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手軽さと実用性を両立したダイナミックEQ Three-Body Technology「UNMASK」レビュー

2026.06.30

今回はThree-Body TechnologyからリリースされたダイナミックEQプラグイン「UNMASK」のご紹介になります。
Three-Body Technologyと言えば人気のあるEQプラグイン「Kirchhoff-EQ」などをリリースするメーカーです。
「UNMASK」のコンセプトは”マスキングの解消”。
ダイナミックEQやマスキングの解消系のプラグインは、それこそ「Pro-Q」や「Neutron」シリーズなどなど、少し前に話題になりましたよね。
「似た様なのを触ったことがあるなー」という感じである程度の雰囲気を予想してたのですが・・
実際触ってみると驚きで、後発な事もあってかとても強力なプラグインでした。

さっそくプラグインの概要から見ていきましょう。


UNMASKってどんなプラグイン?

早速このプラグインのユニークなポイントですが、
UNMASKは入力信号を常に分析し、リアルタイムに補正を加える”音響心理学ベース”のダイナミックEQになります。
この音響心理学ベースという所がポイントで、人間の耳はバランスの取れたディテール豊かな音を自然と好むそうです。
ダイナミックEQとしての基本的な機能にプラスして、入力されたオーディオの周波数を分析し、音響心理学的に優れたサウンドへとリアルタイムで調整をしてくれる、というのが大まかな内容になります。

UI画面

UNMASKは下記の3つのモジュールを持っています。

  • SPEC:スペクトルの微細なディテールを補正することに特化した機能
  • TILT:周波数応答の全体的な傾向を調整、全体的な音色バランスを継続的に調整
  • TIME:トランジェントの後にマスクされてしまった音を検出し、強調して再び聴こえるようにする

SPECは細かな帯域をスポットで突く事に適しているのに対し、
TILTでは全体的な音色傾向などを調整する形です。
TIMEはコンプレッサーなどとは違い、トランジェントの後の音を”強調する”点に注目です。
コンプレッサーで処理をするのとはまた違った聞こえ方で、もう少しナチュラルな質感になります。ドラムに使うとスネアの余韻やルームの響きが自然に前に出てきますし、ギターならピッキング後のボディ感が増す感じがします。

また、それぞれのモジュールにSmoothやDepthなどオプショナルなコントロールがついています。
Smoothは処理を行う粒度を設定する物で、値を小さくすればより精密な細かい処理を行えますが、過剰になると加工されたような質感が出て自然なサウンド感が損なわれてしまうようです。
Depthはそのままエフェクトの深度を調整します。

この複雑な各モジュールが、どのように働いているのかを確認する事が出来るのが、
各モジュールのソロボタンや、スペクトル表示のUIになります。
SPECとTILTについては、Positive Delta Monitor(ブーストしている成分だけソロ)とNegative Delta Monitor(カットしている成分だけソロ)の2種類のソロモードが用意されていますので、実際に意図した部分が処理されているかを直接確認できるのがいいですね。

また各モジュールのツマミはマウスホバーする事で現在のスペクトルを表すUIが表示されます。
下記画像はTILTセクションツマミをホバーした状態ですが、スペクトルの表示に加えて全体の音色傾向を調整するSlopeの値を反映した線が表示されています。

3つのモジュールの下にはグローバルな設定を行うMasterセクション、その下にはサイドチェイン動作を行う際の各種コントロールが表示されています。

UNMASKは外部信号から動作させる事もできます。
デフォルトの”internal”ではインサートされたトラックの信号で動作しますが、
“Ext.”は外部信号をソースとしてインサートされているトラックへ効果を適用します。
特徴的なのは”Glue”モードで、外部信号と現在のトラックの間のマスキング関係を分析して、2つの音が自然にブレンドするよう調整するモードとなっています。
ドラムとベースを混ぜたり、ボーカルとオケを混ぜたり、コンプレッサーよりもフワッと馴染むような感じがあって、面白い機能です。

右側の大きな領域がダイナミックEQの各バンド調整部分になります。
プラグインの効果が及ぶ周波数の範囲は調整可能。

EQはMASTER・SPEC・TILT・TIME それぞれに対応した設定が出来ますが、MASTERの調整だけでも十分な効果があります。
レベルはdBではなく%表示になっており、全5バンド、Qの調整はなし。
このあたりは細かい部分がモジュール側で調整される為、必要がないという事でしょうね。
ダブルクリックで各バンドをON/OFF切り替え出来、右クリックでフィルター・カーブを変更できます。

またバンドをクリックしている間はその帯域がソロになります。(設定で無効に変更可能)


プリセットについて

UNMASKにはファクトリープリセットもしっかり用意してあります。
ギターやベース、スネアなど楽器単体のものから、バストラック用のプリセットもありますので、作業の取っ掛かりとしてプリセットから始めていくのは手軽でオススメです。


実際に使ってみる

マニュアルのQuick Start Tipに記載の通り、Depthはまず30%あたりから上げていきます!
まず感じた事は効果の強度がかなり幅広く設定可能な点ですね。
これはトラック単体やバストラックなどシーンによって必要な強度が異なるため、調整幅が広くなっているのかと思いました。
今回は分かりやすいようにちょっと多めにエフェクトを適用させているのですが、
Depthを上げていくとかなり音が変わっていきます。
ドラムバスにかければ音の分離感が際立ち、抜けが良くなってこれは便利ですね。
試しにマスタートラックにかけてみると、大きく音が変わり全体のバランスが整います。
デモ段階で音をサッと整えたいシーンでも有効そうですね!


まとめ

僕は適用するだけでいい感じになるプラグインを”魔法系”と呼んでいるのですが、
多くの魔法系プラグインは内部がブラックボックス化された状態で「よく分からないけどいい感じになる」という面が強いのに対し、
UNMASKは心理音響学ベースという事もあり、「よく分からないけどいい感じになる」という側面も少し含まれるものの、
・あくまでダイナミックEQとしての機能に収まっている点
・調整可能な部分が広い点
・何が起こっているかが分かりやすい設計になっている点
が好感触でした。
(逆にノブが3つくらいしかなくて、耳で聴きながらエフェクトをいい感じに調整するプラグインもありますよね。)

ケースバイケースなのでどちらかに優劣があるという事ではありませんが、微調整が効くプラグインは追い込んでいける性質が高くなりますし、
心理音響学の力を使い”人間にとっての良い音”を作っていきながらも、ユーザーの判断で自由に設計をしていける、堅実で良いプラグインでした。

・高機能なマスキング回避ツールを探している方
・ダイナミックEQを持っているがあまり使いこなせていない方
・全体の周波数バランスをサッと整えるツールが欲しい方

などの方にお勧めです!

Rock oN ソフトウェア研
ソフトウェア愛に溢れたRock oNスタッフ達
記事内に掲載されている価格は 2026年6月30日 時点での価格となります
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