前回はワイヤレスマイクヘッドの音質や特徴について取り上げました。今回は有線マイクについて書きます。
もう最近では、ひも付き(有線マイク)で歌うボーカリストはかなり少なくなってきました。
しかし、ワイヤレスマイクの音質も向上して来ましたが、やはり音質面で有線マイクを選ぶボーカリストの方もいます。
ということで、有線マイクの代表的なモデルをみていきましょう!
まずは基本的なボーカルマイクとしては、Shure SM58です。
1966年に発売されて今でもスタンダードで、どこの音響会社も保有しています。
リハーサルスタジオにも確実に置いていますね。
声の帯域がしっかりとピックアップできるのと、耐久性に優れています。
世界的に有名なボーカリストもSM58マイクを指定したりもします。
ボーカルマイクは口の近くで使用することもあり、Myマイクを持ち歩く方もいらっしゃいます。そういった用途でも基本はSM58だと思います。
まずは、SM58で歌って良い声をマイクに乗せるイメージが大切かと思います。
実は、PAのサウンドエンジニアは、このSM58を基本としてメンバーの足元にあるモニタースピーカーの調整やイヤーモニターのレベル、音色調整を行ってからメンバー持ち込みのマイクで最終調整します。
PAのサウンドエンジニアって、ナイスボイスの方が多いのはSM58で長年調整しているからだと思います。
ボーカリストを目指している方は、まずSM58を経てからもっと自分に合ったマイクを探してみましょう!
ロック系のボーカルには、超単一指向性のShure Beta58Aがオススメです。
ボーカルゲインも高く取れるし、高域がクリアでもあります。
同じくBeta シリーズですが、Beta58Aとはウインドスクリーンの形が違って、よりボーカルゲインが取れます。
ハンドマイクで使うと、ウインドスクリーンを握ってしまうので弾き語りアーティストに向いています。
ちなみに、ウインドスクリーンの部分を握るとマイクの指向性が変わるので(無指向性方向へ)ハウリングしますし、鼻詰まりのような音になります。
プロフェッショナルなボーカリストは自分でマイクを持ち込む方が多いです。
その中でゼンハイザーのマイクのチョイスが多いです。
このシリーズでは、E935は単一指向性、E945は超単一指向性。(いずれもダイナミックマイク)
E965はコンデンサーマイクで、大型のダイヤフラムを 2枚持つカプセルが付いており、ポーラーパターンをカーディオイドかスーパーカーディオイドのどちらにも切替えることができます。
E945を持ち込まれる事が多く、被りが少なくて自分の声ははっきり聴こえるのが選ばれる理由かと思います。
もう20年以上も前に発売されたマイクですが、今でも人気なマイクです。
ノイマンマイクの中では珍しいハンドマイクの仕様でコンデンサーマイクです。
とても繊細な音で、歌い上げるボーカリストのニュアンスがとても伝わります。
僕が担当しているボーカリストもこのマイクを愛用しています。
KMS105は超指向性マイクで、KMS104は単一指向性です。
コンデンサーマイクですので、湿気には注意です!!
このマイクはとてもコスパがいいのであります!
2017年7月1日にオーストリアのウイーンで創業を始めた会社で、AKGに在籍していた方々が作った会社です。
音質も各帯域がスムーズで、ボーカルの音色にうるさいボーカリストからの評価も高く、この金額でこの音色は驚きの一品であります。
“マイクロフォンのチョイスって、名刺交換的な感覚”と書いた理由は、アーティストの音源を聴いて「このアーティストにはこのマイクが合うだろう」ってイメージをしてリハーサルスタジオに数本のマイクを持ち込んで、好みのマイクを選んでいく。この作業は、サウンドエンジニアがアーティストに向ける’’情熱’’や’’ 愛 “だったりしますので。
そして自分の仕事への真剣度合いでもあります。
≪ K.M.D Sound Design Inc.(Youtubeチャンネル) ≫