sonibleから、AI を用いた信号解析を特徴とするインテリジェント・コンプレッサー smart:comp シリーズの最新バージョンsonible『smart:comp 3』が発売されました!
前作 『smart:comp 2』 の入力信号を解析し、 ダイナミクス特性などを保ちながら処理を行う設計は変わらず、新たに複数トラックを同時に解析・制御できる Group 機能やCompression Matrix によるパラメータ調整方式などが導入されました。
前作も話題となったプラグインですが、sonibleの最近の新製品はクォリティが高いものが続いているので、今作も非常に楽しみですね。
本レビューでは実際にsmart:comp 3 を使用しながら、新機能や動作を確認していきます!
まず立ち上げるとこのような画面がでます。

「smart:comp 3が解析を開始するためにオーディオを再生してね」といった文章が書いてあります。
上部のプロファイル設定から、信号のタイプ(ボーカル、ドラム、ベースなど)を選択し、オーディをを再生すると、自動で解析が開始されます。
前作は立ち上げたあと、解析開始ボタンを押す必要があったのですが、
今作から毎回解析開始ボタンを押す必要が無くなったんですね!
こういう部分、チリツモで効いてくるのでありがたいです。
ちなみにプロファイルの種類はこんな感じでした。

解析が完了すると、メイン画面に移行します。

まず目を引くのが左側の領域。
こちらは”Compression Matrix”というもので、
Attack, Release, Ratio、その他のパラメーターのバランスをセマンティックな次元に変換することで、調整のプロセスを簡素化する事ができるというもの。
下記の上下左右のパラメータで成り立っています。
1.Dense
全体のダイナミック‧レンジを引き締めることで、コンパクトで一体感のある、制御されたサウンドを作り出します。トラックを安定させたり、エネルギーを加えたり、一貫したラウドネスを実現するのに最適です。Denseな動作は、より強いコンプレッションと「グルー」を自然に導入し、入力要素をより一体的にまとめます。
2.Dynamic
穏やかなコントロールを適用し、自然なレベル変動を許容することで、信号をオープンで活き活きとした状態に保ちます。アコースティック楽器、ボーカル、または表現力をそのまま維持すべき素材に適しています。トランジェントの豊富な信号の場合、トランジェントを通過させながら静かな部分を圧縮することで、実際のダイナミックレンジを増加させることもできます。
3.Snappy
高速で引き締まった、トランジェント重視のコンプレッションで、クリスプ感のあるアタックを保ちつつ、重みの追加を避けます。パーカッシブな素材、シャープなプラック音、またはトラックを素早く反応の良い状態に保つのに理想的です。オートゲインを有効にすると、Snappyなコンプレッションは、スネアのサスティンなどの静かなテール部分を持ち上げ、繊細なディテールをより聴き取りやすくします。
4.Punchy
強く、エネルギッシュなトランジェントを保持することで、重み、ボディ感、インパクトを強調します。ドラムやベースなど、より強いアタックや物理的な存在感が欲しいソースに最適です。さらに明瞭な「パンチ感」を得たい場合は、オートゲインのレベルよりもわずかに出力ゲインを上げることで、トランジェントの強調をより明瞭に表現できます。
そして緑色で表示されている部分は、「Scope」というオーディオ解析の結果有効と判断されるコンプレッション設定の範囲を示しており、
範囲内で◉マークを動かす事で効率的に設定を行えるというもの。
すごい機能ですね。
既に大幅に圧縮された素材などは狭い範囲でScopeが形成されるたり、解析結果によりScope範囲は変わります。
Compression Matrixの右側領域はメインのコンプレッションパラメータ画面になり、Compression Matrixでパラメータ設定をした後に微調整や仕上げなどを行う用途のようです。
ThresholdやRatio、AttackやReleaseなどなど、一般的なコンプレッサーで見られるパラメータが並んでいますので、
慣れている人はCompression Matrixを使用せず、いきなりこっちから触り始めてもよさそうですね。
そして注目なのはその下部に並んだ領域です!
ちょっと拡大した画像を出しておきますね。

中央に並んでいるボタン群は”詳細タブ”というもので、オーディオ解析後に使用可能になります。
sonibleのプラグインを使った事がある方なら察しはつくかもしれません。
下記の設定を行う事ができます。
Style [ Clean, Smooth, Aggressive, Custom ]
全体的なコンプレッション‧キャラクターを定義します。
・Clean
色付けのない透明な動作。ダイナミクスをコントロールするのに十分な速度と、ニュートラルなトーン。明瞭性と忠実性が不可欠な音源に最適。
・Smooth
穏やかなエンベロープ形状とソフトなサチュレーション。ボーカル、パッド、メロディックな楽器に適し、洗練され、安定したコンプレッションを生みます。
・Aggressive
素早いタイミング、強力なトランジェント‧コントロール、そして顕著な倍音作用。ドラム、パーカッション、またはパワフルなベースラインなど、エネルギッシュな素材向けに設計されています。
・Custom
タイミングとサチュレーション動作を完全に手動でコントロールできます。エンジンを設計したい場合や、定義済みスタイルの詳細をさらに調整したい場合に便利です。思いの外細かく設定できるので楽しそうですね。

Input Riding [ On/Off ]
コンプレッション‧ステージの前に行われる自動インプット‧レベル‧ライディングの有効∕無効を切り替え
Spectral Comp [ On/Off ]
スペクトラル‧コンプレッションの有効∕無効を切り替え
Sidechain [ Internal∕External ]
外部サイドチェーン‧ソースを参照しコンプレッサーを動作させる
そして下部のビュジュアライザのような部分ですが、
この部分は前作にも搭載されていたsmart:compの大きな特徴と言える部分です。
これは”スペクトラル‧コンプレッション”と呼ばれるもので、
通常のコンプレッションに加え、必要な周波数帯域に自動的にグラニュラーコンプレッションを追加し、より明瞭で透明感のある結果を実現するものです。
周波数帯によりコンプレッション設定を分ける点はマルチバンドコンプも同じですが、スペクトラル‧コンプレッションは2,000バンド以上に分けて処理するので、簡単に言うと”マルチバンドコンプよりも非常に細かい周波数毎にコンプレッションを自動で適用してくれる”機能になります。
これは手動だととんでもない手間がかかりそうなので、このプラグインらしい機能でもあり、すごく良いですね。
そしてsmart:comp 3 で新たに追加された Group 機能は、本作の大きなアップデートポイントのひとつです。
この機能では、複数の smart:comp 3 インスタンスをひとつのグループとして関連付けることで、グループ内の全トラックのコンプレッション処理を一つの画面で一元管理したり、一括学習などを行うことができます。
トラック毎の棲み分けを目的とした調整は従来であれば、複数のトラックに入っているEQやコンプレッサーなどを個別に開いて調整する必要がありましたが、Group 機能を使用する事で簡略化ができる訳ですね。

smart:comp 3 のあり/なし で音の違いを聴いてみましょう!
今回はほぼ全てのトラックにインサートしてみました。
コンプ有無での音色の違いは置いておいて、やはり無しだと各楽器の棲み分けが出来ていなく、被っている感じがしますね・・・
トランジェントもいろんな楽器同士で喧嘩してるように聴こえます。
やはりこの辺りは新機能のGroup 機能や、スペクトラルコンプレッションの恩恵を大きく感じる所ですね。
コンプレッサーのキャラクター選択もうまくいったようです。
今回少し大袈裟にコンプをかけましたが、Dry/Wet調整ができるので調整をする事でより自然な仕上がりになると思います。
今作から追加されたグループ機能などにより更に便利に協力になったsmart:comp 3。プラグインの性質的には音作り的な処理も可能ですが、得意とするのは自然でまとまりのある、バランスを整えるような処理です。
専門的な知識の有無に関わらずここまでスムーズに各トラックのバランスを取れる点は、少し前にリリースされたsmart:reverb 2 と同じ感動を覚えましたね。
ミックス初期〜中期で積極的に使っていきたい時短ツールでもありますが、その範疇に留まっていないので作業の簡略さに似合わず、効果は強力です。
などにおすすめです!
個人的に推したいこの製品ならではのポイントは、処理の自然さとGroup 機能ですね!