パラダイス

音響良技録店 第5回:マイクロフォン_F特_指向性

2025.06.16

これまでRock oNのPARADISEへ4回投稿をしてまいりました。このPARADISEは、著者が独自のセレクトで商品・情報を綴り、それぞれが1つのお店のように個性をもった場所になっているのです。

ふと、他の方々のお店ははどんな感じかと覗いてみますと、いや〜、みんな面白いですね!

このコンテンツを考えたRock oNさん達はとても頭が柔らかいです。

これから、このような音楽業界に入りたい若者から中堅の方々まで楽しめると思います!

僕がなんで、音響良技録店って名前にしたかといいますと、音のプロフェッショナルという意味を中華飯店的感じにしたくて、中国語が達者な人と決めました。
中国にはツアーで行きますが、音響会社の技量が様々で「基本がなってない」という場面に遭遇することもありました。そういった中で試しに中国のSNSを始めたら、今では10人以上の生徒に音響技術を日本の大学で教えています。

いつの日か、中国で一緒に仕事が出来たら嬉しいと思っています!

さて、それでは知っておきたいマイクロフォンのデータについて今回は見ていきましょう。


マイクロフォンのチョイス 〜データの見方〜

そもそもマイク選びって楽器にマイク立てて、音を出してみて良ければそれで良いのです。
実際にコンサート現場で数回使ってみて、これは良いマイクだ!!好きだ!!で良いです。
ただ、プロフェッショナルになると” 裏付け”ってあった方が良いです。

1.まずデータを見てなんとなく音の感じが読める
2.そのマイクの歴史や背景が分かると、アーティストと話が盛り上がる
3.マイクの面(写真や実物)を見て音が想像出来る。

それでは、実際にいろんな角度からマイクを分析してみましょう!!
まずは、F特(周波数特性の略、frequency特性)。

最近は、若者(学生)が言葉を短くしていますね。例えばシゴデキ(しごとできるひと)。それと同じように短くして” F特 “です。ちなみに、41年も前から” F特 “で通用していますから。

このF特は、SM58周波数特性です。

人間の可聴周波数帯域(人間が聴く事が出来る周波数の範囲は20Hzから20kHz)を反射の無い無響室で、SM58の正面に20Hzから20kHzの均一エネルギーのノイズを投射してマイク本体のXLR OutのF特を測定します。

SM58のF特は2kHzから5kHzまで上がるようになっています。

これは、人間の声の艶や明瞭度を上げる為です。6.3kHzあたりで規定レベルになりますが6.3kHzから8kHzは声の子音がきつくなるので、あえて下げているのでしょう。

10kHzはかなり倍音の領域です。ただこの帯域は、Air感とも表現が出来る周波数域でして、、、、、、

学生への授業で、この “ Air感 “ はなかなか伝わりません、昭和の表現でしょうか!?

そこで、最近では “ 萌え感 “とも教えています。(小松流です!!)

何故、Shure SM58がこのようなF特であるのか!?

1966年のミキシング・コンソールには、イコライザー(音色調整をするツマミ)が高域、低域くらいしか無かったので、ならべくマイクロフォンで声に合った特性を作っていたのだと思います。

Shure SM58の凄いのは、この周波数特性を電気的に(アクティブ)回路を作ったのではなくマイクダイヤフラムに音が入るまでの構造のみ(パッシブ)で成し遂げた事だと思います。

こちらの図を解説します。

SM58のポーラパターンを表します。ポーラパターン=指向性です。

SM58は単一指向性(カーディオイド)ですから、マイク正面0°の音をピックアップします。

この手の情報は、インターネットで検索をすればさらに詳細な解説を見つけることもできます。

ここで一つアドバイス。プロを目指すような学生の方などでも、家に帰ってからはプライベートの趣味関連でしかネットを使っていないのでは?と感じることがあります。

将来、プロのサウンドエンジニアを目指すならば、夜寝る前に10分でも毎日何かしら調べて欲しいと思っています。

僕は調べ始めると数時間もPCの前で、いろんな方の意見を読んで参考にしています。

日本のサイトだけでは無く、海外サイトの情報も検索しています。

これらの、特性表は見るだけではなく実際にマイクを手にとってコンソールに接続してヘッドフォンで自分の声を入れて聴いてみる事です。

マイクの正面は、全帯域クリアに聞こえますが、マイクの横90°から声を入れますと音色の変化が分かるでしょう。

また、マイクの背面から声を入れますとほとんど音量は無くなります。125Hzは多少は聴こえます。

では何故に!? 指向性が作れるのか!

そこはみんな!! ググってみましょう!!分からない事は調べる習慣を作る事が大切ですよ!!

日本の中心地、若者の街である渋谷にロックオンカンパニーの店舗があります。

足を運んで実際にマイクロフォンの特性表を見ながら音を聴いてみましょう!!

その際には、小松のパラダイスを読んだので来店しました。と伝えてください。

スタッフが温かく対応してくれますので、、、


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小松久明(音響良技録店)
サウンドエンジニア/サウンドデザイナー。2021年 (株)K.M.D Sound Designを設立。毎年100本以上のコンサートミキシング、企業講演、授業等を通じてサウンドエンジニアの技術を教えている。
記事内に掲載されている価格は 2025年6月16日 時点での価格となります
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