DXR12は、最大1100W(ダイナミックパワー)の出力で134dB SPL(Peak)もの最大音圧レベルを生み出す、サイズを超えた極めてハイパワーなスピーカーです。その優れたサウンドクオリティにより、幅広い周波数帯域と高い分解能が求められるライブSR用途に対しても完璧に対応します。
スピーカーのスペシャリストであるNEXOとヤマハの研究開発チームが再び緊密に協力し合い、絶えず進化するSRのプロフェッショナル達の要求に応えるべく従来のDXRシリーズにさらなる改良を加えました。最新のパワーアンプとコンポーネント、そして独自の高性能DSPとの組合わせにより、固定設備でも仮設SRでもあらゆるアプリケーションにおいて、DXR mkIIシリーズは「高音質」「高音圧」「高信頼性」「高汎用性」を兼ね備えたクラス最高のパフォーマンスを発揮します。
DXR mkIIシリーズの全てのトランスデューサーは、究極のパフォーマンスを提供するために細心の注意と徹底的なこだわりをもって選定・カスタマイズされました。 非常に高出力なウーファーユニットは、明瞭で深い低音再生能力を極めて低い歪みで提供します。一方、新たに実装された従来モデルより大口径かつ軽量な1.75インチのネオジム高精度HFコンプレッションドライバーは、軽量化と20kHzまでの精確な中~高域再生の両立を達成しています。
大型の高域トランスデューサーにはヤマハ独自開発の新しい定指向性ホーンを組合わせ、従来のホーンでは避けることのできなかった斜め方向の放射パターン劣化を最小化し、より理想的で安定したカバレッジを実現しました。 このホーンの効果によって音声は長方形に近いパターンで広がっていくため、水平90°×垂直60°のカバレッジ領域のすみずみまでしっかりとフルレンジサウンドを届けることができます。
ヤマハの開発チームは、長きにわたるプロオーディオ機器の開発で培った豊富な経験にもとづき、スピーカーシステムへ斬新かつ洗練された数々の高度なデジタル技術を投入しています。ユニット間のクロスオーバーやEQ、リミッターのセッティング、さらに精密なサウンドを構築するダイナミクスコントロールや各種の保護機能。これらすべての項目に対し、膨大な時間をかけたシミュレーション、そして屋内および屋外でのテストを行い、これ以上は望めないほどの高品位な音質と高い出力音圧レベルの獲得に成功。ヤマハのデジタル技術は高度なアナログ信号処理、アコースティックテクノロジーと高いレベルで結ばれ、「Dのパワー」として究極のパフォーマンスを届けます。
すべてのフルレンジモデルのクロスオーバーには、リニアな位相特性を持つFIR※フィルターを採用した独自の「FIR-X tuning™」を適用しています。「FIR-X tuning™」は低域と高域、各ユニット間のタイムアライメントを調整しつつ、振幅特性と位相特性を最適化。
その結果、クロスオーバー帯域におけるレスポンスはきわめてスムースで、鮮明なサウンドを生み出します。音声信号はすべて48bit高性能プロセッサーが緻密に処理を行い、精度の高い音質を実現します。また、DXSサブウーファーを含む、すべてのモデルには優れたS/N比とダイナミックレンジを持つ24bitディスクリートAD/DAコンバーターを採用しています。
※Finite impulse response
「D-CONTOUR(Dynamic Contour)」は、出力レベルを巧みに制御しながらパワフルでブレのないサウンドを提供するマルチバンド・ダイナミクス・プロセッサー。パワーアンプの出力レベルをリアルタイムに監視し、人間の聴感特性に合わせて振幅特性をダイナミックにコントロールします。
このため、いかなる音量においてもバランス良く、迫力のあるサウンドを提供します。また、DXRシリーズにはFOH/MAINモードおよびMONITORモードが装備され、きめ細かなプリセットチューニングを用途別に選択可能です。
FOH/MAINモードでは、フライング時やスタンドを用いた際、不足しがちな低域を補います。MONITORモードは床面との反射が引き起こす低域への影響を自動補正、特性全域を整えることでクリアなモニタリングを可能にしています。これらのプリセットは、熟練のサウンドエンジニアによって試聴テストが繰り返し行われ、現場に即したチューニングを実現しました。出力における歪みを最小限に抑え、かつ安定したサウンドを提供する信頼性の高いマルチバンド・ダイナミクス・プロセッサーです。
パッシブ型スピーカーシステムを使ってベストなサウンドを得るには、パワーアンプやシグナルプロセッサーなどの厄介な設定が必要になります。反面パワード型スピーカーシステムでは、スピーカーユニットとパワーアンプとの組み合わせが固定されるため、設計段階で最適化を図ることができます。DSR、 DXRおよびDXSシリーズの開発過程で、ヤマハは屋内および屋外での試聴を繰り返すことで各ユニットの耐性とパワーアンプの出力を厳密に算出。その結果にもとづきDSPコントロールを用いて各モデルの最適なリミッターポイントを導き出しました。
最適なリミッティングに加え、これらのシリーズにはヤマハのフラッグシップパワーアンプ「TXnシリーズ」と同じプロテクション機能を搭載。電源部、パワーアンプ、スピーカーユニットの信号をリアルタイムに監視して、コンポーネントのすべてを万全に保護します。これにより、過酷な条件下でも安定した動作を保証。スピーカーシステムが本来持っている性能を最大限に発揮することができます。
※DSR118Wのプロテクションにはアナログ回路を搭載
DXR mkIIシリーズに内蔵されるパワーアンプは、搭載される高域および低域ユニットに最適化された新設計の高効率「Class-D」アンプ。出力はクラス最高の1100W(ダイナミックパワー)。最大134dB SPL(Peak)という驚異の高音圧を実現し、立ち上がりの速い瞬発力とユニットを確実にコントロールする強固な制動力を備えて、極限に迫る性能を引き出します。
電源部には、新設計の優れた供給能力を誇る高効率スイッチング電源により、スムースかつ安定した動作を実現しました。
DXR mkIIシリーズには、種々の入力端子を備えるミキサーを搭載し、シンプルなセットのライブなどで活躍します。また、入出力端子を利用してDXRシリーズの複数稼働やDXSサブウーファーを加えたシステム拡張、さらにDZRシリーズとの混在など、自由なシステムアップが簡単に行えます。
3チャンネルの入力を持ち、ともにマイクからラインレベルまで柔軟に対応。ヴォーカルや、キーボードなどのラインレベル機器、さらにポータブルオーディオプレーヤーなどソースを選びません。「MIC」ポジションでは、HPFが自動的に挿入され、ポップノイズなど不要な低域をカットします。
DXR mkIIシリーズにはすべてのモデルにカットオフ周波数の選択が可能なHPFを搭載し、DXSサブウーファーと組み合わせることで超低域を万全にフォローすることができます。カットオフ周波数は100Hzまたは120Hzが選択でき、さらにDXSサブウーファー側も80Hzを加えた3段階のLPFを備えているため、会場や設置状况に応じた最適なセッティングが可能です。
各チャンネルは個別にボリュームを搭載。それぞれのオーディオソースをミックスできます。また、Channel1に設けられた「THRU」出力は、入力信号をそのまま送り出し、「LINK OUT」はミキシングされた後の信号を出力します。これらの出力は、他のスピーカーシステムを接続する際、増設プランに応じて便利な運用が可能です。また「LINK MODE」を切り替えることにより、ステレオまたはデュアルモノラル構成を簡単に選べます。
高音圧時の共振を抑えるため、2ウェイ・フルレンジモデルは、堅牢で振動に強いABS樹脂製のエンクロージャーを採用。歪みを抑えて、高音質に寄与します。また、屋外での耐久テストをクリアしたエンクロージャーは、使いやすさも徹底的に追求。金属製フロントグリル、アルミ製のグリップハンドルを備え、堅牢性と軽快な可搬性とを両立しています。
フロアモニターの複数設置で求められる「ミラーモード」
DXR12mkIIおよびDXR15mkIIのエンクロージャーは、この左右対称のセットアップに対応しています。1系統のミックスではバランス入力を用いたデュアルモノ構成、またステレオ入力を用いて「LINK MODE」を利用すれば、近年のライブサウンドで多用されるステレオミックスも容易に構築可能。パフォーマンスは一気に高まります。
会場はいつも万全な環境にあるとは限りません。例えば低い天井が音の反射を招き、明暸度が著しく低下する場合も少なくありません。DXRのポールマウンドソケットには水平0°に加え、7°のダウンアングルポジションを用意。音響エネルギーを反射面から遠ざけることで、本来のクオリティーを確保します。
オプションのUブラケットを併用することで縦、横どちらの設置も容易に行えます。他にも市販のアイボルト取り付けに対応するリギングポイント*を装備しています。
*製品にアイボルトは付属しません。 対応アイボルトサイズ: M8(DXR8mkII/DXR10mkII)、M10(DXR12mkII/DXR15mkII)
形式 | 2-way バイアンプパワードスピーカー、バスレフ型 |
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再生周波数帯域(-10dB) | 52Hz - 20kHz |
公称指向角度 | 水平:90° 垂直:60° |
コンポーネント | LF:12”コーン、2.5”ボイスコイル、フェライト磁石 HF:1.75”ボイスコイル、1”スロートコンプレッションドライバー、ネオジム磁石 |
クロスオーバー周波数 | 2.1kHz、FIR-X tuning™ (linear phase FIR filter) |
出力 | Dynamic:1100W (LF: 950W HF: 150W) / Continuous: 700W (LF: 600W HF: 100W) |
最大出力音圧(実測値,1m) | 134dB SPL |
入出力コネクター | INPUT: XLR-3-31 x1 , INPUT2: Phone x2, INPUT3: RCA PIN x 2, THRU: XLR3-32 x 1 (Parallel with INPUT 1 ), LINK OUT: XLR x 1 |
プロセッサー | D-CONTOUR: FOH/MAIN, MONITOR, OFF |
電源電圧 | 100V - 240V, 50Hz/60 Hz |
消費電力 | 110W |
吊金具用ポイント | 2(トップ)、1(リア) ※M10×18mm アイボルト用 |
ポールマウントソケット | 35mm、2ウェイ(0°or 7°) |
寸法 | 幅:362mm (14 2/8") 高さ:601mm (23 5/8") 奥行き:350mm (13 6/8") |
質量 | 18.6kg (41.0lbs) |
別売アクセサリー | UB-DXR12(Uブラケット)、SPCVR1201(多機能スピーカーカバー) |
その他 | エンクロージャー素材: ABS (マットフィニッシュ, 黒) |
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