Leapwing Audioの「RootOne」は、サブハーモニクスを生成・整形するために設計されたプラグインです。オリジナルサウンドの位相とマッチしたクリーンなローエンドを生成し、自然なサウンドで拡張されたサブレンジを提供することを目指して作られています。
クロスオーバー周波数を設定できる3つの低域バンドを搭載しており、振幅と位相の分析をもとに各バンドが1オクターブ上の周波数を追従し、選択されたバンド内でクリーンなサブハーモニクスを生成します。また、中低域を中心とした「HARMONICS」バンドではサチュレーションを付加する機能も備えています。
ダンスミュージック、ヒップホップ、R&Bなどに留まらず、近年の音楽ではローエンドの重要度がますます高くなっています。
どんな事が出来るのか、どこまで出来るのかを一緒に見ていきましょう!

まずはプラグインの画面を見てみましょう。
画面は大きく3つのエリアに分かれています。
・左側の「SUBHARMONICS(サブハーモニクス)」セクション
・その隣の「HARMONICS(ハーモニクス)」セクション
・右側の「ORIGINAL」と「OUTPUT」フェーダー
フェーダーと赤いRMSメーターが並ぶ見た目は、どこかアナログのサミングミキサーを思わせる直感的なレイアウトですね。
SUBHARMONICSセクション
ここがこのプラグインのメインエンジンです。「SUB」「THUMP」「PUNCH」という3つの低域バンドがあり、各バンドで指定された周波数帯に対し、1オクターブ下の周波数にサブハーモニクスを⽣成します。各バンドのゲインをフェーダーで調整し、ピークレベルが信号に応じて⽔平⽅向のバーで表⺬されます。
また本プラグインの特徴的なポイントとして、各バンドのクロスオーバー周波数を自由に設定する事ができます。

各バンドには以下のパラメーターが用意されています。
・DRIVE(ドライブ)
各バンドからSATURATIONセクションへ送るセンド量を調整します。
・DYNAMICS(ダイナミクス)
生成されるサブのダイナミックレンジをコントロールします。
100%でオリジナルのエンベロープをトラッキング、0に近づけると常にブーストした状態で信号を生成します。
基本的にはキックのように音量が変化する素材か、シンセベースのようにスタティックな素材かで、ここの値を変える形になると思います。
・ATTACK / DECAY(アタック/ディケイ)
ATTACKは、キックドラムなどで起こりやすい本来のサウンドより先にサブがブーミーに膨らんでしまうフラミングという現象を抑制するためのコントロールです。
DECAYはサブの余韻の長さを調整します。
短くすればタイトに、長くすれば豊かなサブのテールが得られます。
HARMONICSセクション
HARMONICSセクションは、SUBHARMONICSセクションで生成されたサブハーモニクスに対して倍音を付加するセクションです。(SUBHARMONICSセクションから信号が送られていない場合でも、DRIVEの設定が⾏われている場合には元の⼊⼒信号に基づいて倍⾳を⽣成します。)
スモールスピーカーやイヤホンでもサブの存在感を感じさせる効果があります。
以下のパラメーターが用意されています。
・DRIVE (ドライブ)
セクション内で⽣成されるサチュレーションの量を調整します。
・COLOR(カラー)
0に近いほどテープライクな偶数次倍音主体の歪み、100に近いほど真空管ライクな奇数次倍音主体の歪みになります。素材やジャンルによってキャラクターを使い分けられるのが便利ですね。
・LOW PASS(ローパス)
サチュレーションにローパスフィルターをかけることで、中域への倍音の滲み出しをコントロールできます。サブ周辺にだけ倍音を乗せたい場合はこの値を低めに設定するといいでしょう。
今回は以下のトラックでRootOneを使ってみます。
・適用なし
・キックに適用
・キックとベースに適用
の3種類の結果を用意しました。
キックドラムのトラックに差してみたところ、
ATTACKとDECAYを調整することで「ドスン」というサブの形を自在にデザインすることができます。
また位相の差かと思われるのですが、従来のサブハーモニクス系プラグインに比べてミックスへの馴染みが良いように感じます。
今回サブベース帯域は主に808ベースが務めるため、キックドラムについては”THUMP”および”PUNCH”の値を主にコントロール。
曲によってベースと棲み分ける周波数は異なるものなので、クロスオーバー設定を変更できる事が活きてます!単純ですが、すごく便利ですね。
他、”DRIVE”や”DYNAMICS”を調整し質感を整えました。

次は808ベースに使った結果ですが、ここでもATTACKとDECAYの調整は活躍します。調整する事で音の膨らみがどこに来るかをデザインする事ができます。
HARMONICSセクションは808ベースではよくある携帯端末などスモールスピーカーでは音が聴こえない問題を、倍音を付加することで補完する事ができます。別途サチュレーションを使用するよりもナチュラルで、少し結果が違って聞こえます。(生成したサブハーモニクスに対して適用している関係かと思われます。)
COLORパラメーターによるキャラクター変化も幅が広く、ウォームな質感からアグレッシブな歪み感まで連続的に調整できます。
また、各バンドのSOLOボタンが非常に役立ちます!「どの帯域に何が生成されているのか」を耳で確認しながら調整できるため、ピンポイントで設定を詰めることができます。

サブハーモニクス生成プラグインとしてよく知られているのは、WavesのRbassやSubmarine等のプラグインです。
これらは特定の周波数を指定してその1~2オクターブ下を生成するシンプルな構造が多いのに対し、RootOneは3バンドのクロスオーバーを持ち、各バンドで独立したダイナミクス処理や、ATTACK、DECAYなどの調整ができる点が大きく異なります。またSATURATIONセクションとの組み合わせで、単純なサブ生成にとどまらない幅広いローエンドデザインが可能です。
シンプルなニーズには他の製品でも十分かもしれませんが、「ローエンドのデザイン性」「楽曲全体の兼ね合いも含めミックス的に低域を調整する」点ではRootOneに軍配が上がると感じます。
RootOneは単なるサブハーモニックジェネレーターというよりも、「ローエンドをデザインする」意向が強い製品だと感じました。
SUBHARMONICSセクションのダイナミクスとアタック/ディケイコントロールは、これまでのサブハーモニクス系プラグインにはなかった細かな表現力をもたらしてくれます。
またシンプルですがフリーケンシーシフトが可能な点が大きなメリットの一つになっていると感じます。
またHARMONICSセクションの倍音付加が加わることで、スモールスピーカーでもサブの存在感を伝えられるという現代的な問題解決も組み込まれています。
ダンスミュージック、ヒップホップ、R&Bなど低音域の重要度が高いジャンルはもちろん、映像音楽やポストプロダクションなどでサブを丁寧に扱いたい方にも強くおすすめできます。
そんな方にとって、RootOneは間違いなく強力な武器になるはずです。私もこれはスタメン入りです。ぜひ一度試してみてください!