先進的かつユニークなクリエイティブツールを提供するKARANYI SOUNDS製品が登場しました。
初めて聞いたメーカーだなと思い調べてみますと、ハンガリー・ブタペストを拠点とした新興ブランドで、音楽プロデューサーのDANI KARANYI氏によって創設されたメーカーとの事。
音楽制作をシンプルかつ刺激的なものにする事や、プロレベルのサウンドデザインを誰もが利用できるようにすることを目標にしており、
その為にAIテクノロジーとシンプルな操作性を組み合わせた設計になっているとの事。
下記にメーカーストーリーのページがありましたのでご参照いただけます。
https://karanyisounds.com/audio-tools-to-inspire-our-story/
またメーカーDiscordサーバーが存在し、音楽制作、サウンドデザイン、クリエイティブなテクニックなどについて定期的に議論が行われているそうです。またメーカーHPのBlogにはミックスTipsなどの投稿がされており、熱量が高さが感じられますね。
今回はそんなKARANYI SOUNDS製品を、前半はエフェクト系プラグイン、後半は音源プラグインという形で12製品一挙レビューします!
KARANYI SOUNDSの全貌に迫って参りましょう!
至福のサウンドの世界へと誘う鮮やかなアンビエント・リバーブ・プラグイン
まず最初の製品はPOLY SPACEです。
アンビエント・リバーブ・プラグインとの事で、
ディケイたっぷりの広がりのある空間表現が特徴のようです。
プリセットから『Echo Complex』などを選んでONにすると、モダンなアンビエントサウンドを聴かせてくれます。
プリセットの中には『Drum Room』や『Guitar Plate』など、FX的な表現とは異なるプリセットが含まれているのもポイント高いですね。
またKARANYI SOUNDS製品の多くにはパラメーター設定をランダムに変更するランダマイズ機能がついており、思いがけず素敵なサウンドに出会う事があります。
手軽なヴィンテージ・サチュレーション・エフェクト
ヴィンテージサンプラーやテープマシンからインスパイアされたサチュレーションエフェクトで、
たった1つのノブを調整するだけで、アナログの暖かさやザラザラとした質感のテクスチャを、簡単に加えることができます。
プリセット名に効果的な効果が得られる楽器名が記載してあるため、使いやすいですね。
こういったプラグインはサチュレーションの質感に違和感のあるデジタルさを感じる事があるのですが、これは自然なサウンドで、粗めな感じがすごく魅力的です!
シンプルながらクォリティが高く驚きました。
心を揺さぶる、至高のアナログ・モジュレーション
クラシックなハードウェアからインスパイアされた、温かみのあるフェイジングやコーラス効果をサウンドに加えるモジュレーション・エフェクト。
こちらもサチュレーション・プラグインのTECHNOCOLORなどのように、プリセット名に楽器名の記載があります。
ナチュラルなコンプレッサーがかかったような質感を感じますので、ミックスの馴染みも良さそうですね。
AIを搭載した近未来的なボーカルリファイナー
ボーカルのスタイルとテンポをAIが解析し、最適なリバーブ、EQ、コンプレッション等を自動で調整するプラグインとの事。すごいですね。
使い方はとっても簡単で、ボーカルトラックにプラグインを追加してキャプチャーするだけ。
こういったAI系ボーカルプロセッサーはデジタルっぽいクリアな処理を売りにしている製品が多いですが、こちらはチューブプリアンプやテープマシンなどのクラシックハードウェアをベースにしたサチュレーションノブの搭載もあり、この切り口は新しいです!
またラップ、コーラス、男性/女性リードボーカルなど様々なスタイルを想定したプリセットが用意されているので、ここから選んで微調整するだけでも良いサウンドになります。
雄大な自然を彷彿とさせるリッチなディレイ・エフェクト・プラグイン
ディレイ以外にもサチュレーションやフィルターなどのエフェクトも多く入っているので、ディレイ系プラグインではありつつもキャラクターの異なるユニークなプリセットを多く備えています。
KARANYI SOUNDSのFXプラグインの中では操作できる部分が多めで、ランダムボタンで設定を変えてからも微調整できるポイントが多いので、追い込んだサウンドデザインがしやすくなっていますね。
プリセットブラウザ画面は”Collection”、”STYLE”、”PRESET”と階層が分かれており、ユーザープリセット保存の際などにも振り分けしやすい所もポイントです。
幻想的な世界観を生み出すグラニュラー・マルチエフェクター
4つのグラニュラーエンジンを搭載したマルチエフェクターで、こちらもMATRAと同じく豊富なプリセットが用意されています。
通常のリバーブプリセットも良いサウンドですが、
“Soundscapes”や”Experimental”スタイルのプリセットのような独創的なFX処理がユニークです。
エピックシネマ系のサウンドにも相性が良さそうで、MATRAやPOLY SPACE等と合わせて使い分けることで荘厳なサウンドも形成できそうです!
AIを搭載したモダンなローファイ・シンセサイザー
11種類のキーボードサウンド、30種類以上のシンセパッチを搭載。
FXはニューラルネットワークでモデリングされたエフェクトを搭載し、
搭載エフェクトの一つであるNeural SpaceはAIが演奏のダイナミクスに合わせて、奥行きや反響の量を調整します。
エフェクトの”Neural Amp”も優秀で、TAPE、DRIVE、TWINの3モデルから、サウンドに温かみを付与したり汚したりできます。
クリエイティブなバーチャル・アナログ・シンセサイザー
6ボイスのシンプルなポリシンセサイザーです。
おそらく操作感と想像性を優先してUIもあえてシンプルにまとめているようですね。
面白いのがランダマイズ機能で、
コントロール部のそれぞれの色毎に、適用するランダマイズを選ぶことができます。
ポチポチ押しているだけで意外なサウンドに出会えたり、「惜しいけどなんか違う」音に対してバリエーションをどんどん提案してくれるので有り難いですね!
90年代と現代のサウンドの融合、デュアルレイヤーのFMシンセサイザー
“VAPOR”ってやっぱりVapor Waveからきているんでしょうか・・・
所謂Vapor WaveやDream Soulの雰囲気を感じるノスタルジックなサウンドを多数収録しています。
KARANYI SOUNDSらしいアナログ感のある豊かなリバーブやディレイなどのエフェクトを搭載しており、サウンド感は比較的細かく調整が可能。
また本製品には”SMART RANDOM CONTROLS”というランダマイザー機能が4種類あり、サウンドやエフェクトなどにフォーカスしてランダムな数値に変更が可能です。
ビンテージのアナログ・モデュラーシンセサイザーのリッチなサウンドを再現
各オシレーターやFXなど調整できる箇所は多く、少なくとも一般的なアナログシンセサイザープラグインと同程度くらいには操作できます。
ランダマイザーを使うとプリセットの音とは大分違うサウンドになるので、プリセットでかなり大まかにアタリをつけてランダマイザーを使ってアイデアが降ってきたら使う、みたいな形も良さそうです。
使っていて楽しいプラグインで、気づいたら時間が結構経っていてびっくりしました。
※試奏音源もランダマイザーを使っているので、実際のプリセットそのままの音色とは異なります。
アナログシンセサイザーと弦楽器をミックスしたハイブリッドなシンセサイザー
弦楽器をミックスしたという面白いコンセプトのシンセサイザーです。
使ってみるとそこまで突飛な印象はなく、弦楽器っぽいニュアンスのあるアナログシンセサイザー、くらいの程度感です。
シネマ系のサウンドにも親和性が高そうですね。
POLYSCAPE ANALOGUEと同じく調整できるポイントは多いですが、こちらは珍しくランダム機能がないようです。
グラニュラーなテクスチャー、オーバードライブの効いたサウンドが特徴のシンセサイザー
「Fallout」、「Boards of Canada」、「Borderlands」など、象徴的なゲーム音楽やアンビエントにインスパイアを受けた製品とのこと。
ドローン系サウンドがかなり豊富です!
出せる音色は豊富ですが、歪みの効いた荒さの感じるサウンドが特徴で、音価の長いフレーズが特に得意なように感じました。
さてKARANYI SOUNDS製品を一気にご紹介いたしました!
プラグインの設計やサウンドもユニークですし、各プラグインしっかりと独自のカラーを持っているところが面白いですね。実用性もしっかりと感じる所も実に魅力的でした。
個人的には、エフェクト製品ではサチュレーションプラグインのTECHNOCOLORはサウンドに簡単にあの質感を付与できるので特に気に入りました。
音源はどれも魅力的なサウンドで選ぶのが難しいですが・・MIDNITEとVAPOR KEYSは好きな人にはかなり刺さりそうなので推しです。
色とりどりな特徴を持った製品群が印象的なKARANYI SOUNDS製品ですが、
類似製品はかなり少なそうなので気に入ったサウンドがあれば是非お試し頂くのをお勧めします!