TOP WING OPT LAN Bridgeは、SFPとLANを相互変換する、いわゆる「メディアコンバーター」と呼ばれる製品です。LANケーブルとSFPモジュールを挿し込むことで、一般的なLANケーブルを電気的結合のない光ファイバーによる接続に変換することができます。オプティカル・アイソレーションによって、電気的なノイズの伝搬を根本から遮断できます。OPT LAN Bridgeは、このオプティカル・アイソレーションを理想的なかたちで機能させるため、設計段階から徹底した工夫を施しています。
メディアコンバーターが本来の“絶縁”機能を十分に発揮するためには、SFPモジュールへの安定した電源供給と、LAN信号とSFP信号との高精度な変換の両方が求められます。
SFPモジュールは、一見小型デバイスで電力消費が小さいように思えますが、実際には500mWからものによっては1000mWの電力消費があります。加えて、レーザーを扱う性質上、自身の発熱によってレーザー素子の電力消費量が上昇し、しかも変動するというオーディオ的に考えると対策が必要なデバイスであるのです。
OPT LAN Bridgeは、このSFPモジュールの特性に着目し、SFPモジュールが正確に動作できるよう電源レーンを強化しました。一般的にLAN-SFP変換ICを使用するとICのピンレイアウトの関係から、ポートレイアウトはDC電源、LANポート、SFPポートという順番になりますが、DC電源とSFPポートとの物理的距離が開くことで、電源インピーダンスが上昇しやすくなります。OPT LAN Bridgeでは回路アートワークを工夫することで、DC電源とSFPポートを近接させることができました。あわせて、複層基板を採用し、SFPポート電源供給専用の回路層を用意しました。DC電源は経路長によるインピーダンスの影響を最小限に抑え、SFPモジュールへダイレクトに供給されます。
また、複層基板には、耐ノイズ性能の向上という効果があります。SFPモジュールによって配線経路上のノイズは遮断できても、その後のLAN信号への変換過程でノイズが混入してしまっては、アイソレーションの効果は十分に発揮されません。
LAN-SFP変換の重要なパーツのクロックには、MEMSクロックを採用しました。ネットワークにおいてクロックは、短期安定性・長期安定性ともに重要です。しかしながら、一般的な水晶発振器では、外部からの振動によりドリフトが発生し、僅かではありますが通信のドロップ、速度の低下が発生する可能性があります。MEMSクロックは構造的に外部振動による影響を受けづらいため、音質面でも、微細な音の表現(マイクロダイナミクス)の向上に寄与します。
一般的なメディアコンバーターは、ネットワーク機器間の物理的な媒体変換を主目的としており、SFPモジュールへの電源供給や信号変換も、最低限の要件を満たす設計にとどまっています。そのため、電源の安定性やノイズ対策、クロック精度といった要素は軽視されがちです。
対してOPT LAN Bridgeは、オーディオ用途での使用を想定し、これらすべてに徹底的に対処しました。SFPモジュールの駆動電源強化、複層基板によるノイズ耐性の向上、MEMSクロックによるジッター低減と振動対策など、アイソレーションの性能を余すところなく引き出すための工夫が随所に盛り込まれています。
結果として、OPT LAN Bridgeはオーディオシステムのノイズフロアを根本から改善し、より純粋な音楽再生を支える「音質チューニングの要」となりうる、全く新しいメディアコンバーターに仕上がっています。
入出力 | LAN(RJ45)ポート、SFPポート |
---|---|
通信規格 | LAN:Auto-negotiation 1000Mbps/100Mbps/10Mbps Full SFP:Auto-negotiation 1000Mbps Full |
入力電源 | 12V/1A, 2.1mm/5.5mmセンタープラス(ACアダプター付属) |
サイズ | 120mm x 80mm x 28mm (幅x奥行きx高さ) |
重量 | 258g |
スタッフコメント