Vitalizer Mk3-Tは、SPL独自の特許取得済みVitalizer回路を搭載したステレオ・プログラムEQ/サウンド・プロセッサーです。ライブ、レコーディング、ミックス、マスタリングを問わず、音源に生命感やディテール、透明感を与え、聴感上の音圧を高めます。独自の「ディマスキング技術」により、覆い隠されていた音を表面化させ、各楽器の分離や明瞭度を向上。また、人間の聴覚特性に合わせた周波数補正を行い、自然な音圧感を生み出します。さらに、真空管(Sovtek製12AX7)を採用したMid-Hi TuneおよびStereo Expanderセクション、低域専用のワンノブコンプレッサーを搭載。第3世代となる本機は内部オーディオ電圧を±18Vへ高め、より優れた音質と緻密なサウンド表現を実現しています。堅牢なドイツ製ハードウェアで、プロの現場の要求に応えます。
Vitalizerの中核となるセクションは、5つのコントロールによって構成されています。
フィルター・ネットワークへ送る信号レベルを調整します。調整範囲は−20dB~+6dBです。中央の0dB位置では、入力信号と同じレベルになります。
OVL LEDは、入力段または内部回路でオーバーロードが発生する可能性がある場合に点灯します。実際にオーバーロードする約3dB手前で点灯するため、適切なレベル管理が行えます。
Bass Soundコントロールを使用して、低域のキャラクターを2種類の方向へ調整できます。
Vitalizer Mk3-Tには、低域処理回路のみに作用する、シンプルで効果的なワンノブ式コンプレッサーが搭載されています。オリジナルの低域成分を保ちながら、低音のダイナミクスを整えます。
アタック、リリース、スレッショルドはあらかじめ設定されています。Bass Compを上げると、コンプレッション・レシオが高くなると同時に、スレッショルドが下がります。コンプレッサーはソフトニー特性で動作し、可能な限り自然で目立ちにくいコンプレッションを実現します。
低域経路だけを圧縮するため、強めに設定した場合でも、中高域の生き生きとした質感や空気感が損なわれにくい設計です。
GR LEDは、コンプレッサーによるゲインリダクションが行われていることを示します。
Mid-Hi Tuneコントロールでは、広帯域シェルビング・フィルターの処理開始周波数を設定します。設定した周波数より上の帯域が、Processコントロールの設定に応じて可聴帯域上限まで処理されます。調整範囲は約1.1kHz~22kHzです。
このフィルター回路には、Sovtek製12AX7双三極管を採用しています。中域の透明感をさらに高めながら、滑らかでシルキーなサウンドを加えます。
Processコントロールでは、Bass SoundおよびMid-Hi Tuneによる処理と、原音とのバランスを設定します。同時に、音の中で支配的になっている中域成分の減衰量も調整します。
LC-EQは、パッシブのコイルとコンデンサーによるLCネットワークを採用した中高域用プロセッシング・セクションです。中域のプレゼンスと輪郭を引き出し、特にボーカルやスピーチの明瞭度、音源全体の透明感を向上させます。
周波数は、コントロールを左端へ回した場合の約2kHzから、右端へ回した場合の約20kHzまで調整できます。LC-EQによって高域の構造が整えられることで、各楽器の分離が明確になり、滑らかでシルキーな高域が得られます。
コイルは、フィルター回路において心地よいサウンドを生み出すことで知られています。1960年代にはコイル式フィルターが多く使用されていましたが、コストが高いため、後に抵抗とコンデンサーを使用するRCフィルターへ置き換えられていきました。現在では、特に中高域の処理において、コイルならではのサウンドが再び求められています。コイルがサチュレーションすることで、聴感上心地よい倍音特性が生まれます。これは、トランジスター回路と真空管回路のサウンドの違いにも例えられます。
Intensityコントロールでは、LC-EQの処理量を設定します。値を上げると、設定した中高域および高域のレベルが高まります。同時に聴感上の時間軸にも働きかけ、音量の小さな高域成分が大きな成分に埋もれにくくなります。これにより、ボーカルやスピーチの明瞭度、音源全体のクリアさが向上します。耳障りな鋭さを加えることなく、あらゆる音源の輝きとブリリアンスを引き出せます。
Stereo Expanderは、ステレオ・イメージの広がりを調整します。左右チャンネル間の位相関係を利用し、ステレオ音源の主観的な音場幅を拡大します。
このセクションにも、Sovtek製12AX7双三極管を採用しています。左右チャンネルをミックスした信号へ、真空管特有の倍音成分を付加します。
真空管はステレオ・イメージを広げるだけでなく、以下のような効果ももたらします。
特にデジタル録音された素材の処理において、非常に有効です。
OnスイッチでVitalizer Mk3-Tの処理を有効にします。処理が有効な場合はスイッチが点灯し、バイパス時には消灯します。スイッチが点滅している場合はウォームアップ中です。この間、真空管を最適な動作温度まで昇温しています。
Vitalizerテクノロジーの中心的な特徴は、ほかの音に覆い隠されている成分を聴こえやすくする「ディマスキング」です。Vitalizerは、周波数成分の音量と、人間がその音を知覚するタイミングとの関係を利用します。音量の大きな成分を時間的にわずかに移動させることで、それまでマスキングされていた小さな音を表面化させます。
例えば、低域におけるBOOM成分の音量がPUNCH成分より大きい場合、PUNCHがBOOMに覆い隠され、聴こえにくくなります。音量の大きなBOOM成分を時間的にわずかに移動させることで、PUNCH成分が再び聴こえるようになります。その結果、低域のアタックが明確になり、より力強く輪郭のあるサウンドが得られます。
また、ボーカル、コーラス、ブラス、ギターなどの複数の音が重なる場合、最も大きな成分が小さな成分を覆い隠します。Vitalizerによるオーディオ・ディマスキングによって覆い隠されていた各パートが聴き取りやすくなり、音源のディテール、分離、透明感が向上します。
Vitalizerは、人間の聴覚特性を示す等ラウドネス曲線に合わせて周波数スペクトルを整え、特に聴感上の音圧感を改善します。人間の聴覚が周波数ごとに異なる感度を持つことは、1930年代に「フレッチャー=マンソン曲線」として説明されました。現在はISO 226:2003で規定されている等ラウドネス曲線として、周波数ごとに同じ大きさとして知覚されるために必要な音圧レベルを示しています。
Vitalizer Mk3-Tのすべての入出力には、金メッキ接点を備えたNeutrik製XLR端子およびTRSフォーン端子を採用しています。XLR端子とTRS端子は並列接続されています。信号伝送は電子バランス方式で、ノミナルレベルは+6dBuです。各出力から同じ信号を2系統取り出せるため、処理後の信号を異なる2台の機器へ送ることができます。※ 入力側のXLRとTRSを同時に使用した場合は、2つの入力信号がミックスされます。
Vitalizer Mk3-Tのフロントパネルには、厚さ4mmのブラック・アルマイト処理アルミニウムを採用しています。ノブはアルミニウムの削り出しで、筐体にはブラックのパウダーコーティングを施した高品質なスチールを使用しています。
回路設計や測定値だけでなく、開発初期から実際の音を聴きながら設計されています。音質上重要な部品の多くには、スルーホール実装を採用しています。これにより、実装方式に制約されることなく、サウンドを基準に選定した高品質な部品を使用できます。
Vitalizer Mk3-Tを含むSPL製品は、ドイツ・ニーダークリュヒテンにあるSPL自社工場で製造されています。
| アナログ入出力 | 入出力端子:XLR/TRS、バランス 入力インピーダンス:22kΩ 出力インピーダンス:75Ω 最大入力レベル:+22.5dBu CMRR:86dB 周波数特性(−3dB):10Hz~100kHz THD+N(0dBu、10Hz~22kHz):0.01% ノイズ(Aウェイト):−99dBu ダイナミックレンジ:122dB |
|---|---|
| 内蔵リニア電源 | 電源方式:シールド付きトロイダルトランス搭載リニア電源 オーディオ回路動作電圧:±18V リレー/LED動作電圧:+12V 真空管アノード電圧:250V 真空管ヒーター電圧:12.6V |
| 電源 | 電源電圧:230V AC/50Hz、115V AC/60Hz(切り替え式) 230V用ヒューズ:T 400mA 115V用ヒューズ:T 800mA 消費電力:最大20W |
| 外形寸法・重量 | 外形寸法(幅×高さ×奥行):482 × 44 × 237mm ラックサイズ:19インチ/1U 本体重量:3.4kg 梱包重量:4.75kg |
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