ポップス系だと楽曲の完成までAvid社のProToolsを使わないプロダクションも増えてきたように感じます。ただ僕のような劇伴の仕事、それからその近隣のテレビ番組や映画(Netflix等のストリーミングサービスも含む)に於ける納品形態にはやはりProToolsは必須です。
ただし、ゲーム業界は別でプロダクションチームの中は全てのスタッフがNuendoを使う場合ケースが多いですね。
話をProToolsに戻しまして、テレビも映画も僕らが「ファイナルダブ」と呼ぶ最終的に映像とダイアログ、効果音、音楽をミックスするスタジオ作業でProTools以外のDAWを使う事は100%ないので、ファイナルダブに直接関係ない(これは人によりけりで僕はダブの現場でも自分でProToolsをマニュピレートする事はあります)劇伴の作曲家でもやはりProToolsを使えないよりは使える方が良いのは間違いないです。
映像業界でProToolsが便利な理由はいくつかあります。
パッと書き出してもこれぐらいの理由があります。1)はともかくとして、
2)はProToolsから書き出したWAVにはタイムコード情報のタグがついているので、例えばファイルネームがKick.wavというファイルでもProToolsにインポートして「Spotting」というモードを使えばオリジナルのタイムスタンプの位置に一発で貼り付けられます。
3)少なくとも僕の経験上、日本、アメリカのみならずフランスでもシンガポールでも中国でもインドでもレコーディングスタジオで使っているDAWはProToolsでした。
海外とリモートでレコーディングした際にとりあえずラフな2ミックスだけ送ってもらって東京で続きの作業をして、後から送ってもらった大きいファイル(デッカマイク、アウトリガーマイク、アンビエントマイク等も含むのでかなり大きいセッションデータになる)を同様にスポッティングしてProToolsに取り込む場合も簡単なんです。それから、アメリカ以外の国で作業する時にエンジニアにやって欲しいことを英語で伝えたつもりでも上手く意思疎通が図れない事がありますが、そういう時も自分でマニュピレートして見せて「こういう事」と伝えればその後の作業が簡単になった事もなん度もありました。