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大型アップデートされた超定番シンセ 『XFER RECORDS SERUM 2』 レビュー!

2025.04.23

先日リリースが行われ大きな話題を生んだXFER RECORDS SERUM 2。前SERUMは説明不要と言える様な超定番のシンセサイザー音源でしたが、
SERUM 2は前バージョンの流れを汲みながらもまさに新しく生まれ変わったと言っても過言ではない内容になっています。

今回はアップデート内容にも少し触れながら、新しいSERUM 2の魅力について掘り下げていきます!

SERUM 2とは

『SERUM 2』は強力なサウンド生成機能と直感的な操作が可能なウェーブテーブル・シンセサイザーです。
3つのオシレーターとノイズ・オシレーター、サブ・オシレーターを備えています。
各オシレーターのサウンド生成は、

  • Wavetable
  • Multisample
  • Sample
  • Granular
  • Spectral

の中から選択可能。
2つのフィルターのうちどちらか、または両方を通したり、ほぼ全てのパラメーターをアサイン可能なエンベロープ/LFOで音をコントロールしたり、FXラックからエフェクトを適用したりと、まさに無限大の可能性を持つシンセサイザーです。

操作性について

一見、文字だけだと難解に見える上記機能ですが、
SERUMから引き続き、SERUM 2にもユーザービリティの高いインターフェースが採用されており、ここまでの機能を持ちながらも今回も使いやすいインターフェースを備えている事もSERUM 2の大きな魅力でしょう。

こちらは”ENV1″をFilterの”CUTOFF”にアサインしようとしている所ですが、やり方は”ENV1″から”CUTOFF”にドラッグ&ドロップするだけ。
(ドラッグ中、アサイン可能な場合はカーソルに”+”マークがつきます)


SERUMは私が初めて触ったシンセサイザーですが、この直感的な操作には初心者だった当時も大変助けられたと記憶しています。

次に、プリセットブラウザについてもご紹介します。


SERUM 2からは、前バージョンからのカテゴリ、ロケーション、レーティングなどの情報に加えて、タグやディスクリプション、ノート欄などが追加され、検索性と表示情報が向上しています。様々な音色が作れる音源だからこそ、この辺りの使用感は重要になってきますので、嬉しい改良ですね。

ちなみに前バージョンはこんな感じのブラウザでした。

ちょっと小話(前バージョンを使っていた方向け)

気になった事があったので少し小話を挟みます。
上記のように、機能面やビジュアルなど大幅なアップデートがされたSERUM 2ですが、
少し気になってくるのがCPU負荷の問題。
前バージョンは比較的軽量な動作もメリットでしたが、これだけ機能が増えると、結構重めのプラグインになってるのでは・・という心配がありました。

↑SERUMのUI画面。2に慣れてくるとすごくシンプルに見えてきます・・・

SERUMで保存していたプリセットは、全てSERUM 2でもそのまま使える仕様になっていますので、
全く同じプリセットを1と2で鳴らして、Ableton Liveの機能であるCPUメーターを使って負荷に違いがあるのかを検証してみました。

SERUM 2 :
待機時 2%
発音時 9%

SERUM:
待機時 2%
発音時 8%

実際の所、使用しているPC環境などなど色々な要素で変わってきますが・・
私の環境では同じプリセットを鳴らした負荷はほぼ同じか、わずかにSERUMの方が軽量という結果に。
これくらいなら気になるレベルではないですね!
ちなみにSERUM 2で動かしたからといってSERUMと音が違う、という事は特に感じませんでした。

音について

さてさてお話を戻してまして音についてご紹介しましょう。
先ほどお話した通り、オシレータのサウンド生成はWavetable、Multisample、Sample、Granular、Spectralの中から選択が可能です。
元々SERUMを使っていた私からすると、サンプルを読み込んだりグラニュラー生成ができるようになったのか!!とここがかなり衝撃的でした。
SERUMは使われていた方であれば分かるかと思うのですが、『SERUMっぽい音』っていうのがあるんですよね。
比較的派手目な音で、それもあってEDM系作曲家からの支持などもあったのですが、
SERUM 2は一味違います。
生成手段が一気に増えた事で、今までのSERUMとは一味違うサウンドが出るんですね。

下記にサウンドサンプルをまとめておきました。

  • Elektric Piano
  • Keybord
  • Lead Synth
  • Reese Bass
  • Nylon Guitar
  • Trombone

の種類の音になっています。

他にもエレキベースやハープシコードなど、様々な音色がどんどん出せるので、まるで総合音源かと思うような気分にさせてくれます。

ファクトリープリセットは十分な量が用意されており、サウンドデザインの足がかりとして使用する事ができます。

ミキサーについて

SERUM 2にはミキサーが搭載されています。
SUBオシレータ、メイン‧オシレータ ( OSC A、B、C ) 、 NOISEオシレータなど、パッチ内の主要な音源をブレンドしバランスを調整できます。
(フィルターやバスへのセンドなど、オシレーター画面からでも設定可能な項目もあります。)
サウンドデザインを進める中で微調整などが必要な場合なども、この画面でレイヤーをコントロールする事ができますね。

豊富なFXモジュール

SERUM同様、2にもFXモジュールを追加できます。
種類やインサート可能な数がさらに増えており、
サウンドデザインの柔軟性に一役買っています。

ちなみにFXのバイパスボタンはこちらの赤丸部分です!
エフェクトを設定したらオンオフで具合を比較してみましょう。

まとめ

さて長くなって参りましたのでこの辺りで。
SERUMから今時らしいブラッシュアップも行われており、最近人気のある他社プラグインにも全く引けをとらないどころか強みを感じる、全く新しいプラグインに生まれ変わりましたね。

直感的な操作性の良さは健在ですので、
やはりシンセ音源を初めて導入されたい方には大変おすすめです!
最初はLFOとかエンベロープとか何が何だかだと思うので、視覚的に音がどうなっているのか見れると理解がしやすくて助かりますよね。
また、SERUM 2はより柔軟性の高い音源となっているため、使い勝手の良い万能なシンセを探している方にもマッチするでしょう。
Undo / Redoもあってサウンドデザインもかなりしやすいですし、ここでは紹介できなかった機能が山ほどあるので幅広く使えるかと思います。

高性能ながら道具としても使いやすい、優秀なシンセサイザー音源でした。

Rock oN ソフトウェア研
ソフトウェア愛に溢れたRock oNスタッフ達
記事内に掲載されている価格は 2025年4月23日 時点での価格となります
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