DTMやDAWを使うシンガーソングライターの方、デモ仮歌を自分で録音したい方、ナレーションを録音したい方など、女性ボーカリストやナレーターさんがマイクを選ぶ時、何を基準に選べば良いのでしょうか? マイクの種類や相性の良いジャンル、音の違いなどを踏まえて、初心者が自分に合ったマイクを選ぶ方法と、Rock oNスタッフが選んだお勧めマイク4本をご紹介します。
記事の後半には、作編曲家の田辺恵二さんと Rock oNスタッフの SCFED伊部が、初心者女性ボーカリストにお勧めのダイナミックマイク2本、コンデンサーマイク2本、計4モデルを比較試聴た動画を掲載しています。DTMを始めた方やDAWレコーディングにお勧めの内容ですので、ぜひ動画と合わせてお楽しみください。
マイクの動作原理は色々とありますが、大きく2つに分ける事ができます。
ダイナミック型マイク |
メリット:主にマイクから近距離の音を録音するので、自分の歌以外の余分な音が入りにくい。音圧感のある力強い音。故障の心配が少なく手軽に扱える。価格が比較的安い。 |
デメリット:感度が低いので繊細な音の録音が苦手。低音が少なかったり、逆に高音が少しこもってしまう。マイクのボリュームを上げた時に、「サー」や「シー」といったマイク本体のノイズが目立ってしまう。 |
コンデンサー型マイク |
メリット:感度が高いので繊細な声から大きな声まで正確に録音できる。ダイナミック型に比べ、特に高音が綺麗に録音できる。 |
デメリット:感度が高いので空調や機器のファン音、声が部屋に響いている音なども拾ってしまう。衝撃や強い風圧、湿気に弱い。価格が比較的高い。ファンタム電源という、ミキサーやオーディオインターフェースからの電源供給が必要。 |
「これ1本あれば何にでも使える完璧なマイク」があれば良いのですが、実際はプロの方でも用途別にマイクを使い分けている事がほとんどです。上記の基礎知識をふまえて、初心者の方へ向けたマイクの選び方をご紹介します。
自分に合ったマイクの選び方
その1:ジャンル別に選ぶ
その2:マイクによる音の違い
その3:Rock oN スタッフのオススメ4選
ところで、マイクをパソコンにどうやって接続したら良いの?という疑問をここでお持ちの方は、こちらの記事を参考にして下さい。
歌声をパソコンに録音する時に必要な、初心者向けオーディオインターフェースとは?
マイクの種類によって得意・不得意なジャンルがあります。たとえばこちらのジャンルでは
ロック
ラップ、ヒップホップ
ボイスパーカッション
デスボイス
→ ダイナミック型マイク
基本的に大きな声でパワフルに歌い上げる系にはダイナミック型がお勧めです。バンドなど、楽器の音が大きい中でボーカルが負けない、芯のある太い音が録音出来ます。マイクは集音部分に口を近づけるほど低音が強くなって行きますので、なるべくマイクに口を近づけて歌う事がポイントです。ボイスパーカッションなどはその特性を上手く利用しています。
そのほか、こちらのジャンルでは
バラード
ジャズボーカル
オペラなどの声楽
シンプルな編成や伴奏の音が小さい音楽
→ コンデンサー型マイク
繊細な声から頭に突き抜ける発声まで、声の抑揚と表情を正確に捉えたい場合はコンデンサー型です。音の感度が高く、歌に奥行き感や立体感を感じる事が出来ます。コンデンサー型は基本的にオールジャンルで使えるのでプロの現場ではほぼ間違いなくコンデンサー型が使用されています。歌ボリュームのレンジが広いので、歌を伴奏に馴染ませるためのコンプレッサー処理など、ミキシングのノウハウが必要になる場合もあります。
現在はマイクの性能が上がり、ダイナミック型がコンデンサー型の性能に匹敵するマイクもあります。最初は気になるマイクをどんどん試してみるのが良いでしょう。
「高いマイクほど高性能」ではありますが、「高いマイクほど自分に合っている」とは限りません。
実際に自分の声でマイクを試して、自分の声の印象や感度を確かめる事が大切です。店頭マイク試聴で「ついにMYマイクに出逢った!」と喜ばれるお客様や「マイクは値段じゃないね、これは安いけど音が超好み!」というお客様もいらっしゃいます。
高いマイクの特徴を具体的に表現すると、
・マイクに近い声と遠い声の違いが分かる
・小さい声から大きい声まで、対応できる余裕が大きい
・低い声から高い声まで綺麗に聞こえる
・音のぼやけ、濁りがなく、言葉がはっきり聞き取れる
・実際に歌った声と録音した音が限りなく近い
・「サー」や「シー」といったノイズが鳴らない。これはボリュームを大きくした時に分かります。
マイクは人間に例えると耳の「鼓膜」に相当します。鼓膜の感度と聴こえる周波数の広さがマイクの価格に反映されますので「高い製品ほど高性能」といえますが、用途や声との相性、予算とも相談して自分に最適なマイクを見つけてください。
用途、音質、価格、3つのバランスを考えた、初心者女性ボーカリストにお勧めマイクをご紹介します。
これまでのダイナミック型のイメージを払拭するクリアーな音質でライブで使用するアーティストが多い、ダイナミックマイクのネクストスタンダードモデル。予算で選ぶならe935です。
ダイナミックマイクでありながらコンデンサーマイク並のパフォーマンスを持つ非常に優秀なマイク。ライブでもレコーディングでも使えるので、マイマイクとして所選ばず使えます。
ボーカルから楽器まで、コンデンサーマイク最初の1本にお勧め。クリアーで空気感あるサウンドを捉え、デザイン性もGOODです。
Amy Winehouse使用モデルの後継機。ボーカルの存在感を押し出してくれ、オケの中にボーカルが埋もれてしまう事はありません。実力派にはこちらがお勧めです。
作曲からミックスまで、田辺さんのノウハウを垣間見ながら、その中で制作風景や気になるクリエーターを紹介したり、最新の機材をいじっちゃうというこの企画。第82回目は田辺さんと Rock oNスタッフの SCFED伊部が、初心者女性ボーカリストにお勧めの上記4モデルを比較試聴しました。ぜひマイク選びのご参考にして下さい。
HEAR THE REAL TONE 2018 Mic 編
このほか、男性ボーカル、女性ボーカル各17本ずつ、合計34本分のマイク試聴比較した企画 「HEAR THE REAL TONE 2018 Mic 編」 もマイク選びの参考にご活用下さい。
コンデンサーマイクの特徴として挙げた 「感度が高いので空調や機器のファン音、声が部屋に響いている音なども拾ってしまう」 というデメリットを改善する便利グッズがありますのでご紹介します。
このリフレクションフィルターでマイクを囲むことによって、声が部屋に響く音や空調ノイズなどを低減する事ができます。外側から来る雑音のガードだけでなく、自分の声がこのリフレクションフィルターで吸音され、部屋に響きにくくするという効果もあります。
コンデンサーマイクは感度が高いため、強い風を受けると耐えきれなくなり 「ボボボっ」 といったノイズを発生します。これを防ぐためにレコーディング風景でよく目にするアイテムがこれです。また、ボーカリストのツバや湿気はマイクに大きなダメージを与えますので、それらを防ぐという意味でもお勧めです。