みなさんこんにちは、Rock on ShibuyaのVツイン多田です!
Rock oNで働いているスタッフには福利厚生(?)の一環として、店頭スタッフが気になっている製品や技術に対し、定期的にメーカー / 国内代理店の方々を招いて深く学ぼう!という勉強会が開催されます。
今回私たちはAcoustic Field 久保氏をお招きし、ノイズ処理の最前線を駆け抜け続けて37年のCEDAR Audio社のソフトウェア及びハードウェアのDNSを改めて知ろう!という勉強会の後半戦。
実際に現行商品のDNS2を操作して、暗騒音の抑制効果を体験してみます。
★前半はこちらから
持ってきて頂いたハードウェア製品はDNS2。
大きさはちょっとしたレコーダーくらいの大きさで、スタックしやすい形状。発熱もアイドル状態では全く感じない”ザ・業務機”という感じです。DNSシリーズはロケ用の2ch、4ch、大規模会議・ライブ用の8chモデルがあります。
本勉強会の前編でもお伝えしましたが、CEDAR Audioはノイズ処理だけを専門にやっているブランドです。
DNS2ももれなくノイズ処理のハードウェアになります。リアルタイム処理能力を追求したハードですので、導入される場所は主に速効性の求められる現場。例えば放送局や劇団、またアイドルのライブなどで使用するのが良いでしょう。
ノイズ抑制が目的なので、使い方は至ってシンプルです。
①マイクを接続して『learn』スイッチで暗騒音を解析
②解析が終わったら、本体のつまみを押して『Atten』『Bias』を切り替えてかかり具合を調整
③設定完了
①のLearnボタンによる解析は、ソフトウェアでよく見る「Processing…」のような解析を待つ時間は無く、瞬時に完了します。素早くLearnボタンを押して公演の中間で暗騒音を取得し直す事も容易です。
特筆すべきは『Learn』スイッチを押しっぱなしにして使用できる事。
屋外や嵐の中など、ベースノイズが安定しない過酷な環境では、『learn』ボタンを押しっぱなしにして解析を続ければ効果が高く、ライブなど暗騒音が空調など一定のレベル/周波数の場合は、リハや公演直前にラーニングしておき、ライブが始まったらノータッチという使用方法。わかりやすい!
今回はスタジオの中ですので、暗騒音はエアコンがメイン。『learn』ボタンは静かな時にキャプチャーして、固定としました。
メジャーなノイズ除去ソフトでは必ず、
①ベースノイズのキャプチャー
②解析
③パラメーター調整
④レンダリング
という手順の都合、たとえスペックモリモリのモンスターマシンでもベースノイズを常に解析し続ける使い方ができません。
DNS2はハードウェアの恩恵として、まるでギターエフェクターの様にリアルタイムで処理してくれますので、実際に音を聞きながら使うと魔法の様です。
そしてもう一つは機能ではなくノイズ処理の癖というか、サウンドに関して。
「ノイズが取れるかどうか」が唯一の評価基準ですので、それゆえシンプルな機材だと思っていたのですが、近接効果にも影響がありました。
実機を触ったノイズリダクションのテスト自体はものの数分で「うん、ノイズ取れる!」で終わったのですが、どちらかと言えば近接効果についての方に驚きがありました。
ある程度の近接効果を埋めてくれる不思議な補正があって、大体1m弱くらいまではオンマイクとほぼ同じ音で出力されるのです。
テストに使ったマイクはEhrlundのコンデンサーマイク(EHR-M)ですので「そんな事はない」はずなんですが、マイクから離れても手の届く範囲であれば距離による減衰やフィルターを感じずにモニターできました。
どういったシチュエーションで役に立つかはすぐには出てきませんが、きっとひらめきの助けになる良い効果だなと感じました。
DNS2のパラメーターを端から端まで試して、2chあるから1台で薄く二重にかけてみたり、意地悪なテストも色々やってみましたが、DNSは弱音を吐くわけでもなく、出来なさそうな事を頑張って処理している感じもなく、粛々と暗騒音を減衰させる事だけに動いてくれました。本記事で度々説明していますが、「ノイズが取れるか、取れないか」のシンプルな機械なので、もうほんとこれ以上の説明ができません。
ちなみに、DNSには1入力に1音声というルールは無く、複数のマイクをまとめて1台のDNSで処理することも可能。ミキサー後のラインに2chという使い方もアリです。
ロケではインサートで使うのが一般的で、1番出力を2番入力に入力する事で薄く2段掛けするテクニックも存在します。
ソフトウェア、ハードウェア共に、CEDARの製品は後処理に時間をかけられないニュースやイベント、ポッドキャストから、最近のニーズならライブ配信などを行う方々に最適。
その辺りをお仕事にしている方々へ、「こんな製品がある事知らなかった!」と、今回の記事で訴求できれば幸いでございます。
一方で、周波数ごとの細かい編集や極端な加工はできません。その様なノイズはDSN2も含めてCEDARで賄う素材ではありません。クリーンさを保ったまま必要最低限のノイズ低減を行う用途に特化している、というのがブランドの印象で、した。
Rock oN: 作業時間を大幅に短縮できるため、人件費や納期の面で長期的に大きなメリットがある、というビジョンまで製品が見せてくれるのは凄いですね。放送・映画・音楽制作・演劇・ライブの全方位でニーズがあるのもポイントで、メイン業務がありながら傍でDNSが必要な方々って結構いると思います。
久保氏: 「何でもできる万能ソフト」とは方向性が異なり、「必要な作業を最短距離で終わらせるプロ用ツール」という位置付けなので、時間とクオリティの両立を求められる現場においてノイズ処理という作業そのものを効率化し、制作全体の流れを変えるポテンシャルを持っています。
ありがとうございました!
期間限定ですが、Rock oN Shibuyaでは現在DNS2をお借りして、リアルタイムノイズ抑制を体験していただける装置を置いています。
*装置1
ノーコンピューターで、2chの暗騒音をふんだんに取り入れてくれるNeumann / KU100と密閉型ヘッドホンのNDH20に登場頂いております。
是非Web記事だけでなく、DNS2の実力を店頭でお試しください!
CEDAR製品はこちらからお求めいただけます。
https://store.miroc.co.jp/category/BRAND1415
ロックオンでは、ユーザーの皆様に知ってほしい技術、使って欲しい製品を募集しております。
代理店の方々、または研究の一貫でロックオンのスタッフに「聞いて欲しい!」トピックがありましたら、お近くのスタッフまでお声がけ下さい。
writer: Vツイン多田