Chord Electronicsがハイエンド・ポータブルDACというジャンルを生み出してから約7年、同社の長年のデジタル設計コンサルタントであるロバート・ワッツが、画期的な技術で数々の賞を受賞したオリジナルMojoに再び焦点を当て、再構想・再設計したのが、「Mojo 2」です。
Mojo 2は、FPGAテクノロジーの進化と共に、様々な新機能を搭載。Chord Electronicsは、Mojo 2のために世界初(※)となる画期的なロスレスDSP「UHD DSP」を開発しました。フルトランスペアレント型処理を行うUHD DSPは、音質を劣化させることなく、より広い周波数帯域に渡って総合的な音質の調整を可能にします。この革新的なテクノロジーにより、Mojo 2は、音源のタイプや音の特徴を問わず、幅広い種類のヘッドホンとの比類のない互換性を実現し、様々なソースコンポーネントやデジタルファイルタイプに柔軟に対応します。
更にMojo 2ではメニューシステムを新たに導入。ミュート機能、4段階のクロスフィード調整、移動時における誤動作防止のボタンロック機能、そしてUHD DSPによる画期的なロスレス・トーン・コントロールを搭載しています。さらに、バッテリー充電システムの改善やUSB Type-C端子も搭載。Mojo 2はポータブルオーディオの基準を再定義する新世代のヘッドホンアンプ内蔵USB DACです。
(※)2022年2月16日現在。ヘッドホンアンプ内臓ポータブルUSB DAC製品として。メーカー調べ。
・Chord Electronics独自のFPGAテクノロジーによるD/A変換回路を搭載
ー FPGAにカスタム仕様のXilinx(ザイリンクス)製Artix 7を採用
ー オーバーサンプリングフィルターに独自のWTA(Watts Transient Aligned)フィルターを採用
ー D/A変換時の演算タップ長を40,960タップに。変換時のタイミング精度を改善するとともに、ダイナミックレンジの向上、ノイズフロアの低減を実現
ー ノイズシェーピングを効果的に行う独自技術「パルスアレイ・エレメント」を4基搭載
ー FPGAを駆使したデジタルPLLによる強力な低ジッター対策
ー PCM768kHz/32bit、DSD256のネイティブ再生に対応
・出力インピーダンス0.06Ωの超低インピーダンス。さらに800Ωの負荷にも対応する超強力なヘッドホンアンプ部
・音質を損なわないイコライジングを可能にするフルトランスペアレント型ロスレスDSP「UHD DSP」搭載
・新バッテリー充電システム搭載で8時間の連続再生が可能に
・改良型インテリジェントデスクトップモード搭載
・USB Type Cデータ入力端子を含む、多彩な入力端子を搭載
・メニューシステムの導入で、より使いやすく
・Mojo専用ストリーマー/サーバー「Poly」との高い互換性を実現
・英国製造によるトップクラスの製造クオリティ
FPGAにカスタム仕様のXilinx(ザイリンクス)製Artix 7を採用
Chord ElectronicsのDAC 回路の中核となるのが、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ)と呼ばれるプログラムが書き込まれたデバイスです。Mojo 2は内臓するFPGAにカスタム仕様のXilinx(ザイリンクス)製Artix 7を採用しています。Chordのモバイルオーディオ製品のデジタル回路はS/PDIF入力、S/PDIFデコーディング、デジタルPLL 、RAMバッファ、WTAフィルター、そしてパルスアレイDAC回路にいたるまで、すべてFPGAのプログラミングにより制御されています。各ブロックはゲートレベルで最高のパフォーマンスを発揮するよう入念な設計がなされています。
オーバーサンプリングフィルターに独自のWTA(Watts Transient Aligned)フィルターを採用
Chord Electronicsのデジタル回路設計を特長づけているのは、考案者であるロバート・ワッツが30年以上の年月をかけて開発したWTA(Watts Transient Aligned)フィルターです。WTAフィルターは、D/A変換時の時間軸情報のタイミング精度を高めることを重視したフィルターで、デジタルデータをFPGAに取り込んだうえで、本来A/D変換時に取り込まれたであろう元のアナログの波形を類推して補間することで、デジタル化される前のアナログの波形を高い精度で再現します。
D/A変換時の演算タップ長を40,960タップに。変換時のタイミング精度を改善するとともに、ダイナミックレンジの向上、ノイズフロアの低減を実現
オーバーサンプリングフィルターの演算処理の細かさをタップ長という単位で表現し、タップ長が多いほど、演算精度が高くなります。Mojo 2は40,960タップの16FS WTAフィルターを搭載しており、40個の208MHz DSPコアを並列に使用してWTAフィルターを演算しています。初段目のWTAフィルターに続く2段目のリニアー・インターポレーション・フィルターにより、256FSまでオーバーサンプリングを行います。これにより、時間軸情報の再構築の精度を向上させています。
ノイズシェーピングを効果的に行う独自技術「パルスアレイ・エレメント」を4基搭載
DACのアーキテクチャはノイズフロアの変調に大きな影響を与えます。Chord Electronicsの独自技術であるパルスアレイDACは、生来源信号を変調させる度合いが非常に低いことも特長の一つです。Chord Electronicsでは、ノイズシェイパーの性能について、パフォーマンス、特に正確な奥行き表現を人間が知覚するために極めて重要と考えています。Mojo 2は4基のパルスアレイ・エレメントを搭載して9次でノイズシェイパーを動作させることで、ディテールの解像度とサウンドステージの奥行きの知覚を大幅に向上させています。
FPGAを駆使したデジタルPLLによる強力な低ジッター対策
Mojo 2では、ジッター低減のためにデジタル方式のフェーズ・ロック・ループ(DPLL)を採用。強力にジッターを除去します。
PCM768kHz/32bit、DSD256のネイティブ再生に対応
DSDはノイズフロア変調に厳しい課題をもたらします。例えば、DSD 64(2.8MHz DSD)には一般に100kHzで-20dBのノイズがあり、これは歪みとノイズフロア変調を引き起こすため、最高の音質を得るためにはノイズのフィルタリングが必要不可欠とされます。Chord Electronicsでは、最適なデジタル・フィルタリング処理を行うことで、DSDの音質をより自然なものにしています。
Mojo 2は、デジタルDCサーボによるDCカップリング構成を採用することでカップリングコンデンサーを廃止。よりトーンバランスのニュートラル性を高めました。さらに、Mojo 2のヘッドホン出力は負荷インピーダンス800Ωに対応する極めて強力なヘッドホンアンプ回路を搭載しています。一般的なヘッドホンは負荷インピーダンス(Ω)が低いのに対して、より「オーディオマニア向け」のヘッドホンは300Ω以上の高い負荷インピーダンスを持ちます。負荷インピーダンスの値が大きければ大きいほど、現実的なリスニング・レベルまで適切にドライブできる電話機やシステムが必要になりますが、抵抗値は音量によって変化するため、さらに高い負荷インピーダンスをドライブできる適切なヘッドホン・アンプ/DACを持つことが重要になります。他方で、ヘッドホン出力段の出力インピーダンスは0.06Ωと極めて低いので、まさに理想的なヘッドホン/イヤホン用アンプとして動作します。
Mojo 2は、大きな特徴として世界初(※)のフルトランスペアレント型ロスレスDSPとなる「UHD DSP」を搭載しています。705-768KHzで動作する104bitのカスタムDSPコアを採用した独自技術となり、他のオーディオDSPと比類なき圧倒的な精度を実現しました。加えて、内部での徹底したノイズシェーピングにより、微小信号のフィルタリングを維持したまま、極めてクリアな音質を確保しています。
(※)2022年2月16日現在、DAC内蔵型ポータブルヘッドホンアンプとして。メーカー調べ。
UHD DSPは、周波数帯域ごとに18段階の調整ができ、低域、中低域、中高域、高域といった全周波数帯域にわたる微調整が可能です。UHD DSPのロスレス・トーン・コントロール機能により、Mojo 2はオーディオ信号のイコライジングを簡単に変更することが可能です。また、1モードあたり各18段階、1dB毎に調整ができ、最大9dBのブーストおよびカットが音量ボタンを押すことで可能です。イヤホンやヘッドホンなど接続された機器との組み合わせにおいて、特定の周波数が強調されていると感じた場合には、この機能を使用してそれを修正し、レスポンスカーブをフラットにできます。
音量調整範囲も+18dB~-108dBに改善され、メインボリュームをローボリュームモードとハイボリュームモードに切替ができ、各調整範囲で最適な音量を提供できるようになりました。
また、DSP制御による4段階のクロスフィード機能を新たに搭載し、スピーカーのような空間演出が可能な自然なヘッドホンリスニングを実現します。
Mojo 2は、FPGAベースの新しいバッテリー充電システムを搭載したことにより、バッテリー管理が大幅に改善されています。充電速度が大幅に向上し、電力損失が75%削減、低温でより効率的な充電が可能になりました。バッテリー容量も9%アップ、電力効率も向上したことにより、バッテリー駆動時間は約8時間となりました。
また、Hugo 2で定評のあった「インテリジェントデスクトップモード」を改良したものを搭載。絶縁型バッテリーと電源ユニットの再設計により、音質を損なうことなくバッテリーレス動作に対応し、フィルタリングとアイソレーションの改善も図られています 。
Mojo 2のデジタル入力は、光デジタル、同軸デジタル、Micro USB に加えてUSB Type-Cデジタルデータ入力用端子を搭載したことにより、全部で4系統に増え、より柔軟な対応が可能になりました。データ入力は最大でPCM 768KHz/32bit、DSD256のネイティブ再生に対応しています。出力は3.5mmステレオミニジャックのヘッドホン出力を2系統持っており、リスニング環境のシェアが可能です。
Mojo 2では新たにメニューシステムを導入し、メニューボタンからの操作でミュート機能、移動時におけるボタンロック機能、4段階のクロスフィード機能、そしてUHD DSPによるロスレス・トーン・コントロールが行えるようになりました。
Mojo 2は、Mojo専用ストリーマー/サーバーである「Poly」(別売)と完全な互換性を有しています(※)。Polyとドッキングすることで、ハイレゾストリーミングやmicroSDカードスロット使用時の最大2TBのソリッドステートライブラリ保存と再生が可能になります。
(※)PolyのファームウェアはVer.3.0.0以降である必要があります。
Mojo 2は、英国でデザイン、設計され、ハンドメイドで製造されています。ビードブラスト加工を施した高品位なアルミニウム製ケースワークを採用し、高品質なブラックアルマイト仕上げを施しています。本体のコントロールは、4つの多色ポリカーボネート製コントロールスフィアのボタンを介して行われます。
ボディカラー | ブラック |
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外観素材 | 航空機グレードアルミニウム |
オーディオ | 周波数応答:7Hz -20kHz + / – 3dB 出力インピーダンス:0.06Ω チャネルセパレーション:118dB stereo separation 1kHz 300 ohms 2.5v 出力レベル:300Ω、90mW(5.2Vrms) 30Ω、600mW(4.2Vrms) ダイナミックレンジ:125dB THD:0.0003%(2.5V/300Ω) S/N:123dB ‘A’ weighted 対応サンプリング周波数 / ビット数:DSD Native DSD64 to DSD256 、PCM 44.1~768kHz/32bit |
入力 | オプティカルTOSlink:44.1 – 192kHz/24bit x1 コアキシャル(3.5㎜):44.1 – 384kHz/32bit x 1 Micro USB:44.1 – 768kHz/32bit, DSD64 – DSD256 x 1 USB Type-C:44.1 – 768kHz/32bit, DSD64 – DSD256 x 1 ラインアウトモード出力:N/A ボリューム調節:1dB刻み, +18dB to -108dB |
出力 | ヘッドホンジャック(6.3㎜):N/A イヤホンジャック(3.5㎜):x 2 RCAアンバランス・ステレオ出力:N/A |
電源 | バッテリー:内蔵リチウムイオンバッテリー (1850mAh 13.69WH 3.7V ) 充電時間:約5時間 (5V/2A USB-AC使用) 駆動時間:約8時間 消費電力モード:○ *10分間入力が無いと自動的にシャットダウン |
ドライバーサポート | Mac OSX及びLinuxは必要無し。Windows OSのみ必要 |
サイズ(W×H×D) | 約 W83mm×H62mm×D22.9mm |
重量 | 約185g |
同梱物 | 充電用ショートMicro USBケーブル、クイックガイド |
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