僅か1dBの違いがすべてを左右する世界で人生の大半を過ごす稀有な存在、マスタリング・エンジニア達の環境で活躍するための機器として設計された「P331」は、完璧なミックスをより良いものにするための仕上げに行なわれるファイナル・タッチを特別かつ、控えめな方法で強化する機器として、世界中のマスタリング・エンジニア達のワークフローに追加されるギアになりました。その一方、「P331」を使用したミキシングのエンジニア達からは、より明確なサチュレーションとハーモニクスのカラーを求める声が届いていました。このフィードバックを元に新しく完成した「P331- EVL」は、「P331」の魔法を失うことなく、これに寄り添うもうひとつのソリューションです。オリジナル「P331」が持つすべてを備えながら「P331-EVL」は、よりダイレクトに、より前に出るサウンドを表現できるように設計されています。
まずは同じところから見ていきましょう。オリジナルの「P331」と同様、「EVL」バージョンはすべてのコントロールにデジタル制御のアナログを採用しています。左右のコヒーレンスは正確そのもので、完全差動のソリッドステート出力アンプにも変更はありません。LIFT回路も両機で同じですが、リフトされる周波数はローディング・セクションで発生する倍音の影響を受けるため、「EVL」のLIFTはオリジナルの「P331」とまったく同じ音にはなりません。
「EVL」の完全差動真空管のLOADINGアンプは、かなり異なる点からスタートします。「EVL」のLOADINGのコントロールは、「6SN7」真空管の動作ポイントをコントロールするという点ではオリジナルの「P331」と機能的には同じですが、最初からかなり強くプッシュされています。もちろん歪んだギター・アンプとは異なり、単に、オリジナルの「P331」とは異なる「より前進した感じ」になっているということです。
「XFORMER」セクションは、最も差別化が図られている部分です。「EVL」のトランスにはより多くの電流を流して飽和状態を作り出しています。その結果、息苦しさや明瞭度の損失なく、ローエンドの存在感、力強さ、パンチがより際立つようになっています。
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