「電波が悪いまま、人混みの歩道で続く携帯電話の会話」「拡声器の声が鳴り響き、頭上にはヘリコプター」「レコーディングスタジオで唸る1952年製ギターアンプ」… Speakerphone 3は、サウンドが様々な場で鳴っているようにシミュレートするプラグインです。インパルス・レスポンス処理による実在のスピーカー音声だけでなく、それらが使われている環境や状況というレベルまで再現します。
様々なトランシーバー、遠くから聞こえるラジオ、階上のテレビ、拡声器、スマートフォン、ギターキャビネット…必要なものが揃っています。例えば電話での会話においては、環境音を豊富なライブラリから選択したうえ、発信側と受信側それぞれに適切な設定が可能です。
インパルス・レスポンス(IR)処理による、400種類のスピーカー/23本のマイク/53の屋内外空間/毛布から車のトランクに至る106の"カバー"。5GBの環境音や効果音が付属。その他にもレスリースピーカー効果やGSM圧縮音声など、12のDSPモジュールを装備。これらを組み合わせたプリセットが、500以上も用意されています。
Intel CPUに加えて、Appleシリコン搭載環境のMacをネイティブ・サポート。
新しいUI
ユーザー・インターフェースを刷新。パラメータの視認性が変わらないまま、サイズを選択して画面の縮小/拡大が可能となりました。
シームレスでノイズなし
SPEAKER、MIC、COVER、ROOMなどのパラメータを切り替えても音声は途切れず、ノイズも生じません。オートメーション制御時も同様です。
屋外と車内空間の新IR
オフィス街路、野外競技場、広場、テスラやキャンピングカー車内、様々なチューブ類など。ROOMのコンボリューション・リバーブとして追加されています。
入力レベル新メーター
自動レベル設定は前バージョンまで。入力信号と音声生成モジュールのバランスが適切かは、新しい入力レベル・メーターにおける緑色の範囲内で確認できます。
スピーカー類の新IR
新たにスピーカーのIRを多数追加。ポケットサイズのシンセ、トイ・カメラから大型PAスピーカー、スマートフォン、コンピュータ、Bluetoothスピーカーなど。
オーサライズ情報
従来のiLok USBキーに加えて、コンピュータ本体にライセンス情報を記録可能。iLokアカウントのみで使用できます。
VST3フォーマット
Live、Cubase、Nuendoなど、プラグイン互換がVST3フォーマットのDAWでも使用できます。
・上位互換:Speakerphone 3がインストールされた環境では、バージョン1・2で作成されたDAWプロジェクトが問題なく開き、バージョン3が動作します。パラメータ設定だけでなく、オートメーション情報も受け継がれており、サウンドも同様です。
・付属する効果音ライブラリは、すべて著作権フリーです。2次、3次利用を問いません。ただし楽曲素材を、そのまま楽曲として販売することは禁じられています。
・不具合修正やサポートに対して、毎年の料金は発生しません。
・ライセンスの売却やユーザー間の移行は認められています。
ブラウザ画面で数百のプリセットから選択するだけでなく、多くのモジュールを組み合わせたうえ、各パラメータを調整して求めるサウンドを作り出せます。
SPEAKER
スピーカーをシミュレートする機能の中心部は、インパルス・レスポンス(IR)と称される、様々な実機の音響特性を収録したライブラリです。電話やラジオなど、各カテゴリーのアイコンをクリックすると、ブラウザ画面が起動します。特定のスピーカーを選択してください。
各IRには、固有の周波数特性や時間的特性が記録されています。あるスピーカーのIRを選ぶと、対応する画像が表示。画像中の“More Info”をクリックすると、詳細な関連情報も確認できます。
SAMPLE BAY
スピーカーが存在する場や状況を、マウスやMIDI操作で演出できます。5GBに及ぶ効果音や音楽のライブラリが付属のうえ、自由に使用可能。音声サンプルは5つのテーブルに分かれ、各々に12まで音声を収録。クリックやMIDIノート情報で再生されます。
車のドア開閉から、環境音、BGMまで多岐にわたり、プリセットにおいても随所で使われています。効果音サンプルは、Pro Toolsのトラックにドラッグすることも、DAWのトラックからSpeakerphoneへの読み込みも簡単です。
DRY / WET
エフェクト適用後と適用前の音声バランスを徐々に変化させます。WetからDryに移動させると、IRを含むフィルタを徐々に開放し、各モジュールによるエフェクト量を、独自の方法で減少させます。これらの変化が一体となり、非常に自然で違和感のない、ドライ信号への移行が実現します。
例えば、店内奥のジュークボックスから流れる音楽を、徐々に効果の掛かってない音声へと変化させるには、スライダーをマウスでドラッグします。またはDRYボタンをクリックすると、自動でスライダーが移動。その変更速度は、スライダーの右にあるノブで調整できます。
DISTORTION
スピーカーやアンプの歪みをエミュレート。まず音声信号はPre EQ(パラメトリックEQとレゾナンス搭載のローパス・フィルタ)を通過します。その後のPRE GAINでは入力信号が増幅されて、次のTYPE(ディストーションのタイプ)で歪み、さらに下部のCURVEで調整されます。POST-GAINは、このモジュールの出力レベル設定です。PRE-POST間の丸印をクリックすると、両パラメータを反比例させて調整可能。
ROOM
室内、屋外、ホール、ハードウェアなどのコンボリューション・リバーブが、同社のAltiverbより移植されています。駅構内のホールからミグ戦闘機のコクピットまで、実際の空間で記録された残響成分を生成。スプリングやプレートのリバーブ、現実感の高い屋外の通りなども収録されています。
COVER
毛布、スーツケース、箱、ガラスのコップ、車のトランクなど、様々なもので音源を覆う効果です。PITCHノブは、発生する特有の共鳴における音程を調整します。
TELECOM
電話・通信プロトコルのシミュレーション。携帯電話のエミュレートに加えて、コーデックを調整して、ささやくような声やロボット・ボイス、ボーカル・シンセサイザー効果も作り出します。
GATE
クラシックなゲート効果で、ダッキング効果や入力の完全ミュートも可能です。レベル値に合わせた接続を設定できるので、ギター入力などをクリーンアップします。
COMPRESSOR
ビデオカメラによるオート・ゲインのエミュレートや、ギター入力信号のエンハンス処理など。トランシーバやメガフォンに特有のコンプレッション効果プリセットも備えます。
EQ
5種類の周波数フィルタ:LOW/HIGHシェルビング型フィルタ、ハイパス/ローパス・フィルタ、ピーク幅(Q値)調整可能な、2バンドのパラメトリック・イコライザー
調整する際は、ポップアップ画面が表示。周波数やQ幅の情報も確認しやすいでしょう。
MOD
5種類のモジュレーション系エフェクトを、左上のメニューから選択:トレモロ、コーラス、フェイザー、フランジャー、ビブラート
DEPTH:モジュレーション効果の量を調整。
SPEED:モジュレーション発振のスピード調整。FREE/SYNCいずれのモードでも設定できます。SYNCモードではモジュレーション効果のスピードがホストDAWのテンポにロックされて、音符の種類を選択可能。
RADIO TUNING
ラジオ受信機のダイアル調整による、様々な効果をシミュレートします。
縦軸は混変調の周波数を調整します。横軸は受信状況の調整で、中心から外れるほど電波の受信状態が悪くなり、歪みやノイズが増大します。
MIC
スピーカーと同様、マイクのIRも選択可能。IRには、各機器を特徴付ける周波数特性と時間的特性が記録されているので、そのマイクを実際に使用した際と同様の効果を得ます。アナウンサーが使用する標準的なマイクの音声を再現したり、 Royerのようなクラシックのマイクで収録したギターキャビネットの音も作り出せます。
CRUSH
量子化ビット/サンプリング周波数の劣化調整です。十字マークを下方向にドラッグすると、量子化ビット数が32bit〜2bitの範囲で減少。左方向にドラッグすると、サンプリング周波数が減少。エイリアス効果を最大限に活かすため、非常に粗いサンプリング周波数の変換アルゴリズムが組み込まれています。
GRAMOPHONE
蓄音機シミュレータです。WOW(中心から外れた回転)とCURVE(レコードの反り)によるピッチ変動を作用。併せてアナログレコード特有のノイズも付加します。
LESLIE
ハモンドオルガンとの組み合わせで有名な、レスリー・スピーカーをシミュレートします。内部で中高音用のホーンと低音部用のローターを回転させることで、ドップラー効果を利用した、豊かなロータリー・サウンドを生み出します。
DELAY
モノラル/ステレオ・ディレイ。フィードバックにはハイ/ローパス・フィルタを備えます。SYNCモードでは、ディレイのタイミングがDAWのテンポにロックします。その際はディレイ・タイムの調整ノブがノート表示に変更されて、セレクト・ボックスから音符の種類を選びます。
LFO
4つのLFO(低周波発振器)と2つのエンベロープ・フォロワで、各パラメータを自動制御します。設定は赤いケーブルをクリックして、制御したいパラメータにドラッグするだけです。LFOのスピードは、DAWのテンポや様々な波形に同期可能。
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