Vツイン多田でございます。DIgitakt IIの発表から数ヶ月、ElektronからDigitone IIがデビューしました。
ElektronのDigitoneはブラックのシャーシにティファニー・グリーンの配色でおわかりのように、FMシンセを得意とするグルーブボックスになります。
今回のモデルチェンジをひとことで言えば、『パワーアップ』に尽きます。
これは先行してリリースされたDigitakt IIと同じポイントで、アップデートにアップデートを重ねて6-7年経った8トラックフォーマットから16トラックに鞍替え、新しい基盤の上にはインポートできるサンプルがモノラルからステレオになった事をはじめ、ほぼ全てのセクションに手が加えられています。
かと言って、オリジナルDigitoneから全く違う何かに変わった訳ではありません。オリジナルDigitoneを使用している時に「もっと〇〇が増えたらなぁ」と思ってしまう部分が丸ごと実装されているんです。
『痒いところに手が届く仕様』、と書きたかったのですが、Digitone IIを触って行くうちにこの表現だとオリジナルDigitoneは全身が痒い事になってしまう気がして、言葉を変えました。
どのくらいかゆい所に手が届くかといえば、『初代DigitoneにAnalog HEATを繋いでプレイしていた場合、似たサウンドがDigitone IIだけ出せる可能性がある』というくらい手が届きます。早速横に並べて新旧比較をしてみましょう。
新旧Digitoneを並べて写真を撮る前に、まずはプリセットソングを聞いていました。
良い機材のポイントである「一丁目1番地(=1ページ目1バンク)が最初から良い」というのはElektronが毎回100点満点を出しているように思います。Elektronのマシンは少しとっつきにくく勉強が必要なものがほとんどですが、”マスターすればこんなサウンドがあなたにも出せるよ!”と言わんばかりの、壮大な旅の始まりを彷彿とさせる『LIGHTHOUSE』が入っていました。
並べた写真はこんな感じです。会社のロゴに至るまで、ほぼ全ての表記が変わっています。
Master VolumeがMain Volumeに変わっているとか、機能は同じでも言葉が変わっているものと、機能やボタンの場所が置き換わっているものとが半分ずつくらいで並んでいます。約6年間ボタンを押し続けて体に馴染んでしまったオリジナルDigitoneユーザーには矯正の時間が必要なボタンもたくさんありそうです。
表示だけの変更ですが、ステレオイン/アウトは上から見てどちらがインでアウトかは非常にわかりやすくなりました。細かいところで言うと液晶ディスプレイがOLEDになり、白系でたいへん見易くなっております。
*Digitone II
*Digitone
グローバルミュートなどで使用してきたカラフルな4バンクキーは廃止され、新機能のアルペジエーターへの直接アクセス、トランスポーズが並びます。また4個から8個になったPAGEを表すLEDインジケーターも明るくなっており、赤/オレンジの2色LEDが入っていました。赤色はシーケンス全体の長さを、オレンジは今どこを進んでいるのかのマーカーとして点滅するので、無音の状態で全体の長さを把握できるのは事故防止に一役買いそうです。
新しいトラックミュートはFUNC + 1-16ボタンに変わっています。パフォーマンスをする方はMUTEボタンの覚えなおしになりますが、ここは指が届けばたくさんのボタンをリアルタイムに変化させる事も出来そうで、これまで出来なかったMUTEを使ったトリックが出来そうです。
*Digitone II
*Digitone
MIDI ConfigからKB Setupに変わっておりまして、変わっているのかなと思いきやファーストタッチでは特に違和感なく。すんなりクロマチックモードに設定できました。Mute Modeの位置も少し引越していますね。
*Digitone II
*Digitone
内部ミキサーはミキサーが倍に増えた事を表す8フェーダー x 2ページ。さらにページ数が3から5ページに変わっています。ページを切り替えてInternalとEXternalミキサーがある他に、マスターFXとしてコンプレッサーとFXミキサーが加わっています。これは冒頭に述べた”痒かった所”なのでありがたいですね!
内部の話をしますと、先行してリリースされたDIgitakt IIと同じ16トラックプラットフォームですので、サンプルが16bit 48kHzモノラルから16bit 48kHzステレオになったのは必ず記載しておかなければいけないポイント。
さらに8トリガーは16トリガーで2倍に、8オーディオトラックは16オーディオトラックで2倍など、だいたい全部2倍になっています。内部ストレージである+driveはオリジナルDigitoneが1GBだったのに対して、脅威の20GBを搭載。つまり20倍。パワーアップのインフレが最も起こった部分といえます。ステレオデータを格納する為とはいえ、ツアーのセットリストをまんま収納することもできちゃいそうな大容量となりました。
音作りとエフェクトのアレンジが大幅に広がり、結果Digitone印をキープしつつも、あなたのサウンドの創造性・可能性を機械の方が制限をかけない、という風な堅実に賢く進化を遂げた印象です。店頭ではオリジナルDigitoneからDigitone IIに乗り換えの方が50%くらいいらっしゃるので、ここはDigitakt IIと違ったスタートを切っているなぁと販売する側から感じています。
また、オリジナルDIgitoneは発売からその終売まで約6年という年月で数えきれないアップデートを繰り返してきました。当初のマシンから見たら遥かに強力なマシンへと進化した経緯もあり、プラットフォーム新たに出発したDigitakt II / Digitone IIも、Elektronによる進化を控えていると考えて良いでしょう。良き相棒として長い付き合いになりそうです!