電子楽器開発・製造を主事業に1983年国内で立ち上がったZOOMは、ギタリストにはマルチエフェクター、エンジニアにはミキサーやオーディオI/Oにレコーダー、ビデオグラファーにはカメラ用マイクなど、各分野のクリエイターに 手頃な価格で多くのプロダクトを提案してきました。

そんなZOOMの中でも、近年発売されたデジタルミキサー「LiveTrakシリーズ」は音を扱うユーザーのニーズにうまくマッチした製品だと思っています。
発売からしばらく経ちましたが、今回は人気の三機種…
LiveTrak L6
LiveTrak L6max
LiveTrak L12next
この3点をピックアップしてレビューしていこうと思います。
個人的に、LiveTrakシリーズ 3機種とも共通している推しポイントがあります。
①32bit float RECに対応
②本体にてマルチトラックREC
③バッテリー駆動
①32bit float RECに対応
まず取り上げるポイントとして、LiveTrak三機種ともに32bit float RECに対応しています。他の機材との兼ね合いから32bit float が必ずしも万能だとは言いませんが、現場でクリッピングノイズを気にせず取り扱えるのはストレスが減るのではないかと思います。
②本体にてマルチトラックREC
また、LiveTrakシリーズは本体にマイクロSDカードを挿入することにより、マルチトラックレコーディングが可能です。この機能は最近のミキサーやオーディオインターフェイス(RMEのFireface UFXなど)には案外搭載されていたりします。マルチトラックRECにも対応しているので、急遽音を録りたい時には何かと重宝する機能かと思います。
③軽量コンパクト・バッテリー駆動

最後に、LiveTrakシリーズはサポートする入出力数の割には本体は大分コンパクトで、他ブランドのオーディオミキサーと比べると軽量コンパクトさが目立ちます。L6 / L6maxにいたっては乾電池で動作し、皆様のお手元にあるモバイルバッテリーにも対応しています。
手軽に外出先で利用できるLiveTrakシリーズを見てみると、もしかするとLiveTrakシリーズの中でも最も大きなポイントかもしれませんね。
ここからは各モデルを見ていきましょう。

LiveTrak L6は2XLR入力、4ステレオ入力の合計10入力を備えたミキサーなのですが、とにかく軽量コンパクト!電池を入れても重さは618gしかありません。今回記事タイトルにも設けた多機能を持ち運ぶ用途には、最も適したモデルだと思います。出力面も案外豊富で、マスターアウト、ヘッドホンアウトはもちろんAUX SENDも付いています。
LiveTrakシリーズの共有ポイントはきちんと押さえており、音声の入出力まとめはもちろんmicroSDカードを本体に入れれば12トラック分の録音も可能です!

コンパクトながら入出力も豊富なので、自宅やスタジオでマイクやシンセをまとめたい、ユーロラックモジュールにしたい方にはピッタリだと思います。

LiveTrak L6を横に伸びたような見た目のLiveTrak L6max。左側はXLR入力が4系統に増え、右側には液晶画面にSUB OUTが増設されました!

入力1-2にはHi-Z端子が搭載されギターやベースを直接繋ぐことができ、また5-8ステレオ入力には-20 dBのPADスイッチが増設され、業務レベルのPAミキサー入力も気にせずダイレクトに突っ込むことができます。
とにかくどんな音源でもそのままインプットすることが出来る面は魅力の一つなのではないでしょうか。

またL6maxの大きな特徴として、AIノイズリダクション機能が付いている点。この点は後半に掘り下げましょうか。

他の2機種に比べてサイズも異なるL12next。見た目はまさにアナログミキサーという感じで、電源を入れずとも機能を把握できるレイアウトになっていると思います。フロントには8個のXLR/TRS入力、その隣にはステレオTRS フォーン入力が2系統用意されており、フェーダー、3つのエンコーダーノブが各チャンネルに用意されています。

このエンコーダーは選択キーにより切り替えが可能で、EQセットや”GAIN・COMP・Low CUT”セット、また面白いと思ったのがSEND がA-Eまで5系統アサインでき、調整することが可能です。
アウトプット部もMASTER OUTが1ステレオ以外に、4つのMONITOR OUTが用意されており、それぞれスピーカーでもヘッドホンでも切り替えられるようになっています。電源を入れずともパッと見で機能が確認できるのは使い勝手が良いと思います。

また、このタイプのミキサーでは珍しく、モニターポイントを設定することができ、Pre Master Fader若しくはPost Master Faderから選ぶことができます。この点は大変ポイントは高いかと思います。

L12nextはミキサーのようでもありますが、MTRとしての機能も充実しています。24bit / 96 kHzで12トラック+ステレオミックスを同時録音することができ、フロントパネルにはミックスダウン、パンチイン、オーバーダブボタンが個別で用意されています。

簡易ながらもディスプレイも付いているので、簡易レコーディングにもストレスなく作業に集中できます。

L6 / L6maxに比べるとサイズはでかいですが、機能を考えると驚くほど軽量コンパクトだと思います。
積極的に持ち運びができるミキサーだと思います。

今回、L6maxのAIノイズリダクション機能を試してみました。テスト環境としては、L6maxにShure SM58を繋げ、サーキュレーターから50cmほどの距離で風音を確認しました。直接サーキュレーターにマイクのダイアフラムを当てて音を聞いていたので、ノイズはかなりのものです。
L6maxフロントパネルにあるAI Noise Reductionをチェック、TAPボタンを押して環境音を読み込ませ学習させ、5秒後にノイズリダクションがオンになります。
ノイズキャンセル後のサウンドを聞いてみた印象ですが、まずノイズ除去の効果としてはノイズ音をバッサリ切るのではなく、ノイズ成分を薄める印象が感じられ大凡ノイズが40-50%ほど目立たなくなる印象でしょうか。ノイズを抑える働きは、WavesのX-NoiseやWNS Noise Suppressor、iZotopeだとRXシリーズのVoice De-noiseなどと働きは同じなのだと思います。

注意深く聞くとやや遅延もあるように感じますが、声の要素・成分を大きく変えずに自然に聞こえます。恐らくこれ以上ノイズ処理の効果を強くしてしまうと音源の印象が変わってしまうため、うまく調整されたのでしょうね。
配信時に気になるエアコンなどの空調ノイズや、学園祭やお祭りで聞こえるような、ハムノイズはうまく消えてくれるのではないでしょうか。とはいえ、突発的なノイズの除去には厳しいと思いますので、そこは気をつけた方がいいかと思います。
L6maxのAIノイズリダクション機能は、マスターアウト(SDカードへの2トラックステレオ録音およびメイン出力)にリアルタイムで適用されます。
そのため、ライブ配信はもちろん、録音後すぐに音声を納品・公開したい『即出し』の用途でも、ノイズを抑えたクリアな音声をそのまま活用可能です。
一方で、個別のマルチトラック録音にはあえて処理をかけず『生音』を残す仕様となっています。
これにより、配信現場での即時性を確保しつつ、後からDAW上で緻密なノイズ処理を行う際にも、原音の質感を損なわずに最高品質で編集できる設計思想が貫かれています。
ノイズが気になる環境であれば、まずは試してみるのもいいと思います。
LiveTrakシリーズ3機種を振り返ってみましたが、3機種共に大きな特徴としては多機能ながら軽量・コンパクトな点かと思います。自宅だけではなく練習スタジオ、野外にガンガン持ち運び使ってみる事が本領だと思いますので、是非あなたのバックに入るモデルを選んでみてはいかがでしょうか。
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