SONIBLEからAI駆動型のノイズリダクション・エンハンスツール『PRIME:VOCAL』がリリースされました。
SONIBLEといえば『smart:』シリーズなどAI稼働型プラグインを多くリリースしているメーカーで、同シリーズを始め使いやすいUIとクォリティの高さで人気を博すメーカーです。
今回の製品『PRIME:VOCAL』は、声に特化したプラグインとなり、自宅ベッドルームやリビングなどで録音された声データを、専用スタジオ録音クラスのサウンドまで磨き上げるボーカルトリートメント用のマルチツールとなります。
また動作方式が大きな特徴の1つで、スタンドアロン、またはARA形式での動作となります。
ARA形式は現状ベータ版との事で、下記にARA動作についてメーカーからの情報が記載してありますので、ご興味のある方はご一読を頂くと良いかと存じます。
※ARA形式では対応しているDAWソフトウェアが必要になります。
今回は主にスタンドアロン版を使いつつ、ARA対応のDAW『CUBASE PRO 14』を使ってARAでの動作も確認します。
ボーカル処理に必須となるノイズ/ルームリダクションや歯擦音の抑制、コンプレッサーやエンハンサーなど、多機能なプラグインですが、実際の使用感の感想も交えてレビューをします。
それでは早速参りましょう!
まずはソフトウェアのUI画面を見てみます。
スタンドアロン版はソフトウェアを立ち上げると「ボーカルデータをインポートしてね」という表示が出るので、ドラッグ&ドロップなどでインポートします。
その後、ソフトウェア側で自動解析と処理が始まり、下記画像の状態となる形です。
自分の環境では、読み込み時間は3分30分ほどのデータで2分かからないくらいでした。
ソフトウェアの全貌はこの領域でほぼ全て表示されており、多機能ながらSONIBLEらしい視認性の良いUIです。使いやすそうですね!
中央に表示されている波形の下に、5つのモジュールが表示されているのが分かります。
こちらが本ソフトウェアの主なコントロール部分で、基本的にここの設定を調整してボーカルをクリーンアップしていく、というのが主な使い方になります。
各5つのモジュールの機能は以下の通り。
NoiseとRoomのReductionは周波数帯域により強度を設定することが可能です。
ノイズリダクション系のプラグインは必要な音まで削ってしまい音痩せしてしまう事などがありますが、この値をコントロールする事で過剰な処理を回避しやすくなる訳ですね。
また、1~3はモジュールのコントロール領域にマウスを合わせるとデータ上で適用されている部分を色付けして表示してくれます。(色はモジュールのカラー表示と同じ。)
どの部分に何が掛かっているか分かり易いので、この表示の仕方は好きですね!
それでは実際にソフトウェアの性能を確認してみましょう!
まずこちらが今回用意したボーカルデータです。
(録音後何も処理していない状態)
そしてこちらが『PRIME:VOCAL』を通したあとのデータ。
ボワっとした膨らみが抑えられ、クリアで輪郭のはっきりした音声になっていますね!
また音量差も揃っており、簡単な操作の割にボーカルの下処理としては思っていたよりもレベルが高いところまで持っていく事ができました!
部屋鳴りやノイズ除去の性能が良く、ハイレベルな録音環境を用意できない方にとっては、かなり有難いプラグインではないでしょうか。
他にもデモ音源の作成などサッと整えたい場合でも、このプラグインを通すだけで後の処理が楽になりそうです。
諸々の処理が終わったら、音声をバウンス/エクスポートして書き出します。(スタンドアロン、ARA版共通)
またセッションデータを保存できるので、デモ用に一旦作成して保存しておけば、後日微調整などを行う際に読み込んで調整し、デモ版とA/B比較ができたりと色々と便利な使い方ができそうです。
シンプルな操作感ながら強力なプラグインでした!
特に気に入ったポイントは機能のパワフルさと、操作性の良さでしょうか!
ノイズリダクション系が強力で、自宅などで録音環境を整えるのはコストが多くかかる場合が多いので、プラグイン1つでここまで処理出来るのは大変助かりますね。
素早く処理できて、処理後のクォリティも味付けの少ないクリアな音質。シーンを問わず使いやすいと思います。
ボーカルを録音するアーティストや、声の多い動画を投稿する配信者の方にも強力な相棒になってくれる事でしょう!