ローランドは1985年に、今もなお広く知られているTR-707にラテン・パーカッションのサウンドを搭載した、TR-727リズム・コンポーザーをリリースしました。TR-727は誰でも知っているとまでは言えないものの、とても愛され、何十年もの間、民族音楽にアシッド・ハウスからポップ、テクノまで幅広いスタイルで活躍してきました。そしてアフロ・ビート、レゲトンやその他の多くのエキゾチックな現代の音楽スタイルにとても良くマッチします。 ローランドのACBテクノロジー(Analog Circuit Behavior)により、本物のサウンドと音楽史に刻まれたパーカッション・マシンの体験をDAW内に取り込み、最新のアップグレードとともに新しい領域へ導きます。
TR-727の前に、ローランドはフル・デジタルではなくアナログとデジタルのハイブリッド機である、あの伝説的なTR-909をリリースしていました。ハイブリッド機として開発された背景は、当時、メモリとD/Aコンバーターは非常に高価だったので多くのミュージシャンにとって手に届きにくい価格になってしまうことと、音色のエディットに制限が生じることからでした。 しかしながら、TR-909のリリースの後にローランドは、サンプリングされたサウンドと、新たに強化された即座に反応する独立フェーダーを備えた親しみやすいTRインターフェースを組み合わせたラテン・パーカッション・マシンにより、デジタル技術のトレンドを受け入れました 。
青でハイライトされたTR-727は15のラテン・パーカッションにインスパイアされたサウンドとパワフルなシーケンサーでどんなトラックも新たな高みに導きました。これは、パレットが限られていてサウンド編集機能を持たないにもかかわらず、成功した機種として今もなお語り継がれています。 このソフトウェアでは、ビンテージの雰囲気を再現しつつ、チューニングやディケイなどの操作を導入して、クリエイティブな可能性を開花させています。
1980年代半ばに開発された時、TR-727は現在から見ると非常に原始的な8ビット/25kHz(いくつかの音色では6ビット) のサンプル再生エンジンを搭載していました。これらの低ビットレートでは、音の減衰の間に量子化ノイズが生じるため、非減衰のPCM波形が使用され、減衰はアナログ回路の後段で適用されました。 さらに、クロックとD/Aコンバーターの下流のアナログ回路のズレは、ピッチと減衰特性にばらつきを生じさせました。TR-727は波形を編集する能力を持っていないものの、これらの要因の組み合わせが、最終的に両モデルで多く求められることになるユニークで心地よいロー・ファイでパンチのあるサウンドに繋がりました。
TR-727はそもそもデジタル機器ではあるのですが、その独特のサウンドはサンプリングで再現できるものではありません。これらのサウンドをソフトウェアで再現するために、まずオリジナルに搭載されていたPCMのデータを抽出し、そしてACBテクノロジーを使用して注意深く独特の特性と揺らぎを含めてPCM出力段を完全に再現しました。 またD/Aコンバーター以後のアナログエンベロープとアンプ段もモデリングし、チューニング、ディケイ、PCMクロック調整、及びその他のパラメータ設定が可能になっているのはオリジナルのハードウェアにはない、プラグインだけの要素です。
TR-727のオリジナルのハードウェアを使用しているかのような特別な雰囲気を感じられるように細心の注意を払っています。リアルに再現された新しい状態と、使い込まれた風合いのスキンを気分に合わせて選ぶことができ、そしてオリジナルの15のサウンドと64のパターンが含まれています。 これは単なるビンテージの再現にとどまらず、現代の音楽ジャンルに向けた43のキットやパターン、ワクワクするようなサウンド・シェーピング・オプションやパワフルなシーケンシング、オーディオ/MIDIデータのDAWへのドラッグ&ドロップ、マルチアウト(パラアウト)などを備えています。 また、TR-727はTR-707とお互いを完璧に補完するキットとパターンを持つユニットとして一緒に動作します。キットとパターンをロードして、その魅力を最大限に体感してみてください。
アフターマーケットでの改造例からインスピレーションを得て、当社のACBモデリングはより深いところまで入り込み、あらゆる方法でサウンドを変更できるパラメータを実現しました。 すべてのサウンドはとても滑らかなチューニングとディケイを持っている上に、内部回路をオーバードライブしたり、各 PCM 波形のふるまいを調整したり、PCM クロックを 6.25 kHz から 100 kHzの範囲で調整して、サウンドを大きく変身させることもできます。 このようなサウンド・シェーピング機能によって、現代的な音楽のために限りない創造的な可能性を持ち、TR-727に新しさと興奮を感じさせます。
オリジナルのTR-727のシーケンサーは、当時における最先端でしたが、今回アップデートされたシーケンサーはグルーヴにディテールとニュアンスを加えられるように更に進化しました。 シーケンサーの拡張編集パネルを開くと、楽器ごとにミュート、ソロ、調整可能なシャッフルを備えた独立したシーケンサー・レーンが表示されます。ステップごとのアクセントが含まれており、各ステップはヒットの強弱、代替音、3つのタイプのサブステップ、および9種類のフラムをトリガーすることができます。
TR-727ソフトウェア・リズム・コンポーザーは、スタジオに完全にこのビンテージ・マシンの本物の体験をもたらします。 また、オリジナルのパーカッション・サウンドを再現しながらも、現代のワークフローをしっかりとサポートしています。細部まで作り込まれたユーザー・インターフェースは、ディスプレイの大きさにあわせて自由にサイズ変更でき、MIDIやオーディオ・パターンをトラックやセルに直接ドラッグ&ドロップすることも可能です。 TR-727プラグインはVST3、AAX、AU互換であり、Apple シリコンをネイティブ・サポートしています。
最大同時発音数 | 11音 |
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対応サンプリング周波数 | 44.1 kHz, 48 kHz, 88.2 kHz, 96 kHz, 176.4 kHz, 192 kHz |
ステップ・シーケンサー | INSTパート×11 16ステップ 8(A~H)バリエーション(各パターン) |
音色 | ボンゴ (ハイ/ロー) ハイ・コンガ(ミュート/オープン) ロー・コンガ ハイ・ティンバレス ロー・ティンバレス アゴゴ(ハイ/ロー) カバサ/マラカス ショート・ホイッスル ロング・ホイッスル キハーダ ウィンド・チャイム * /で区切られた音色は切り替えて使用。 |
1バンクあたりのパターン数・音色数 | 128パターン 128音色 *新規ユーザー・バンクを作成可能 |
対応プラグイン・フォーマット | VSTi 3.6 (64 bit) AU AAX |
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