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音響良技録店 第7回:マイクロフォンのチョイスを具体的に説明【Drum編 part 2】

2025.07.17

最近はYouTubeもアップしていますので、始めてお会いするスタッフやアーティストの方々からYouTube観てますよ!と言われます。とても嬉しいです。その都度ロックオンカンパニーのパラダイスの投稿も紹介しております。個性豊かなお店が沢山ありますので今後も繁盛を願っております。

前回からドラムのバスドラマイクの解説をしておりますが、僕が愛用しているバスドラマイクロフォンはエレクトロボイスのND868です。


1985年に発売をしたこのマイクロフォンは今では廃番で手には入りません、後継機としては2016年に発売になったND68になります。

このマイクロフォンの特徴はマグネットがネオジムマグネットになります。(ネオジムマグネットの説明は後ほど)まずはダイナミックマイクロフォンの構造を説明しますね。

鉄ヨークに取り付けられた永久磁石により、N極とS極の磁界を作る事が出来ます。その中を、ダイヤフラムに取り付けられたボイスコイルが、音波によって前後に動くとフレミングの右手の法則により電流が発生します。

フレミングの右手の法則の説明はこちら↓

ここでNDシリーズマイクロフォンの重要な特徴は、マグネットがネオジムマグネットである事です。ネオジムマグネットはネオジム(Nd)・鉄(Fe)・ボロン(B)を主成分とした、世界最強の強力磁石です。希土類元素を含むため、希土類磁石と呼ばれる磁石です。


では何故!? ネオジムマグネットがサウンドに優秀なのか!?

ネオジムマグネットの磁力が強いのと、堅牢な磁気規律を備え、音波に対する繊細な反応をします!!


F特性を見てみましょう!!

①に近接効果で低音が持ち上がっていますが、実際に使っていてもバスドラ本来のサウンドに近接効果での低音の強調は感じられないのでその点が僕の好みの理由であります。演奏者の強弱を繊細に正確にピックアップしてくれます。

②の1kHzからアタック感を出すイコライゼーションも中高域の太さが感じられるのでロックサウンドに向いています。指向性は単一指向性(カーディオイド)より少し狭い超単一指向性(スーパーカーディオイド)になります。

ND868とND68の音の比較について!

実際にライブ会場にて、演奏者にバスドラを踏んでもらい、ステージアシスタントに正確に同じ位置に交互に設置してもらいます。

驚いた事にほとんど音色に差が無く、これならND68でも良いと思いました。ND868が廃番になった時は落胆しましたがこの比較で安心しました。実際に今でも、友人のサウンドエンジニアよりND868を購入したいと言われますが、市場にはほとんど(全く)ありません。数年前に偶然に海外のお店でデッドストック(新品のまま倉庫で売れ残っている状態)を4本見つけて購入しました。しかも、ほとんど定価でした、これはラッキーでしたね !!

次回は、音楽のジャンルに合わせたバスドラマイクのチョイスです!!

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小松久明(音響良技録店)
サウンドエンジニア/サウンドデザイナー。2021年 (株)K.M.D Sound Designを設立。毎年100本以上のコンサートミキシング、企業講演、授業等を通じてサウンドエンジニアの技術を教えている。
記事内に掲載されている価格は 2025年7月17日 時点での価格となります
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