原型モデル登場から45年を経て再びHi-Fi用カートリッジとして蘇った「Music」シリーズに、満を持してフラッグシップのConcorde Music Black LVB250が加わりました。
生誕50周年を間近に控えたConcordeシリーズの、現時点での集大成の誕生です。
なお、ローマス寄りの特性をもつ本機をご自身のオーディオシステムに導入される際は、ある程度は軽質量・軽針圧のカートリッジに対応した感度の高いユニバーサル型トーンアームと組み合わせることを推奨します。
相性の良いトーンアームに取り付けられた時、本機はその性能を遺憾なく発揮してくれることでしょう。
オルトフォンにとって、Concordeは自社の象徴たるカートリッジのひとつです。
レコード盤の歴史と共に進化を続けてきた我々は、現代の製品としてはハイマス(重質量)・ローコンプライアンスの代表例であるSPUシリーズ(1950年代末に発表)と、ローマス(軽質量)・ハイコンプライアンスの極限を求める過程で誕生したConcordeシリーズ(1979年発表)という、いわば対極ともいえるモデルの双方を自社のシンボルに位置付けています。
Concordeシリーズが誕生した頃に最盛期を迎え、オーディオファイルたちの間で意見を二分させていたカートリッジの質量・コンプライアンス論争は、最終的にはロー/ハイどちらにも利点があること、それぞれの特徴に応じた適切なセッティングを行うことで双方ともに真価が発揮されると結論付けられました。
この「対極」同士を今なお現行機種として開発・生産しているオルトフォンは、ロー/ハイ双方の特性と利点を熟知する数少ないメーカーのひとつです。
Concorde Music Black LVB250は、2MシリーズのBlack LVB250を元にMusicシリーズのフラッグシップとして新規に開発されたモデルです。
ダイアモンドに次ぐ音の伝達速度を誇り、トランジェント特性に優れた(音の立ち上がり・立ち下がりが速い)ボロン素材のカンチレバー、無垢ダイアモンドのシバタ針、そしてマルチ・ウォール・カーボン・ナノチューブ(MultiWallCarbonNanoTubes、MWCNT)を配合した本機専用のダンパーゴムという、MM型ではLVB20のみで採用した珠玉のテクノロジーを惜しむことなく用いています。
これらのうち、ボロンカンチレバーはかつてのConcordeシリーズではフラッグシップのMC200でのみ採用されていましたが、スタイラスチップは無垢のファインライン(現Concorde MusicではBronzeに採用)であったため、シバタ針とボロンカンチレバーを採用している本機の振動系(スタイラスチップ、カンチレバー、ダンパーなどを含むカートリッジ先端の可動部分)はこれまでに発表された全てのConcordeシリーズの中で最高の性能を誇ります。
そしてローマス・ハイコンプライアンスを追求していた時代に誕生した、ヘッドシェル一体型かつスタイラス側に向けてテーパー状に細くなるConcordeのボディはカートリッジの重心位置がシェルの後端側にあるため、これが針先側にある一般的なカートリッジでは再現不可能な「正確(accuracy)」なサウンドを奏でることができます。
カートリッジの重心位置がカンチレバーの終端である振動系の支点直上付近(針先側)ではなくシェル後端側にあることは、その分カンチレバーを含む針先側に質量がかからず動作の自由度を得やすいため、Concordeはより正確な音溝のトレース動作を行うことができます。
そのため、アルミパイプなどに比べ軽質量であり音の伝送速度が速いボロンの高性能カンチレバーとの相性が2Mシリーズ以上に良好であり、よりハイレベルなレコード再生を可能としています。ただ、一般的なカートリッジと質量配分が異なるということは、レコード再生(動作)中のカンチレバーを支持しているダンパーにかかる力の性質も変化します。
そのため、本機のダンパーは2M Black LVB250のものをベースとしつつ、ConcordeのボディでLVB250の振動系を動作させた際に最高のパフォーマンスを発揮できるようダンパー素材の配合比・弾性などを専用に調整したものを新規に開発しました。
一切の妥協が許されない生命線であるからこそ、我々はダンパーの設計、配合、生産に至るまでの全てをデンマーク本社のラボラトリーで内製化しています。
これらの持てる技術を総動員して誕生したのが、軽質量・軽針圧カートリッジの決定版となる本機です。
現代のオルトフォンはMC型だけでなく、技術発展により高性能化したMM型にも注力しています。
そのクオリティをぜひ一度、ご自身の耳でお確かめください。
Concorde Musicシリーズは、エントリーモデルのRedからフラッグシップである本機まで、全機種共通で銀メッキ高純度銅線の高品質なコイルワイヤーを採用(2MシリーズではLVB250を含む上位モデルのみ)し、さらにフィンガー(指かけ)部分が脱着可能な第二世代型Concordeのボディを備えています。
これは我々がConcordeに格別の思い入れをもち、新規に開発したMusicシリーズを再びオルトフォンの象徴のひとつに位置付けようとする決意の表明に他なりません。
そして本機のスタイラス(交換針)は、他のConcordeMusicシリーズ同様にRed/Blue/Bronze/Black全てとの互換性をもちます。
シリーズ内のスタイラスを複数所持し、お気に入りの愛聴盤ごとに好みのモデルへ差し換えて楽しむことも可能です。
出力電圧 (1kHz, 5cm/sec.) | 6mV |
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チャンネルバランス (1kHz) | 1.0dB |
チャンネルセパレーション (1kHz) | 26dB |
チャンネルセパレーション (15kHz) | 20dB |
周波数特性 (20Hz-20,000Hz) | +2/-0dB |
トラッキングアビリティー(315Hz、適正針圧下) | 80μm |
水平コンプライアンス | 15μm/mN |
スタイラスタイプ | Nude Shibata |
スタイラスチップ半径 | r/R 6/50μm |
カンチレバー素材 | ボロン |
適正針圧 | 1.8g |
トラッキング角度 | 20° |
内部インピーダンス | 1.27kΩ |
内部インダクタンス | 815mH |
推奨負荷インピーダンス | 47kΩ |
推奨負荷容量値 | 150 - 300pF |
自重 | 18g |
対応交換針: | Stylus Concorde Music Red/Blue/Bronze/Black/ Black LVB250 |
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