DTMで使用するコンプレッサーには VCAコンプ、FETコンプ、Opticalコンプ、Variable-Muコンプ、Digitalコンプ、Multibandコンプ、Low-Levelコンプなどなど、さまざまな種類が存在しています。これらのコンプレッサーの特性を理解することで、適材適所なコンプレッサーのセレクトが可能になり、ミックスやマスタリングのテクニックがグレードアップすることでしょう。WAVESから発売されているコンプレッサーを例にご紹介しますので、音楽制作のご参考にぜひお役立てください!
多くのDTMプラグインは伝統的なアナログ機器の特徴をシミュレートしていますので、アナログ・コンプレッサーの効果的な使用方法を知っておくとミックスに役立ちます。まずはVCA、FET、PWM方式についてご紹介します。
VCAは「電圧制御増幅機:voltage-controlled amplifier」の頭文字をとったもので、このタイプのコンプレッサー回路の中心にあるコンポーネントです。VCAコンプレッサーは、ユーザーが設定したスレッショルド以上のピークに反応します。VCA コンプレッサーはレスポンスが速いことで知られており、ダイナミクスレンジが非常に大きい楽器やトランジェント成分の多い素材に適しています。
多くのVCAコンプレッサーの設計では、スレッショルド、レシオ、アタックとリリースの時間、メイクアップゲイン、場合によってはニーを含む幅広いコンプレッションパラメータを正確にコントロールすることができます。この豊富なコントロールのおかげで、VCAコンプレッサーは汎用性の高いダイナミクス・プロセッサーとなっています。設定の仕方によっては、VCAはオリジナルのトーンやハーモニック特性に透明感を持たせることも可能です。
効果が出にくい用途
透明感を出すためには、アタックを速く設定しすぎないことが重要です。スレッショルドを低く設定しすぎたりレシオを高く設定しすぎたりすると、ピークよりも圧縮された潰れた音になってしまうことがあります。それだけでなく、VCAは圧縮しすぎると歪みを引き起こす可能性があります。
VCA式コンプの元祖
Waves dbx 160 compressor / limiterプラグインは、Wavesがdbxと共同で開発、歴史に刻まれたハードウェアのサウンドを、ソフトウェアでそのまま再現することに成功しました。ヴィンテージ・コンプレッサーを丁寧にモデリングしただけではなく、MSマトリックス、ミックスとノイズのコントロール、ステレオのコンポーネントなど、オリジナルのハードウェアにはない、ユニークなプラグインだけの機能が追加されています。Waes dbx 160は、スタジオでもライブでも、必須のコンプレッサー/リミッターとなるでしょう。
オリジナルのdbx® 160は、1970年代の他のコンプレッサーと比べ、非常に歪みが少なくクリーンなサウンドで、特にドラムのコンプレッサーとして評価されてきました。入力信号に素早く反応するdbx 160コンプレッサーは、70年代から80年代にかけて、メジャーなレコーディング・スタジオで必ず目にする機材となりました。このdbx 160の後継機種は、より多くの分野で使われるようになり、業界標準のコンプレッサーとなりました。
SSL 4000 Series-Gコンソール そのバス・コンプレッサーを細部までモデリング
SSL G-Master Buss Comp SSL 4000 Gコンソールのマスターバス・センター・コンプレッサーをベースに、Solid State Logicとの共同開発により誕生したのがWaves SSL G-Master Buss Compressorです。実機のコンソールで採用されていた、IC入力と2つのVCAゲインリダクション・アンプによるユニークなサウンドまで再現しています。
ピアノのダイナミクス調整、ドラムやパーカッションにパンチを加えるといった処理。そして多くのエンジニアに愛された、SL 4000 Gならではのトラック同士の"一体感"を生み出すその効果まで。数々の歴史的な名盤で聞くことのできる銘機のサウンドが、ソフトウェアで再現されます。
SSL 4000 Seriesについて
Solid State Logic社の4000 Seriesアナログ・ミキシング・コンソールは世界中で求められています。ポップ/ロックミュージック、放送の送信やテレビのポストプロダクションに従事するエンジニア達はトレードマークであるSSLの「パンチがある」サウンドと同じくらい、SSL 4000のフレキシブルなダイナミクスチェーンを高く評価しています。WavesとSSLのエンジニアはクラシックなSSL 4000 Series EとSeries Gのサウンドキャラクターを再現するため、1年以上も共同作業を行いました。とにもかくにも、このコンプレッサーはサウンドプロフェッショナルのほとんどが知っている、トラックのまとまりがしっくり来る優れたコンプレッサーです。
本家API公認のオフィシャルプラグイン
API 2500はAPIパンチ感とAPI独自のトーンを得られる、ダイナミクス・プロセスツールです。デュアルチャンネル・デザインにより、API 2500は1つのコンプレッサー設定で2つの独立したモノ・チャンネルとして動作させることもできます。
世界中のエンジニアを虜に
オート・メイクアップゲイン機能を備え、スレッショルドやレシオを調整しても自動で一定の出力レベルを維持するため、コンプレッションによるサウンド変化を冷静に判断することができます。さらに世界中のエンジニアを虜にした「feed back」と「feed forward」2つのコンプレッションタイプが、驚くほど幅広い、音楽的なキャラクターを生み出します。
80年代を代表する、コンプ/リミッター/ディエッサーの名機
12のモードを組み合わせて多彩なダイナミクス処理が可能 BSS® DPR-402ダイナミクス・プロセッサーは、そのパンチ感と多様な用途に対応する万能さから、長きにわたりスタジオ、ライブ、ブロードキャストの現場でエンジニアに重宝されました。その瞬発力あるサウンドは、80年代のダンス、ヒップホップ、ロックの数えきれないヒット曲に使用されています。
精密にプラグインで再現された定番プロセッサー
BSS Audioとの共同開発により、Wavesは今まで入手の困難だったオリジナルのDPR-402ユニットを精密にモデリング。その多彩な機能とサウンドを細部まで再現するにとどまらず、より柔軟にしかも簡単に使用できるよう、いくつかの追加機能も実装しています。
BSS DPR-402は実直なコンプレッサー、リミッター、ディエッサーとして個別に用いることもできます。しかしこのユニット独自のカラーは、これらの機能を組み合わせたり、特定のオーディオ帯域のみを選択して他のバンドをそのまま残して処理することで発揮されます。用途の可能性は無限にあり、低域に特化したエクスパンダーや、狭くピンポイントに狙った帯域のコンプレッション、ダイナミックEQとして利用するなど、驚くほどの効果を生み出すことができるでしょう。
歴史的な名機TG12345をプラグインとして復活
細心の注意を払ってコンソールの各コンポーネントをモデリングしたWaves/Abbey Road EMI TG12345チャンネル・ストリップ・プラグインは、入力段のマイクプリアンプから、回路を通じて生じるハーモニック・ディストーション、ハム・ノイズ、ベースとトレブルのEQバンド、コンソールのグループ/メイン・セクションのプレゼンスEQ、豊かなサウンドを生むスプレッダーまで、オリジナルのコンソールのよく知られた機能を余すところ無くキャプチャーしています。なによりもこのコンソールの有名なコンプレッサー/リミッターは、特徴的な心奪われるサウンドを生み出します。 このプラグインでは、ONE、実際にモデリングされたMK Iデスク、最終モデルのMK IV、これらのTG12345シリーズのすべてのモデルを再現できるよう、ルーティングの選択が可能になっています。 コンソールに元々備わっていた機能に加えて、コンプレッサーのサイドチェイン入力のハイパス・フィルター、簡単にパラレル・コンプレッションとリミッティングが行えるよう、ダイナミクス・セクションのミックス・コントロール、ドライブ・コントロールなど、現在のミキシング環境に合わせた機能も追加されています。
TG12345は、スタジオでのトラッキング、ミキシング、マスタリングの段階はもちろん、ライブでも、オールマイティーに活躍します。個々のチャンネルにインサートするほか、マスター・バスにも最適です。Waves/Abbey Road EMI TG12345はミックスに美しいコンプレッションと、印象深く明るい、まさに本物のクラシック・サウンドと言えるリッチなサウンドをもたらします。
FETコンプレッサーはVCAと同様に半導体を使用していますが、「電界効果トランジスタ」と呼ばれる特殊なコンポーネントを使用しており、VCAよりもさらに高速な反応時間を実現しています。多くのFETコンプレッサーにはスレッショルドコントロールがありません。適用される圧縮の量は、入力信号の振幅と入力レベルコントロールの設定の組み合わせによって決まります。入力が大きくなればなるほど、圧縮される信号は大きくなります。
FETコンプレッサーはサウンドに独特のキャラクターを与えます。おそらく世界で最も有名なFETコンプレッサー、Urei 1176 は何千もの名盤で聴かれており、ボーカル、ドラム、ギターなどに最適なアグレッシブで高速なコンプレッションを提供しています。
効果が出にくい用途
心地よい歪みと、コンプレッション
CLA-76 Blacky / Bluey は、60年代半ばに発売されたクラスAラインレベルリミッターアンプの異なる2つのバージョンにインスパイアされています。"Blacky"と"Bluey"の両バージョンも、オリジナル機と同様にスタジオの伝説となった超高速アタック(最速50ミリ秒!)を提供します。もちろんオリジナルの"ボタン全部押し"モードを再現する独自の"ALL"コントロールと、モデリングされたプリアンプの歪みにより、想像を超えるパワフルなドラムサウンドを作り上げることも可能です。
最も人気の2つのリビジョンを用意
CLA-76は、音楽史上最も有名なソリッドステートのコンプレッサー/リミッターの1つで、ゲインコントロールにFETを用いたユニークな製品をモデルとしています。当時、約8,000台が製造され、少なくとも13回の改訂が行われました。Wavesはその中でも特に評価の高い2つのリビジョンをモデリングしました。
■リビジョンB:クリスの個人的なお気に入りのリビジョンB。「Silverface Bluestripe」と呼ばれることもあります。モデルを使用してモデリングが行われました。
■リビジョンD-LN(ロー・ノイズ):ブラックフェイスとも呼ばれるリビジョンD-LN。76と呼ばれるコンプレッサーの中でも最も有名なバージョンは、このリビジョンD-LNでしょう。
この2つのリビジョンの主な違いは、ゲインステージとタイム・コンスタンス(アタックタイム/リリースタイム)、そしてTHD(トータルハーモニックディストーション)とノイズレベルです。CLA-76ではオリジナルのプリアンプのノイズまでもモデリングされています。
PWMは「パルス幅変調:pulse width modulation」の頭文字をとったもので、パルス幅変調とは、オンとオフの値を持つ高周波のパルス信号を利用して信号の振幅を制御する信号処理方式です。PWMは信号を分割して一部分をミュートすることで信号の平均振幅を減少させ、パルス波の「ON」値が長いほど結果として得られるサウンドは大きくなります。PWMコンプレッサーは、正しく設計された場合には最も歪みの少ない美しいコンプレッションを提供します。
効果が出にくい用途
史上最高のバスコンプレッサーの1つ、Pyeコンプレッサーの精密なモデリング
伝説的なプロデューサー/エンジニアであるEddie Kramerと共にWavesが開発したPIE Compressorは、LondonのOlympic Studiosで歴史的セッションの数々で実際にEddieが使用したものと同じ、ヴィンテージPyeコンプレッサーの精密なモデリングです。
クラシックロックの時代より英国スタジオにおける要であり、今も史上最高のバスコンプレッサーの1つであると多くの人に称賛されているPyeをモデリング。Waves Kramer PIE CompressorプラグインはVUメーターの非常に速いリフレッシュレートまでモデリングし、現実に存在するアナログメーターの精密さ、感度、動作を再現しています。
ここからはダイオードブリッジ、Optical、真空管方式についてご紹介します。
前回ご紹介したPWM方式を採用した「Pyeコンプレッサー」に変わる方式として、Rupert Neve氏がダイオードブリッジコンプレッサー 2252を開発。(とても参考になる開発秘話映像はこちら) 元々はテレビ局用に開発されたダイオードコンプですが、さまざまな楽器に倍音豊かなトーンと幅広いカラーを生み出し、ミックスバスにパンチと一体感をもたらすことで高く評価されてきました。現代でもダイオードブリッジ方式のコンプレッサーは人気があり、NEVE 2254にインスパイアされたアウトボードが各社からリリースされています。
歴史上最も有名なダイオードコンプ
このV-CompプラグインはNEVE 2252の後継モデルとなる、ディエッサーを搭載したコンプレッサー/リミッター NEVE 2254マスターバス・コンプレッサーを正確にモデル化しています。非常に説得力のあるヴィンテージ・ダイナミクスを実現し、ウォームでファットなサウンドと素晴らしいミッドレンジのディテールを提供するようデザインされています。
驚くほど反応の早いダイナミクス・プロセッシングで、数え切れないヒットレコードで聴く事のできる、音楽的なパンチ感を備えています。柔らかなコンプレッションでは素材をミックスに馴染ませ、強力にまとめ上げることも可能です。
コンプレッサーモジュールでオリジナルのダイオード方式と、モダンなVCA方式を切り替え可能
Abbey Roadのマスタリングスタジオ Room5に鎮座する、ソリッドステート構成のモジュール式システム EMI TG12410 を精巧にプラグイン化した製品です。モデリング元となったEMI TG12410は70年代初頭から現在もなお使われていて、Wavesの発表では以下のようなビッグタイトルのマスタリングで使用されてきました。
・Pink Floyd / The Dark Side of the Moon
・Nirvana / In Utero
・Radiohead / OK Computer
・Ed Sheeran / +
etc…
そのサウンドをそのままプラグイン化したAbbey Road TG Mastering Chainは以下の5つのモジュールで構成されています。
・TG12411 Input Module
・TG12412 Tone Module (EQ)
・TG12413 Compressor/Limiter Module
・TG12414 Filter Module
・TG12416 V.A.L (Spread) Module (stereo component only) incorporated into the Output Module.
これらモジュールは Input ModuleとOutput Module以外は自由に入れ替えができ、ドラムバスやミックスバスなど状況に適したルーティングを楽しめます。Compressor/Limiter Moduleは Original/Modern のモード切り替えができます。Originalは実機のダイオードコンプの挙動を再現し、ModernはWavesとAbbey Roadの共同サウンドデザインで、ハイスピードなVCAコンプの特徴を持ち、高いコンプレッションでも原音が損なわれにくい現代的な音楽に求められるテイストになります。
コンプレッサーは入力信号を2つに分割し、1つはコンプレッサーが動作する検出回路に送られ、もう1つは実際にコンプレッションされます。オプトコンプは検出回路がユニークで、検出回路に送られるオーディオ信号は光に変換され、電気光学センサーがトリガーとなり、ゲインリダクションの量を制御します。このセットアップのレスポンスは滑らかで透明感があります。他のタイプのコンプレッサーとは異なり、ハードウェアのオプトコンプは固定比率で、通常は3:1です。
おそらく最も有名なオプトコンプは、Teletronix LA-2Aでしょう。技術的には “レベリングアンプ “と呼ばれていました(名前の “LA “が由来)。電気光学回路と真空管アンプの両方を組み合わせ、滑らかで気持ちの良いコンプレッションを実現しまし、LA-2Aは商業用スタジオではどこにでもあり、数え切れないほどのレコーディングで使用されています。LA-3Aモデルも同様の機能を持っていますが、真空管回路を搭載していないため、よりクリーンなサウンドを実現しています。
スムースなオプト式コンプレッサー
伝説的なエレクトロ・オプティカル(電気光学式)チューブコンプレッサーをモデリングしたCLA-2Aは、世界中のエンジニアのお気に入りとなった、オリジナルのスムースで周波数追従型の動作を再現しています。60年代中期に製作されたクラシック・モデルと同様、CLA-2Aはギターやベースに適しておりボーカルを輝かせてくれます。クリス・ロード・アルジ自身の手によるプリセット、制限のないインスタンス化はオリジナルを完全に上回り、インスピレーションを凌駕するサウンドを提供します。
温故知新
CLA-2Aは、1960年代初頭にTeletronix社が製造していたハンドワイヤードのチューブ式コンプレッサーをモデルにしています。当初、放送局での使用を目的としていたオリジナルは、ゲインリダクションに「T4」と呼ばれる電気発光式の光学アッテネーターを使用していました。蓄光式の回路は、他の多くの設計と異なり、音を変調する際に歪みを加えません。また、CLA-2Aのアタックとレスポンスのスピードが周波数に依存していることに着想を得たことで、オーディオエンジニアにもすぐに受け入れられました。CLA-2Aの最大の特徴は、2段の光電セルで実現したプログラム依存のマルチステージ・リリースです。周波数特性は30Hz〜15kHz(±1dB)、THDは0.5%以下で、オリジナルは最大40dBのゲイン制限が可能でした。
繊細な倍音歪み
ユニークで非常に透明感のあるコンプレッションカーブを持つことで知られる70年代初期のソリッドステートユニットをベースに開発されたCLA-3Aは、実機同様に素早いレスポンスと繊細な倍音歪みを提供します。オリジナルと同様にベース、ギター、ボーカルに豊かな彩りを加え、ミックスにさらなる深みを与えてくれることでしょう。
CLA-3Aは、1969年に発売されたソリッドステート式のコンプレッサーをベースに開発されました。真空管式コンプと同様にシンプルなコントロール、ゲインリダクションのためのT4オプティカルアッテネータ、そして強力なコンプサウンドがCLA-3A開発のインスピレーション源となっています。間違いのないコンプの挙動とユニークなサウンドにより、オリジナルのハードウェアは今でも世界中で使用されています。クリス・ロード・アルジは全てのヴィンテージコンプレッサーの中で、この製品が最もお気に入りだそうです。パンチの効いたサウンドとハードなコンプレッションテクニックで知られるクリスですが、Wavesは彼が所有する最も貴重なこのヴィンテージコンプレッサーを独占的にモデリングする許諾を得て、また開発のあらゆる段階でクリス自身の協力を得てプラグイン化することができました。精密にモデリングされたこのCLA-3Aにはクリス作成による多数のプリセットとともに、クラシックコンプレッサーの特徴的なサウンドを提供します。
真空管回路をベースにしたコンプレッサーは、滑らかなコンプレッションと心地よい音色キャラクターを加えます。 超高速で動作するコンプレッサーではなく真空管のリバイアスにより減衰を実現するため、トランジェント・コントロールには向いていませんが、どんな音源にも温かみと深みを与えます。真空管コンプレッサーの最も伝説的なモデルは Fairchild 670 Tube Limiter(モノラルバージョンのFairchild 660もあります)で、アナログレコード時代を通じて、オリジナルのFairchild 670コンプレッサーは非常にポピュラーなプロセッサーでした。ほぼすべてのコンポーネントが真空管で構成され、当時のコンプレッション・テクノロジーが凝縮されたFairchildは、レコーディング・スタジオからレコードカッティング・スタジオまで、比類無きサウンドでその名を馳せています。
稀少なビンテージFairchild 670をデスクトップに甦らせる
PuigChild Compressorは、エンジニア ジャック・ジョセフ・プイグ氏(JJP)が所有するFairchild 670独特のニュアンスを余すところなく、その芳醇な倍音が奏でる複雑なディテールまで、プラグインにキャプチャーしました。自分の生まれる前の時代にまでさかのぼり、現代に至るまでのあらゆる機材を試し、自身のサウンドに取り入れてきたといいます。LAにあるトップクラスのスタジオ、オーシャンウェイ・スタジオの1ルームをハードウェアで埋め尽くし、何年にもわたって自分専用としてロックアウトするほどでした。その一聴してはっきりと特徴のわかるサウンドは、彼が手がけたグラミー受賞作品の数々で聞くことができます。PuigChild Compressorは、JJPが目指す普遍と独創のサウンドを、アナログプロセッシングの伝説を具現化するプラグインです。
オリジナルのフェアチャイルドは信じられないほど希少でとても高価ですが、PuigChild 660はモノ・コンポーネント、PuigChild 670はステレオ・コンポーネント仕様で、フェアチャイルドユニットのリアルなエミュレーションを提供してくれます。
シルクのように滑らかなコンプレッション
まさにアビー・ロード・スタジオで行われた、ビートルズの全てのレコーディングで聴けるトーンを。2つの異なる「フレーバー」を選択できるこのクラシックな真空管コンプレッサープラグインは、アビー・ロード・スタジオが承認した貴重なRS124をエミュレートしています。 RS124ほど、音楽の歴史を定義してきた機材はありません。特注のRS124コンプレッサーは60年代アビー・ロード・スタジオのエンジニアの奥義でした。Geoff Emerickはパンチの効いたベースサウンドを、Ken Scottは豊かなギターサウンドを、Norman Smithはリズムバス全体を軽くなじませるために使用。 またRS124はアビー・ロード・スタジオのカッティング・ルームでのマスタリングにもよく使われていました。 RS124のサウンドは「Rain」や 「Come Together 」などのビートルズの名曲から生み出された、厚みのあるクリーミーな低音が特徴的。アビー・ロード・スタジオのエンジニアはRS124の入力を15-20dBのゲインリダクションに深く押し込み、多くの音源で驚くほど豊かな結果を生み出しています。 そして現在、グラミー賞を受賞したポップ/R&Bやヒップホップのエンジニア、トニー・マセラティ氏は、ビヨンセやアリシア・キーズなどのボーカル・トラックに一貫してRS124のトーンを使用し、素晴らしいボーカルトーンを作り上げています。