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Brown Sound 80/81 は、「TONEX Brown Sound」シリーズの第2弾です。本コレクションでは、このギタリストの成長の節目となった、ダークな感触とヘヴィなエッジを正確に捉えています。1980年、1981年のアルバム・レコーディング時のトーンを再現すべく、入念なセッティングの上でキャプチャーされた Tone Model 73種には、 アンプ単体のキャプチャーも含まれています。お気に入りの IR と組み合わせたり、実際のキャビネットを通してライブで使用することが可能です。
私たちは単にその「トーン」を追い求めたのではありません。あらゆる可能性を探り尽くし、伝説のトラックがどのように録音されたか、というさまざまな説を考慮し、さまざまなバリエーションも用意しました。荒々しいリズム・クランチから燃え上がるようなリード・トーンまで、何世代にもわたってギタリストたちにインスピレーションを与え続けてきたサウンドを体験しましょう。
本コレクションに収録された Tone Model は、当時の仕様に基づいた機材と録音手法を用いてキャプチャーされており、あの時代の中期2作品のサウンドを忠実に再現しています。 それぞれの Tone Model は、TONEX 内蔵のタイムベース系エフェクトはもちろん、お気に入りのペダルと組み合わせた音作りの最適な土台となるでしょう。
1980年のアルバムでは、音像がより太く、ドライで飽和感が増し、2作目に比べて荒々しく攻撃的なサウンドへと回帰しています。デビュー作の獰猛さを彷彿とさせる、より前に出てくるサウンドで、ミッドレンジの押し出し感が強く、ローエンドは引き締まり、アーティキュレーションも明瞭です。より現代的でハイゲインなトーンへとシフトし、次世代のロック/メタル・ギタリストに影響を与えるサウンドの方向性を示しています。
この時期は、Ibanez Destroyer に Super 70 ピックアップを搭載したギターを使用しており、以前の Super Strat によるダークなトーンと比較して、明るく歯切れの良いサウンドとなっています。Echoplex のディレイとプリアンプ部は引き続き使用され、キャビネットには 20-watt Greenback や 25-watt Blackback スピーカーを搭載。全体的にシンプルなシグナルチェーンが維持されていました。この時期は、無駄を削ぎ落としたシンプルなサウンドの力強さが表れており、パンチのある反応の良いトーンと、荒々しさの中にも独特の勢いを感じさせるサウンドが、このアルバムの持つ個性を際立てせています。
78/79年の生々しく明るいトーンと比べて、1981年のサウンドはよりタイトでコントロールされた印象です。ロー・ミッドが強調され、アタックはよりパーカッシブになっていきます。初期のアルバムに見られた空気感のある広がりは抑えられ、代わりに閉塞感すら感じさせる濃密でヘヴィなトーンが、アルバム全体のダークな雰囲気と見事にマッチしています。ゲインはさらに高く、リバーブは控えめに調整され、サウンド全体はよりフォーカスされ、洗練された印象を持ちながらも、依然としてあの唯一無二の個性は失われていません。
主な変更点としては、キャビネットが G12-65 スピーカーを搭載したストレート・タイプの1960B に変更されたこと、アンプのバイアス調整、そして Variac の電圧を68V まで下げるといった実験的なアプローチが挙げられます。これにより、サグ感と倍音の複雑さが加っています。また、Sylvania 製 6CA7 真空管も、中域の飽和感と持続音の深さに貢献したと考えられています。“Franky”の高出力ピックアップによって、よりダークで攻撃的なニュアンスも付加されています。さらに、使用していないエフェクトを信号から排除するスイッチング・システムの導入が推測されており、よりクリーンで力強い信号をアンプに送ることができたと考えられています。この時期は、このような“沈んだ”トーンを中心に収録されており、厚みのある倍音成分と感情的な深みを備えた、濃密で完成度の高いギター・サウンドとなっています。
Brown Sound 80/81 collection の中核にあるのは、「The ONE」です。これは、1968年製 Marshall® Super Lead(Serial No.12301)とまったく同じスペックで制作されたアンプです。初期ブラウン・サウンドの本質を捉える重要なモディファイも施されており、他のどのアンプよりもそのDNAを忠実に再現しています。
そのサウンドに大きく貢献しているのが、Fat Cap mod です。これはプリアンプの第2ゲイン・ステージに施されたカスタムで、低域のゲインを増幅し、粘りのあるミッドレンジと、音に特徴的なカラーを加えます。 また、オリジナルの Plexi に見られる50K ミッド・ポット(EQ バランスをボーカル・ライクでアグレッシブなミッド・レンジにシフトさせる)との組み合わせにより、初期のブラウン・サウンドの独特の存在感を再現しています。
このアンプには、4Ωタップからの100kΩ の NFB(ネガティブ・フィードバック)が追加されており、歪みのキャラクターをさらに洗練されたものにしています。これによって、初期のレコーディングのような太く力強いトーンが得られます。
アンプ内部には、オリジナルの Dagnall 製トランスを忠実に再現した Heyboer 製トランスが使用されています。このトランスは、ヴィンテージ・アンプ特有の正確なダイナミクスとフィーリングを実現するために、巻き線の仕様を細部までこだわって再現しています。単なる見た目だけのクローンではなく、アンプ全体のレスポンスや倍音構成に関わる、音の中枢を再現することを目的として設計されているのです。
Brown Sound 80/81 では、使用機材だけでなく、当時のエネルギーや実験的なアプローチ、音作りの進化までをも再現することを目指して、すべてのディテールが選ばれています。実際に確認されている機材構成から、今もなお議論が続くスタジオ・テクニックに至るまで、このコレクションには、あの2枚のアルバムのトーンを再現するために必要な、あらゆるバリエーションが含まれています。
当時のスタジオでのワークフローを再現するため、各キャビネットは意図的に角度をずらした2本のマイクでキャプチャーされています。1本はより明るく響くハイ・スピーカー寄り、もう1本はよりダークなロースピーカー寄り。これはオリジナルのアルバム・ミックスで実際に用いられた手法です。使用マイクは、SM57のペアに加え、ヴィンテージの U67も使用されています。
収録の過程では、最終キャプチャーに入る前に基本のサウンドキャラクターを固めるため、EL34、6CA7、6550といった各種真空管の徹底的なテストも行われました。最終的に6CA7が出力管として選ばれ、さらに v2では Svetlana製12AX7が採用されています。1980年のセッションでは、アンプは4本すべてのパワー管を稼働させ、フィーリングやヘッドルームを微調整するために Variac™ の電圧を76V と89V に設定して収録されました。
1981年のセッションでは、さらに低い電圧設定(71V と68V)が採用されました。Echoplex は外されましたが、フランジャーとフェイザーはインラインのまま(バイパス状態)で接続され、わずかな音色変化を与えています。Tone Model には、アルバムの音色を再現した「Album-voiced」、よりストレートな「Raw」、そして空気感を加えた「Room」バージョンが含まれ、アンプ単体のセットも用意されています。加えて Standard、HOT、Extra-HOT の各バリエーションがあり、ギターやピックアップの特性に合わせて最適なマッチングが可能です。アンプ単体のキャプチャーは、TONEX 内蔵の VIR やお気に入りの IR と組み合わせて使用できます。
Jim Gaustad のギター・サウンドへの情熱は、1970年代後半、ヴァン・ヘイレンのデビュー・アルバムを聴いたことから始まりました。12歳でプロとして演奏を始め、80年代にはオリジナル・バンドで全米ツアーも経験。その間も常に理想のサウンドを追い求め、ツアー先でアンプを修理・改造したり、ヴィンテージの Marshall をチューンしたり、余ったパーツでカスタム・ピックアップを自作するなど、探求心は尽きることがありませんでした。 その情熱はやがて、ヴァン・ヘイレンのオリジナル機材とサウンドを忠実に再現する「The G Men」というトリビュート・バンドの結成へとつながります。エディ・ヴァン・ヘイレンの死後、ジムは YouTube で「Brown Sound Quest」を開始。ヴィンテージ回路、スタジオ技術、シグナル・チェーンに深く切り込み、彼の創作の原点である伝説のトーンへのオマージュを続けています。
スタッフコメント