リズム・マシンTR-909の影響は、発売から40年近くたった今でも聴くことができ、そして感じることができます。この909プラグイン・ソフトウェアは、スピーカーを屈伏させてしまうほどのオリジナル・モデルのパワーをそのままに、音響面での機能が向上し、プログラミングがより手早く、流動的にできるようになるなど、新たな機能を備えています。
1983年、ローランドは絶大な影響力のあるTR-808の後継機としてTR-909を発表しました。このころから、アコースティック・ドラムのデジタル・サンプルが注目を集めるようになりますが、当時のデバイスに搭載されていたサウンドはエディットがあまりできませんでした。しかも正直にいえば、依然として本物のドラムのサウンドとはいえないような音でした。909の設計にあたりローランドの開発陣は、キック、スネア、クラップ、タムにはエディットが可能なアナログ回路を使用し、シンバルに関してはデジタル・サンプリングを使用するというハイブリッドなアプローチを採用しました。この特有のサウンドとTR-RECシーケンサーにより確固たる地位を築き、オリジナルのユニットは現在も中古市場で高額取引されるほど、熱烈な支持を集めています。
TR-909は短期間の生産で約10,000台しか製造されることがありませんでしたが、このマシンの永続的な影響は、今日にいたるまでダンスフロアで見て取ることができます。TR-808がラップやヒップホップで優位を占めていたように、TR-909はテクノ、ハウス、アシッド、インダストリアルなどの電子音楽のスタイルに、消えることのない足跡を残していきました。強烈なキックと分厚いハイハット、ドラマチックなビルドで使用されるキレのあるスネアロールなど、フロアを揺さぶるようなダンスミュージックを思い浮かべるとき、頭の中で鳴っているのはこの音なのです。
TR-909プラグインの開発にあたり、私たちはその特徴を維持しつつオリジナルのハードウェアを改良していきました。ワークフローの機能強化には、プログラミングを高速化する高度なマルチレーン・シーケンサーや個別のPANとゲインのコントロールにより、TR-909の持つポテンシャルを最大限に活かした強力なサウンドを実現します。
エディット・ビューを開くと、インストゥルメントごとに独立したステップ・シーケンサーのレーンが表示され、それぞれに独立したミュートやソロ、シャッフル、ラストステップの設定が可能です。また、WEAKや9種類のフラム、パターンの表情を豊かにする3種類のサブステップなど、ステップごとのアーティキュレーションも搭載しています。
TR-909プラグインはオリジナルを慎重にモデリングしつつ、実装は完全に現代にマッチした形で行われています。シーケンサーはテンポに同期し、作成したパターンをMIDIやオーディオでDAWに直接ドラッグ&ドロップすることも可能。また、サイズ変更可能なUIやVST3、AAX、AU対応、Appleシリコンのネイティブサポートなど、現在の音楽制作環境にフレキシブルに対応します。
TR-909プラグインはクラシックなキットとパターンを搭載し、誰でも簡単にカスタム・ビートをプログラムしたり、オリジナルのキットを調整したりすることができます。しかし、それはただの始まりに過ぎません。Roland Cloudには、世界的なアーティストや専門のサウンド・デザイナーによる新しいパッチやパターンが豊富に用意されており、常にインスピレーションを与えてくれます。
TR-909ソフトウェアは、TR-8S Rhythm PerformerおよびTR-09 Roland Boutiqueとシームレスに統合できます。TR-8SのパターンをTR-909プラグインに直接転送したり、外出先でビートを作成してハードウェアに送り返したりすることも可能です。また、TR-8SやTR-09を使ってプラグインを直接ハンズオンでコントロールすることもできます。
最大同時発音数 | 11音 |
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対応サンプリング周波数 | 44.1kHz、48kHz、88.2kHz、96kHz、176.4kHz、192kHz |
ステップ・シーケンサー | INSTパート×11 16ステップ 8(A~H)バリエーション(各パターン) |
音色 | バス・ドラム スネア・ドラム ロー・タム ミッド・タム ハイ・タム リム・ショット ハンド・クラップ クローズド・ハイハット オープン・ハイハット クラッシュ・シンバル ライド・シンバル |
1バンクあたりのパターン数・音色数 | 128パターン 128音色 ※新規ユーザー・バンクを作成可能 |
対応プラグイン・フォーマット | VSTi 2.4 (64 bit) ※Windowsのみ VSTi 3.6 (64 bit) AU AAX |
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