいます。
1)「システム設定」→「キーボード」→「キーボードショートカット」を選びます。
2)新たに開いたウィンドウから、「アプリのショートカット」を選びます。
3)+ボタンをクリックして、「Dorico」を選択。
4)Doricoの読み込みメニューの表記の通り「MIDI…」(実際はMIDIの後ろの点3つは中央じゃなくて下に3つね)と入力し、ショートカットをアサインしたいキーを登録します(ここではF11)
こうする事で毎回マウスで操作しなくても、一発でMIDIファイルのインポートをショートカットできます。
このやり方でショートカットを組めない作業として、テンプレートの読み出しがあります。これに関しては以下のやり方でショートカットを組んでいます。
1)予めプロジェクト用のテンプレートは作成して登録しておく。
2)「スクリプト」から「マクロの記録を開始」を選択→マウスを操作して「ファイル」→「プロジェクトとテンプレートから新規作成」→目的のテンプレートを一旦開く
3)「スクリプト」から「マクロの記録を終了」、マクロの名前をつけてレコード作業を終了
割と頻繁に作業するものをこんな感じで登録します。
さらに、同じくスクリプトの項目の「最後のスクリプトを実行」に対してはショートカットを割り当てられるので、好きなキーを登録します。こうする事でマウスを使わずに何度も続けて使う作業をマウスを使わずに処理できます。所作的には2、3ステップの省略なんですがマウスを使わないで作業を続けられるようにする事がやっぱり年間とか長い目でみると確実に時間の節約になりますからね。
ちなみに、このスクリプトも以前紹介したLua言語で書かれてるんです。テキストエディタでLuaのスクリプトをチェックしていますが、まだ紹介するほど精査してない部分があるので将来的に動作が確実で尚且つ皆んなに有益なスクリプトが書けたらまた共有できればいいなと思っています。