JD-Xiはアナログ回路とINTEGRA-7同等のSuperNATURALシンセ音源を搭載した、アナログ/デジタルのクロスオーバー・シンセサイザー。さらにパターン・シーケンサーやボコーダーなど様々な機能をコンパクトなボディに凝縮。自在にツマミでコントロールできる重厚なアナログ・ベースやリード・シンセや、パッド、ストリングス、ブラスなどのPCMシンセ・サウンドが満載。
まず驚いたのは、その軽さです。いや~いくらなんでもというその軽さなのです、そして開けてさらに驚いたのはデザインの良さ!基本黒ベースにオレンジに近い赤のアクセントが上部と側面に配置。近年のスポーツカーのような配色、そしてこの中にちゃんと入っているの?と思わせるその薄さ、少しに不安になりますがそこは32年ぶりのアナログシンセ搭載というトピックを引っさげての登場なので電源を入れてみればもう素晴らしい即戦力なプリセット満載なのです。
ボコーダー用のグースネックマイクもやる気にさせるアイテムでまず最初に目に飛び込んでくる上部の操作パネルは完結にまとめられていて説明書なしでもサクサク操作でました。これ近年のデジタルシンセのパラメーターの多さで本来の機能をフルに発揮させられない事が多かったのですが本機ではそれが皆無。そしていい意味でも悪い?意味でもシンプルなエディットパラメーターこれが本機の最大の魅力なような気がします実際の音色(トーン)ではフルエディットできるアルゴリズムで作られているのでしょうが実際いじれるのは必要不可欠なもののみ。
ただ制作面、演奏面のどちらでも不足を感じることはない厳選されたパラメーターが即戦力を加速させること間違い無しです。
Cutting Edge Point
新しいというか実は以前のこの手の機材でできそうでできない機能があるので思わずニヤっとしてしました。
一つのプログラムで4パート(デジタル1デジタル2、ドラム、アナログ)パターンシーケンス、エフェクト)を記憶できるのですがその各パートの演奏の切り替えを中央部左部のパートボタンで簡単に替えられるという、実はありそうでなかった機能だったりします。これにより演奏を止めることなくパターンを入力しながら演奏しながらリアルタイムにできる、これって次から次へと溢れ出てくるアイディアを逃さない、重要な機能なんじゃないかと思いました。
直感的、まさにその言葉がぴったりな機能ですね。個人的にアリだと思ったのはUSBケーブル一本でオーディオインターフェースに早変わりという点もグッドです。ノートPCと本機でライブがシンプルに出来てしまいます、そしてピンポイントな機能がLRのメインアウトがLが本機のアウト、Rがクリックのアウトというまさにライブ向きな機能があったり。
ここは歴史のあるローランドがユーザーの声を反映させて盛り込んだ超実践的な機能でしょう。あとグースネック付きということでボコーダーの機能もシンプルに中央のカテゴリーのスイッチをボコーダーにセットするだけであとは鍵盤を弾いてしゃべるだけ、さらに言えば喋る/歌うだけであの『ケロケロ』ボイスも簡単に再現できます。その音色も明瞭でかつてのビンテージボコーダーも驚愕の本物感たっぷりな点も本機のやる気を感じさせる点ではないでしょうか。
こんな方にオススメ
すごく簡単に言ってしまうとライブ、レコーディングにとダンスミュージック全般に活躍できる機材ですね、SuperNATURALシンセサウンドを始めドラムサウンド、リアルアナログ、どの音源部分をとっても上位機種に引けをとっていないのでクラブやライブハウスで大音量、綿密な自宅での作業、まさにオー
ルラウンダーな一台でしょう。
あとこれ大事かなと思いますが説明書読むのが苦手な人にもうってつけです、基本の演奏であれば一時間もあれば理解できます、これ実は電子楽器としてとても重要なことだと思いませんか?
まとめ
こんなことを言うとなんですがJD-Xiは超コスパ高過ぎです、実売5万円代でこの高機能高音色というのは今の時代ならではなんでしょう。そして決してガジェット方向に行くのではなくちゃんとした『使える』楽器に仕上がっているというローランドの本気度が伺えます。すべての機能がシンプル、なのに超実践なユーザーにうれしいお財布にうれしい一台なのです。
そしてこの先のJD-Xaへの期待はより高まった一台とも言えるのではないでしょうか。
profile
田辺 恵二
作編曲プロデュース 東京都出身1969.4.22生 O型
1991年 Charaのデビューアルバムのシンセプログラマーとしての参加を皮切りに1993年 古内東子のデビューアルバムに参加し、本格的にアレンジャーとしての活動を開始。「ゴスペラーズ」「及川光博」などの、アレンジや楽曲提供を始めとしライブにおける音楽監督を担当1996年 [mode rock]で日本クラウンよりアーティストデビュー。1997年 [ガーデンズ](伊秩弘将プロデュースのユニット)の中心的メンバーとして楽曲提供と全てのアレンジを担当。以後、多数のアーティストの作品に、 レコーディング・ライブを問わず参加、楽曲提供も精力的に行う。2001年以降は、あらゆるジャンルに対応するソングライティング、アレンジでその活動の幅を広げる。2002、2006年 日本レコード大賞金賞を編曲家として受賞する。
■主な特長
・アナログとデジタル、2つのサウンド・エンジンを搭載したクロスオーバー・シンセサイザー
・アナログ・シンセ音源による重厚なシンセ・ベースやシンセ・リードのサウンド
・JUPITER-80やINTEGRA-7と同等のSuperNATURALシンセ・サウンド
・リアルタイム/ステップ/TR-REC、様々な録音方法に対応し、気軽にフレーズを作成できるパターン・シーケンサー
・オート・ピッチ、ボコーダーなどのエレクトロ・ボイスを演奏可能 (グースネック・マイク付属)
・効果的な4系統のエフェクター(エフェクト1、エフェクト2、ディレイ、リバーブ)
・Mac/PC での使用に便利なUSB MIDI/AUDIOインターフェース機能
・ダウンロードサイトAxial より、音色やパターンをダウンロードして追加可能
鍵盤 | 37ミニ鍵盤(ベロシティー対応) |
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音源 | 最大同時発音数129音(デジタル・シンセ/ドラム・キット:128、アナログ・シンセ:1) ※デジタル・シンセは最大同時発音数64音 |
パート数 | 4パート(デジタル・シンセ・パート= 2、ドラム・パート= 1、アナログ・シンセ・パート= 1) |
トーン | デジタル・シンセ・トーン(SuperNATURALシンセ)、アナログ・シンセ・トーン、PCM ドラム・キット ※ アナログ・シンセ・トーンは、オシレーター、サブ・オシレーター、フィルター部分をアナログ回路で構成しています。 |
エフェクト | Effect1(Distortion、Fuzz、Compressor、Bit Crusher)、Effect2(Flanger、Phaser、Ring Mod、Slicer)、Delay = 2種類、Reverb = 6種類 |
パターン・シーケンサー | トラック数=4 |
ボーカル機能 | Vocoder、Auto Pitch、Auto Note |
その他機能 | フェイバリット、アルペジオ |
コントローラー | ピッチ・ベンド/モジュレーション・ホイール |
接続端子 | PHONES端子(ステレオ標準タイプ)、 OUTPUT端子(L/MONO、R)、(標準タイプ)、 INPUT端子(LINE「MONO」もしくはGuitar入力)、(標準タイプ)、 MIDI 端子(IN、OUT)、 USB COMPUTER端子(USB Hi-Speed AUDIO/MIDI対応)、(パソコンのUSB端子とUSBケーブルは、Hi-Speed USB対応のものをお使いください。)、 DC IN端子、MIC INPUT端子(XLRタイプ, アンバランス) |
電源 | AC アダプター |
消費電流 | 消費電流 1,000mA |
外形寸法 | 575(幅)×245(奥行)×85(高さ)mm |
質量 | 2.2kg(AC アダプターを除く) |
付属品 | 取扱説明書、AC アダプター、マイク、保証書、ローランド ユーザー登録カード |
スタッフコメント