V8コンプレッサーは、ディスクリートコンポーネントと6つのカーンヒルトランスフォーマー(チャネルごとに3つ)のみで構築されています。 コンプレッションの要素は、4つの整合パルスダイオードで構成されるブリッジ中心となっており、サイドチェーン回路をリンクするオプションを備えたデュアルモノユニットでもあります。 各チャネルのマッチングとリコールのために、すべてのノブは段階式よって構成されています。
また、V8コンプレッサーはサイドチェーン回路にHPFを搭載しています。この機能により、コンプレッサーステージに到達する前に、信号から最低周波数をカットし、キックドラムなどの単一楽器をパンピング効果なしに通過させることができます。フロントにある追加スイッチ(+10THR)は、コンプレッサーのスレッショルドレベルをさらに10dB下げることができます。この機能は、非常に低い信号を圧縮する場合や、非常に強い圧縮を行う場合に便利です。IGS V8の典型的なアプリケーションは、バス・コンプレッションです。しかし、その性質上、トーンとカラーの設定が驚くほど豊富なので、V8コンプレッサーの用途は無限です。
V8はIGS Audioにとって最高傑作の一つであると言えます。
V8はプロジェクトの順序からその名前が付けられており、IGS Audioによって8番目に設計されたコンプレッサーであるという証しになっています。
正に万能という言葉が良く似合うコンプレッサーであり、多くの楽曲に使用することが可能です。グループ会社のスタジオでは、SPL IRON や elysia alpha compressor なども稼働する中、唯一クラシック音楽、特に難しいピアノ曲にも対応できるコンプレッサーとして重宝しています。トランジエント音の鋭いピアノ曲の場合、多くのマスター用コンプレッサーが音割れを発生させる中、V8は見事にその役割を果たし、美しい音色を作り上げることに成功しています。
また、ドラムサウンドなどを多く含んだジャズから、エレクトリック系のハードの低音が含まれるEDMまで、コンプレッションを通して、 IGS Audioならではの濃密なリッチテイストを存分に楽曲へ加えることが可能となります。
マスタリング
ハッキリと機材の前面には『Mastering Edition』と印字されており、このデバイスがマスタリング用途に十分対応する機材であることを説明すると共に、そのクォリティの高さは折り紙付きと言えます。一見ソフトとも捉えられるコンプレッションですが、+10dBのスイッチを入れた途端に表情が豹変します。Hard Kneeとは言えませんが、ただソフトに何となく雰囲気を作るだけのコンプレッサーではありません。潰すという目的以上に、楽曲への積極的な介入から、より厚みのある豊かな味わいを感じられる楽音へと変貌させてくれます。
スタッフコメント